プレオルソによる治療では、装置を使用することに加えて、舌の位置や唇の使い方、呼吸、飲み込み方など、普段のお口の使い方にも目を向けることが大切です。せっかくプレオルソを使っていても、日常生活の中で舌を前に出す癖やお口ぽかんなどが続いていると、お口の機能を整えていくうえで気になる要因になることがあります。 小児歯科医として大切にしているのは、装置だけに頼るのではなく、成長期のお子さんが正しいお口の使い方を少しずつ身につけられるようにサポートすることです。家庭でのトレーニングも、難しい練習をたくさん行う必要はありません。お子さんの状態に合わせ、無理のない方法を毎日の生活に取り入れていくことがポイントです。 この記事では、プレオルソとあわせて意識したい舌の正しい位置、鼻呼吸、唇や口周りの筋肉、飲み込み方のトレーニングについて分かりやすく紹介します。さらに、トレーニングを嫌がるお子さんへの声かけや、毎日続けやすくする工夫、家庭で注意したい生活習慣についても詳しく考えていきます。 プレオルソを使っている時間だけではなく、食事や遊び、テレビを見ている時間など、毎日の過ごし方がお口の機能を育てる時間になります。家庭で確認できるポイントを知ることで、「今日は何を意識すればいいの?」という保護者の方の迷いも少なくなるでしょう。 プレオルソの効果を十分に引き出すために大切なのは、決められた装着方法を守りながら、お子さんに合ったトレーニングを無理なく続けることです。親子で楽しみながら、お口を正しく使う習慣を少しずつ育てていきましょう。
- 「プレオルソを使っているけれど、家では何をしたらいいの?」
- 「装置をつけるだけでいいのか気になる」
- 「子どもの舌がいつも下がっているように見える」
- 「気がつくと口がぽかんと開いていて、口呼吸も気になる」
- 「トレーニングを教えてもらっても、毎日続けるのが難しい」
プレオルソの効果を高めるには家でのトレーニングが大切
プレオルソを使い始めると、「装置をつけていれば歯並びが整っていくのかな」と考える保護者の方も多いでしょう。 プレオルソは、成長期のお子さんのお口周りの筋肉や舌の使い方などにも目を向けながら、歯並びやかみ合わせを整えていくために使用される装置です。そのため、歯科医院で指示された時間に装着することに加えて、普段のお口の使い方を見直すことも大切になります。 子どもの歯並びには、歯そのものだけでなく、舌の位置や唇の力、頬の筋肉、呼吸の仕方、飲み込み方などが関係しています。 たとえば、普段から舌が下のほうにある、口がぽかんと開いている、食べ物を飲み込むときに舌を前へ押し出すといった習慣がある場合、お口周りの筋肉がバランスよく使われにくくなることがあります。
プレオルソだけでなく毎日の「お口の使い方」に注目する
プレオルソを使用する時間は、一日の中では限られています。 一方で、呼吸をしたり、食事をしたり、会話をしたりする時間は毎日何時間も続きます。だからこそ、装置を外している時間のお口の使い方も意識することが重要です。 家庭では、次のようなポイントを確認してみましょう。
すべてを一度に直そうとすると、お子さんにとって負担になります。まずは一つずつ気づくことから始めるのがおすすめです。
- 何もしていないときに口が閉じているか
- 舌の先が上あごの正しい位置にあるか
- 鼻で呼吸できているか
- 食事中によく噛めているか
- 飲み込むときに舌を前へ押し出していないか
家でのトレーニングは短時間でも継続が大切
お口のトレーニングというと、特別な練習を長時間行うイメージを持つかもしれません。 しかし、大切なのは無理なく続けられることです。 歯みがきのあとやお風呂の前、プレオルソを装着する前など、毎日の生活の中で時間を決めて取り組むと習慣にしやすくなります。「今日はできたね」と声をかけながら、親子で一緒に取り組むのもよいでしょう。 トレーニングは、回数を増やせば増やすほどよいわけではありません。お子さんのお口の状態や年齢によって必要な内容は異なります。歯科医院で教わった方法や回数を基本に続けてください。 プレオルソによる治療では、装置を正しく使うことと、日常生活の中で舌・唇・呼吸などのお口の使い方を整えることを一緒に考えていくことが大切です。 家庭で毎日少しずつ取り組む習慣は、お子さん自身がお口の状態を意識するきっかけにもなります。焦らず、できることから続けていきましょう。
プレオルソと一緒に整えたい舌の正しい位置
プレオルソを使うときに意識したいポイントの一つが、「舌が普段どこにあるか」です。 舌は食べるときや話すときだけ動くものではありません。何もしていない時間にも、舌はお口の中で一定の位置にあります。舌が低い位置にある状態が続いたり、前歯を押すような癖があったりすると、お口周りの筋肉のバランスに影響することがあります。 そのため、プレオルソによる治療では、装置の使用とあわせて舌の位置にも目を向けることが大切です。
舌の正しい位置は「上あご」が基本
リラックスして口を閉じているとき、舌先は上の前歯のすぐ後ろにある上あご付近に軽く触れ、舌全体も上あご側に収まっている状態が基本です。 一方で、舌が下の前歯の裏側にある、舌先が前歯に触れている、舌が歯と歯の間から見えるといった場合は、舌の位置を一度確認してみるとよいでしょう。 家庭では、お子さんに次のような声かけをしてみてください。
強く押しつける必要はありません。正しい場所を知り、自然にその位置へ戻せるようになることが目標です。
- 「お口を閉じたとき、ベロはどこにいるかな?」
- 「上の前歯の少し後ろにベロの先を置いてみよう」
- 「ベロ全体を上あごにやさしくつけてみよう」
「舌のスポット」を親子で探してみる
舌先を置く目安になる位置は、「スポット」と呼ばれることがあります。 上の前歯のすぐ後ろには、少しふくらみを感じる場所があります。舌先で軽く触れながら、お子さん自身に位置を覚えてもらいましょう。 最初から長時間キープできなくても問題ありません。「テレビを見ているとき」「絵本を読んでいるとき」「車に乗っているとき」など、リラックスした時間に思い出すだけでも、舌の位置を意識する練習になります。 大切なのは、保護者の方が何度も強く注意することではありません。「今、ベロはどこかな?」と楽しく確認する程度から始めると続けやすくなります。
舌の位置だけでなく唇と呼吸も一緒に確認する
舌の位置を整えるためには、舌だけを見るのではなく、唇や呼吸の状態も確認する必要があります。 安静時には、唇が無理なく閉じていて、鼻で呼吸できている状態が基本です。口がぽかんと開く習慣があると、舌が上あごから離れて低い位置になりやすいことがあります。 ただし、鼻づまりやアレルギーなどによって鼻呼吸が難しいお子さんに、無理に口を閉じさせるのは適切ではありません。鼻で呼吸しにくそうな状態が続く場合は、歯科医院だけで判断せず、必要に応じて医科での確認も大切になります。 プレオルソと家庭でのトレーニングを組み合わせるときは、「舌を強く動かす」ことよりも、「普段の正しい位置を覚える」ことを意識しましょう。 毎日のちょっとした確認を重ねることで、お子さん自身が舌の位置に気づけるようになります。焦らず、プレオルソの装着とあわせて正しいお口の使い方を少しずつ身につけていくことが大切です。
口呼吸から鼻呼吸へ導く家でできるトレーニング
プレオルソを使っているお子さんの中には、気がつくと口が開いていたり、テレビを見ているときに口で呼吸していたりすることがあります。 お口の機能を整えていくうえで、呼吸の仕方は大切なポイントです。普段から口呼吸が続くと、唇が閉じにくくなったり、舌が上あごから離れて低い位置になったりすることがあります。そのため、プレオルソの使用とあわせて、日常生活の中で鼻呼吸を意識することが重要です。 ただし、鼻づまりがある状態で無理に鼻呼吸をさせてはいけません。まずは「鼻で呼吸できる状態か」を確認することから始めましょう。
まずは子どもの呼吸を観察してみる
家庭で最初に行いたいのは、トレーニングではなく観察です。 お子さんがリラックスしているときに、口元をそっと見てみましょう。
「口が開いているからすぐ閉じなさい」と注意するより、どのような場面で口呼吸になりやすいのかを見つけることが大切です。 鼻呼吸ができる状態であれば、家庭で少しずつ鼻で呼吸する感覚を身につけていきます。
- テレビを見ているときに口が開いていないか
- ゲームや読書に集中すると口がぽかんと開かないか
- 寝ているときに口が開いていないか
- 普段から鼻が詰まっている様子がないか
- 唇を閉じると苦しそうにしていないか
- 鼻で息をするときに音がしないか
唇を軽く閉じて鼻でゆっくり呼吸する
鼻呼吸の練習は、難しい方法から始める必要はありません。 姿勢を整えて座り、唇を軽く閉じます。歯は強くかみしめず、舌は上あごの正しい位置を意識します。その状態で鼻からゆっくり息を吸い、鼻からゆっくり吐いてみましょう。 ポイントは「たくさん吸う」ことではなく、苦しくない範囲で自然に呼吸することです。 最初は短時間で構いません。数回行ったら終わりにして、毎日少しずつ続けていきます。 お子さんが楽しめるように、「鼻だけで静かに息ができるかな」「口を閉じたまま何回できるかな」とゲーム感覚で取り入れる方法もあります。
姿勢が崩れると口も開きやすくなる
鼻呼吸を意識するときは、姿勢にも注目してみましょう。 背中が丸まり、頭が前に出る姿勢になると、口が開きやすくなることがあります。テレビやタブレットを見るときに前かがみになっている場合は、椅子の高さや画面の位置を調整してみてください。 椅子に座るときは、できる範囲で次の状態を意識します。
呼吸だけを直そうとするのではなく、姿勢・舌・唇を一緒に確認することがポイントです。
- 背中を起こす
- 顔を大きく前へ突き出さない
- 足が安定する姿勢をつくる
- 唇を無理なく閉じる
- 舌を上あご側に置く
「口を閉じて」と何度も注意しないことも大切
保護者の方が気になるあまり、「また口が開いているよ」「口を閉じなさい」と何度も声をかけてしまうことがあります。 しかし、毎回注意されると、お子さんがトレーニングそのものを嫌になってしまう場合があります。 「お鼻で息できているかな」「ベロの場所を確認してみよう」と、できたことに目を向ける声かけがおすすめです。 歯みがきが終わったあと、プレオルソを装着する前、テレビを見る前など、確認するタイミングを決める方法も続けやすいでしょう。
鼻づまりがあるときは無理にトレーニングしない
鼻呼吸ができない原因が、単なる癖とは限りません。 風邪による鼻づまりだけでなく、アレルギー性鼻炎などによって鼻が通りにくくなっているお子さんもいます。また、睡眠中のいびきや息苦しそうな様子が続く場合には、口周りのトレーニングだけで対応しようとしないことが大切です。 鼻で呼吸しにくそうな状態が続く場合は、小児歯科医へ相談し、必要に応じて耳鼻咽喉科や小児科などで確認してもらいましょう。 プレオルソと家庭でのトレーニングでは、「無理に口を閉じさせる」のではなく、鼻で自然に呼吸できる環境と習慣を整えていくことが重要です。 毎日少しずつ鼻呼吸を意識することで、お子さん自身がお口の状態に気づくきっかけになります。舌の位置や姿勢もあわせて確認しながら、家庭で無理なく続けていきましょう。
お口ぽかんを減らす唇・口周りのトレーニング
プレオルソを使っているお子さんでは、「気がつくと口がぽかんと開いている」「テレビを見ていると唇が開いたままになっている」と気になることがあります。 口が開いた状態が続く背景には、単なる癖だけでなく、舌の位置、鼻呼吸のしにくさ、姿勢、唇や口周りの筋肉の使い方など、さまざまな要因が関係します。そのため、お口ぽかんが気になる場合は、プレオルソの装着だけに頼るのではなく、日常生活の中で唇を自然に閉じる習慣を身につけることも大切です。
唇は「強く閉じる」のではなく自然に閉じる
お口ぽかんを改善しようとして、「もっと強く口を閉じて」と声をかけたくなるかもしれません。 しかし、理想的なのは唇に力を入れてぎゅっと閉じる状態ではなく、リラックスしたまま上下の唇が軽く触れている状態です。 家庭では、お子さんに「お口をそっと閉じてみよう」と声をかけてみましょう。そのとき、あごの先に梅干しのようなしわが強く出たり、唇に力が入りすぎたりする場合は、無理に閉じようとしている可能性があります。 唇だけを見るのではなく、舌の位置や呼吸も一緒に確認することがポイントです。
「いー・うー」の動きで唇を楽しく動かす
家庭で取り入れやすい方法の一つが、唇を大きく動かす練習です。 まず、口角を横に広げるように「いー」と発音します。続いて、唇を前へ突き出すように「うー」と発音します。 「いー」「うー」をゆっくり繰り返すことで、唇や頬など、お口周りの筋肉を動かす練習になります。 行うときは、次のポイントを意識しましょう。
回数を増やすことよりも、正しい動きを意識することが大切です。歯科医院で回数や方法について指示を受けている場合は、その内容を優先してください。
- 鏡を見ながらゆっくり行う
- 顔全体に力を入れすぎない
- 「いー」では口角を左右に広げる
- 「うー」では唇を前に出す
- 痛みや疲れを感じたら無理をしない
唇を閉じた状態を短時間キープする
鼻で問題なく呼吸できるお子さんであれば、唇を軽く閉じた状態を意識する練習も取り入れられます。 背筋を無理のない範囲で起こし、唇をそっと閉じます。歯は強くかみしめず、舌は上あご側の正しい位置を意識しましょう。そのまま鼻で自然に呼吸します。 最初から長時間続ける必要はありません。 「10秒だけお口をそっと閉じてみよう」など、お子さんが負担を感じにくい時間から始めると続けやすくなります。慣れてきたら、テレビを見るときや絵本を読むときなどにも、唇が閉じているか確認してみましょう。
遊びの中にトレーニングを取り入れる
幼いお子さんにとって、「毎日トレーニングをしよう」という言葉は負担になることがあります。 そこでおすすめなのが、遊びの中にお口の運動を取り入れる方法です。 鏡の前で親子一緒に変な顔をしながら「いー」「うー」と動かしたり、唇を閉じたまま鼻で静かに呼吸できるか競争したりすると、練習という感覚が少なくなります。 できたときには、「ちゃんとできたね」だけでなく、「今日は唇がそっと閉じられたね」など、具体的にできたことを伝えてあげましょう。 お子さん自身が「できた」と感じられる経験を積み重ねることが、継続につながります。
お口ぽかんは原因を確認することが大切
唇や口周りのトレーニングを行っても、お口ぽかんが続く場合があります。 鼻が詰まっている、舌の位置が低い、唇を閉じることが難しい、姿勢が大きく崩れているなど、お口が開く原因は一人ひとり異なるからです。 特に、鼻で呼吸しにくそうな様子がある場合には、無理に唇を閉じさせないでください。いびきが続く、睡眠中に口が大きく開いている、鼻づまりが続いているといった場合は、小児歯科医に相談し、必要に応じて医科で確認してもらうことも大切です。 プレオルソと家庭でのトレーニングでは、「口を閉じさせること」だけを目的にするのではなく、舌・唇・呼吸・姿勢をバランスよく整えていく視点が欠かせません。 毎日の生活の中で、まずは数秒でも自然に唇を閉じられる時間を増やしていきましょう。小さな積み重ねが、お子さん自身がお口の使い方を意識するきっかけになります。
正しい飲み込み方を身につける舌のトレーニング
プレオルソを使っているお子さんでは、舌の位置だけでなく「飲み込むときに舌をどう使っているか」も大切なポイントです。 食べ物や飲み物を飲み込むとき、舌が前歯を押したり、歯と歯の間から前へ出たりする癖があると、お口周りの筋肉のバランスに影響することがあります。普段は気づきにくい動きですが、毎日の食事や水分補給のたびに繰り返されるため、プレオルソによる治療とあわせて確認しておきたい習慣です。 大切なのは、舌を力いっぱい動かすことではありません。舌を正しい位置に置き、唇やあごに余計な力を入れずに飲み込む感覚を少しずつ身につけていくことです。
飲み込むときに舌が前へ出ていないか確認する
まずは、お子さんが水を飲む様子を観察してみましょう。 飲み込む瞬間に口元へ強い力が入る、唇をぎゅっと閉じる、舌が前歯を押しているように見える場合は、舌の使い方を確認するきっかけになります。 家庭では、次のポイントを見てみましょう。
ただし、見た目だけで正しい飲み込み方かどうかを判断するのは難しい場合もあります。気になる動きが続くときは、小児歯科医に相談してください。
- 飲み込むときに舌が歯の間から見えないか
- 前歯に舌を強く押しつけていないか
- 唇に力を入れすぎていないか
- あごの先にしわが強く出ていないか
- 頭や首を大きく動かして飲み込んでいないか
舌先を上あごの「スポット」に置く練習
飲み込み方を整えるうえでも、舌の正しい位置を覚えることが基本です。 上の前歯の少し後ろにある位置へ舌先を軽く置きます。前歯そのものを押すのではなく、歯の後ろ側にある上あごへそっと触れるようにしましょう。 鏡を見ながら「ベロのおうちはここだよ」と確認すると、小さなお子さんにも伝わりやすくなります。 舌先を正しい位置に置けたら、数秒そのままキープします。慣れてきたら、舌先の位置を保ちながら唾液を飲み込む練習につなげます。
唇に力を入れずに唾液を飲み込む
舌の位置を確認できたら、次は唾液を使って飲み込み方を練習します。 姿勢を整え、舌先を上あごの正しい位置へ置きます。歯は強くかみしめず、唇は軽く閉じます。その状態で、舌を前へ出さずに唾液をゆっくり飲み込んでみましょう。 保護者の方は、口元やあごに必要以上の力が入っていないかを確認します。 練習するときのポイントは次の通りです。
最初はうまくできなくても問題ありません。正しい位置を確認するだけの日があっても大丈夫です。
- 舌先を前歯に押しつけない
- 唇をぎゅっと閉じない
- あごの先に力を入れすぎない
- 頭を大きく動かさない
- 無理に何度も繰り返さない
少量の水を使った練習は歯科医院の指導に合わせる
唾液での練習に慣れると、少量の水を使って飲み込み方を確認する場合もあります。 ただし、水を使ったトレーニングは、お子さんの年齢や飲み込み方によって適した方法が異なります。むせやすいお子さんや飲み込みに不安がある場合には、自己流で行わないことが大切です。 プレオルソの診療時に飲み込み方を確認してもらい、お子さんに合った方法を教わったうえで家庭でも続けましょう。 トレーニングは「たくさん行えば早く身につく」というものではありません。正しい動きを少ない回数でも丁寧に行うほうが重要です。
食事中は「よく噛んでから飲み込む」を意識する
飲み込み方は、トレーニングの時間だけでなく、毎日の食事とも深く関わっています。 食べ物を十分に噛まずに急いで飲み込む癖があると、舌やあごを落ち着いて使いにくくなります。食事中は、お子さんが無理なくよく噛み、飲み込んでから次の一口へ進めるように意識しましょう。 ただし、「30回噛みなさい」など、回数だけを厳しく決める必要はありません。食材の硬さや大きさによって必要な咀嚼回数は変わります。 家族で食卓を囲み、急がず食べられる環境をつくることも大切なトレーニングの一つです。 プレオルソと舌のトレーニングでは、装置を使っている時間だけでなく、普段の飲み込み方を少しずつ整えていく視点が欠かせません。 舌の位置を確認し、唇やあごに余計な力を入れずに飲み込む。この基本を毎日の生活の中で繰り返し意識することが、お口の機能を育てる第一歩です。できないことを注意するより、正しくできた瞬間を見つけて褒めながら続けていきましょう。
プレオルソのトレーニングを子どもが毎日続けるコツ
プレオルソのトレーニングで難しいのは、「やり方を覚えること」よりも「毎日続けること」かもしれません。 最初はやる気があっても、数日たつと忘れてしまったり、遊びやテレビを優先したくなったりするのは自然なことです。特に小さなお子さんにとって、毎日のトレーニングを自分だけで管理するのは簡単ではありません。 だからこそ、プレオルソの家庭トレーニングは、頑張らせるよりも「続けやすい仕組み」を作ることが大切です。
毎日の生活とセットにすると忘れにくい
トレーニングを続けるコツは、決まった時間に取り入れることです。 「時間があるときにやろう」と考えると、つい後回しになってしまいます。すでに習慣になっている行動と組み合わせると、忘れにくくなります。 たとえば、次のようなタイミングがあります。
「歯みがきが終わったら舌の位置を確認する」など、順番を固定すると習慣にしやすくなります。
- 朝の歯みがきが終わったあと
- 夕食後の歯みがきのあと
- お風呂に入る前
- プレオルソを装着する前
- 寝る前の決まった時間
一度にたくさんやらない
家庭で頑張ろうとすると、いくつものトレーニングを一度に行いたくなることがあります。 しかし、内容が多すぎると子どもは疲れてしまいます。 舌の位置、鼻呼吸、唇の動き、飲み込み方など、確認したいポイントは複数ありますが、毎日すべてを完璧に行う必要はありません。 歯科医院で指導された内容を中心に、その日の目標を一つに絞る方法もおすすめです。 「今日は舌の位置を意識しよう」「今日は鼻で静かに呼吸してみよう」とテーマを決めると、お子さんにも分かりやすくなります。
注意するより「できたこと」を見つける
保護者の方が熱心になるほど、「また口が開いているよ」「舌の場所が違うよ」と注意が増えやすくなります。 しかし、注意される回数が多くなると、お子さんにとってプレオルソのトレーニングが「怒られる時間」になってしまう場合があります。 できていない部分を探すより、できた瞬間を見つけて声をかけてみましょう。 「今、お口が自然に閉じていたね」 「ベロの場所を自分で思い出せたね」 「今日は忘れずにできたね」 このような具体的な声かけは、お子さん自身が何をできたのか理解しやすくなります。
シールやカレンダーで達成感を見える形にする
小さなお子さんには、できたことを目で確認できる工夫も効果的です。 トレーニングができた日にカレンダーへシールを貼ったり、好きな色で丸をつけたりすると、毎日の積み重ねが見えるようになります。 大切なのは、ご褒美だけを目的にしないことです。 「1週間続いたね」「前より自分から始められるようになったね」と、取り組んだ過程を一緒に喜びましょう。
できない日があっても責めない
学校行事や習い事で疲れている日、眠くてできない日もあります。 1日できなかったからといって、それまでの取り組みが無駄になるわけではありません。 「昨日できなかったから今日は倍やろう」と無理に増やす必要もありません。翌日からいつものペースに戻せば十分です。 プレオルソのトレーニングは、短期間だけ頑張るより、無理のない方法で継続することが重要です。 また、お子さんが強く嫌がる場合や、指導された動きがうまくできない場合には、家庭だけで解決しようとせず、小児歯科医へ相談してください。年齢やお口の状態に合わせて、トレーニングの内容を調整できることがあります。 プレオルソを毎日の生活に自然に取り入れるためには、「完璧にできたか」よりも「今日も少し取り組めた」という積み重ねを大切にしましょう。親子で無理なく続けられる環境を作ることが、家庭トレーニングを長く続けるポイントです。
プレオルソの効果を妨げやすい生活習慣と家庭での注意点
プレオルソを正しく使っていても、普段のお口の使い方や生活習慣によっては、歯並びやかみ合わせに関わる癖が続いてしまうことがあります。 大切なのは、「装置をつけている時間だけ頑張る」という考え方ではありません。食事、姿勢、呼吸、舌の位置、睡眠など、毎日の何気ない習慣にも目を向けることが重要です。 家庭でできることはたくさんありますが、すべてを一度に変える必要はありません。まずは、お子さんの普段の様子を観察し、気になる習慣を一つずつ見直していきましょう。
お口ぽかんや口呼吸をそのままにしない
テレビを見ているときやゲームに集中しているとき、口がぽかんと開いているお子さんは少なくありません。 お口が開いた状態が長く続くと、舌が低い位置になりやすくなります。プレオルソと一緒に舌の位置や唇の使い方を整えていくためにも、安静時に口が自然に閉じているか確認することが大切です。 ただし、鼻づまりがあるお子さんに無理に口を閉じさせてはいけません。鼻呼吸がしにくい状態が続く場合は、まず原因を確認する必要があります。 「口を閉じなさい」と何度も注意するより、「お鼻で息できているかな」と優しく確認するほうが、お子さんも受け入れやすくなります。
頬杖やうつ伏せ寝などの癖にも注意する
歯並びやお口周りへの力は、食事や呼吸だけでなく姿勢からも受けます。 特に、長時間の頬杖や、いつも同じ方向を向いて寝る癖などは、顔やあごの片側に力が加わり続けることがあります。 家庭では、次のような習慣がないか確認してみましょう。
短時間であれば必要以上に心配することはありません。毎日長時間、同じ姿勢が続いていないかを見ることがポイントです。
- テーブルで頬杖をつく
- 床に寝転びながら長時間テレビを見る
- タブレットを見るときに顔を下へ向け続ける
- いつも同じ側を下にして寝る
- 椅子に浅く座って背中が丸くなる
指しゃぶりや爪かみなどの癖も確認する
年齢によっては、指しゃぶり、爪かみ、唇をかむ癖などが残っていることがあります。 こうした癖は、歯やお口周りに繰り返し力がかかる原因になる場合があります。特に指しゃぶりが長期間続いている場合は、歯並びやかみ合わせへの影響も考えていく必要があります。 ただし、無理にやめさせたり強く叱ったりすると、お子さんの負担が大きくなることがあります。 「また指をしゃぶっている」と責めるのではなく、眠いときや不安なときなど、どのような場面で癖が出やすいのかを観察しましょう。 家庭だけで対応が難しい場合は、小児歯科医へ相談することも大切です。
食事中の姿勢や噛み方も見直す
食事の時間は、お口の機能を育てる大切な時間です。 足がぶらぶらした状態で座っていたり、背中が丸まっていたりすると、姿勢が安定せず、噛む動作にも影響することがあります。 できる範囲で、足が安定する椅子や足台を使い、体を起こして食べられる環境を整えましょう。 また、やわらかいものだけに偏らず、年齢や発達に合った食材を取り入れることも大切です。ただし、硬いものを無理に食べさせればよいわけではありません。お子さんが安全に噛める大きさや硬さを選びましょう。 食事中は、急いで飲み込まず、しっかり噛んでから飲み込む流れを意識します。
プレオルソの装着方法は自己流で変えない
「もっと長くつけたほうが効果が高いのでは」と考えて、歯科医院で指示された時間以上にプレオルソを装着したくなることもあるかもしれません。 しかし、装着時間や使い方を自己判断で変更するのは避けましょう。 お子さんの年齢、歯並び、かみ合わせ、お口の状態によって、必要な使用方法は異なります。装置が合わない、痛みがある、強く違和感を訴えるなどの場合も、無理に使い続けず、小児歯科医に相談してください。 また、噛んで傷がついたり、変形したりした装置をそのまま使うことも避ける必要があります。
家庭では「完璧」より「気づける習慣」を育てる
プレオルソを使っていると、保護者の方はどうしても「ちゃんとできているかな」と気になってしまいます。 しかし、毎日すべてを完璧にできるお子さんはいません。 舌の位置を忘れる日もあれば、疲れて口が開いてしまう日もあります。大切なのは、お子さん自身が少しずつ「今、口が開いているな」「舌を上に戻そう」と気づけるようになることです。 家庭では、できていないところを探すのではなく、正しくできた瞬間を見つけてあげましょう。 プレオルソによる治療は、装置だけで完結するものではありません。呼吸、舌、唇、姿勢、食事など、日常生活の積み重ねも大切です。 小さな習慣を一つずつ見直しながら、お子さんが無理なく続けられる環境を整えていきましょう。
終わりに
プレオルソによる治療では、装置を決められた方法で使うことに加えて、舌の位置、鼻呼吸、唇の使い方、飲み込み方、姿勢など、毎日の生活の中で繰り返しているお口の使い方にも目を向けることが大切です。 家庭でのトレーニングというと、「毎日きちんと練習しなければいけない」と負担に感じる保護者の方もいるかもしれません。しかし、最初からすべてを完璧に行う必要はありません。 まずは、お子さんが普段どのように口を使っているのかを観察してみましょう。
こうしたポイントに気づくことが、家庭でできるトレーニングの第一歩です。 大切なのは、「できていないこと」を何度も注意することではありません。 「今日はお口が自然に閉じていたね」「自分で舌の場所を思い出せたね」と、できたことを具体的に伝えてあげると、お子さん自身がお口の使い方を意識しやすくなります。 プレオルソのトレーニングは、短期間だけ頑張るのではなく、毎日の生活に少しずつ取り入れていくことがポイントです。歯みがきのあとやプレオルソを装着する前など、決まったタイミングに行うと習慣化しやすくなります。 一方で、お子さんによって歯並びやかみ合わせ、お口周りの筋肉、舌の動き、鼻呼吸の状態は異なります。そのため、インターネットで紹介されているトレーニングを自己判断でたくさん行うのではなく、歯科医院で確認してもらい、お子さんに合った方法を続けることが大切です。 また、鼻づまりが続く、鼻で呼吸しにくそう、いびきが気になるなどの様子がある場合は、無理に口を閉じさせないでください。必要に応じて耳鼻咽喉科や小児科などと連携しながら原因を確認することもあります。 プレオルソの効果を高めるために家庭でできることは、特別なトレーニングだけではありません。毎日の呼吸、食事、姿勢、舌の位置を少し意識することも、お口の機能を育てる大切な時間になります。 親子で焦らず、無理なく、できることを一つずつ続けていきましょう。プレオルソをきっかけに、お子さん自身が正しいお口の使い方を身につけていけるよう、小児歯科医と一緒に成長を見守っていくことが大切です。
- 何もしていないときに口がぽかんと開いていないか
- 舌が上あごの正しい位置にあるか
- 鼻で自然に呼吸できているか
- 飲み込むときに舌を前へ押し出していないか
- 食事やテレビを見るときの姿勢が大きく崩れていないか

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