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顎関節症の主な原因と日常生活で注意すべきポイント

顎関節症とは?子どもにも起こるの?

顎関節症(がくかんせつしょう)は、「あごの関節」やその周囲の筋肉に異常が生じ、痛みや動きの制限、音が鳴るなどの症状が現れる状態のことを指します。大人に多いと思われがちですが、実は子どもにも起こることがあります。今回は、そんな顎関節症について、小児歯科の視点から分かりやすくお話ししていきます。

まず結論からお伝えすると、顎関節症は子どもでも十分に注意が必要な症状であり、早期に気づき、生活習慣を見直すことで悪化を防ぐことが可能です。

理由としては、子どもは骨や関節がまだ成長段階にあり、ちょっとした癖や習慣が顎の発達に大きな影響を与えてしまうからです。例えば、片側だけで噛む、頬杖をつく、歯ぎしりをするなど、大人が何気なく見過ごしてしまうような行動が、子どもの顎関節に過度な負担をかけていることがあります。

具体的な例を挙げると、「口を開けるとカクンと音がする」「食事中にあごが痛くなる」「朝起きたときにあごの疲れを感じる」などの症状が見られる場合、顎関節症の可能性が考えられます。小さなお子さんでは症状をうまく言葉で伝えられないこともあるため、保護者の方が注意深く観察することが大切です。

また、顎関節症が長引くと、あごの成長に偏りが出たり、口が開きにくくなったり、発音や咀嚼(そしゃく)機能にまで影響を及ぼすことがあります。そうならないためにも、早めに専門家に相談し、必要に応じて対応をしていくことが望まれます。

このブログでは、子どもに起こる顎関節症の原因や予防方法、日常生活で気をつけるポイント、小児歯科でのサポートについて、順を追って詳しくご紹介していきます。保護者の皆さまにとって、子どもの口腔健康を守るヒントになれば幸いです。どうぞ最後までご覧ください。

顎関節症の主な原因について

顎関節症の原因は1つではなく、いくつかの要因が複雑に絡み合って起こるとされています。子どもにおいても例外ではなく、発育途上の顎や筋肉に対して小さなストレスが繰り返されることで、顎関節症の症状が出てくることがあります。

まず結論から言うと、子どもの顎関節症の原因には、「かみ合わせの不調和」「悪い習慣」「ストレスによる食いしばりや歯ぎしり」「外傷(転倒などによるあごの打撲)」などが大きく関係しています。

理由として、顎関節(がくかんせつ)は、頭の骨と下あごの骨をつなぐ関節で、非常に複雑で繊細な構造をしています。そこに継続的な負荷がかかることで、関節や筋肉に炎症やずれが生じ、痛みや違和感、動きの制限などが現れてくるのです。

たとえば、歯並びやかみ合わせにズレがあると、一部の歯に過剰な力がかかることになり、顎関節に偏った負荷がかかります。また、頬杖をつく、うつ伏せ寝をする、いつも同じ側で物を噛むなどの習慣も、あごのバランスを崩す原因になります。子どもの柔軟な関節や骨にとって、こうした習慣は想像以上に影響が大きいのです。

さらに、見落としがちなのが「精神的なストレス」による無意識の歯ぎしりや食いしばりです。学校生活や家庭環境などのストレスが、寝ている間や集中しているときの歯ぎしりとして表れることがあり、それが顎関節に悪影響を及ぼします。お子さんが眠っているときに歯ぎしりの音がする、日中に無意識で口元に力が入っている様子が見られる場合は要注意です。

また、あごの外傷も見逃せない原因の一つです。転んであごを打った、硬いものを噛んであごに負担がかかったなど、一度の大きな衝撃がきっかけで顎関節にズレが生じることもあります。

このように、顎関節症は一つの原因ではなく、複数の因子が影響して発症するケースが多いのが特徴です。だからこそ、子どもの日常生活や行動を丁寧に見直し、早めに適切な対応をすることが大切なのです。次の章では、「かみ合わせ」と「顎関節症」の関係についてさらに詳しくお伝えします。

噛み合わせと顎関節症の関係

噛み合わせ(咬合)は、顎関節症の発症や悪化に深く関わっている重要な要因のひとつです。とくに子どもの場合、あごの発達途中であり、噛み合わせの乱れが顎関節に大きな影響を及ぼすことがあります。

まず結論としてお伝えすると、噛み合わせの不調和は、顎関節に不自然な負担をかけることで、顎関節症のリスクを高める可能性があります。正しい噛み合わせが維持されていないと、あごの筋肉や関節の動きにアンバランスが生じ、痛みや違和感を引き起こす原因になるのです。

その理由は、噛み合わせが顎関節の動きと密接に関係しているからです。人は食事をするたびに上下の歯が接触し、咀嚼(そしゃく)運動を行います。この時、上下の歯がずれていたり、一部の歯だけが強く当たっていたりすると、顎の筋肉はバランスを取ろうとして過剰に働くことになります。こうした状態が日常的に続くと、関節や筋肉に疲労が蓄積し、炎症やズレを引き起こしやすくなります。

具体例を挙げると、「前歯で物を噛みにくい」「左右のどちらか一方でばかり噛んでいる」「口を開けたときにあごが横にずれる」などの様子が見られる場合、噛み合わせに何らかの問題があるかもしれません。このような状態が続くと、顎関節への負担が日々積み重なり、やがて顎関節症として症状が現れる可能性が高まります。

また、乳歯の時期に噛み合わせに問題があると、永久歯の生え方にも影響を及ぼします。たとえば、乳歯の早期喪失や虫歯による咀嚼の偏りが、顎の成長バランスを崩す要因となり、結果として噛み合わせが乱れ、顎関節に負担をかけるようになります。

このような理由から、小児期から噛み合わせの状態を定期的にチェックすることがとても大切です。歯並びだけでなく、あごの動きや顔の左右バランスも含めて総合的に診ることで、将来的な顎関節症のリスクを減らすことができます。次の章では、子どもによく見られる癖が顎関節にどのような影響を与えるのかについて詳しく見ていきましょう。

子どもの癖と顎関節症の関わり

顎関節症は構造的な問題だけでなく、日々の何気ない癖が引き金になることもあります。特に子どもの場合、成長の過程で身についた癖が、あごの発育や関節に大きな影響を及ぼすことがあるため注意が必要です。

結論として、子どもの癖の中には顎関節症のリスクを高めるものが多く存在し、それらを早期に見つけて改善していくことが、あごの健全な発育と顎関節症の予防につながります。

理由としては、子どもの骨や筋肉は柔らかく、環境や習慣の影響を受けやすいためです。大人に比べて柔軟性がある一方で、歪みやすいという特徴もあります。そのため、日常の中で何気なく繰り返している動作が、成長中の顎関節に偏った力をかける原因となることがあります。

たとえば、以下のような癖は顎関節症のリスクを高めるとされています:

  • 頬杖をつく 片側のあごに体重をかけることで、左右のバランスが崩れ、関節に過度な負担がかかります。
  • うつ伏せ寝 枕に顔を押しつけるような寝方は、あごの左右差を生みやすく、顎関節の動きに影響します。
  • 片側だけで噛む 虫歯や歯の欠損などが原因で片側ばかりを使って食べると、筋肉や関節に左右差が生まれます。
  • 口呼吸や舌癖(ぜつへき) 舌の位置が低い、前に出るなどの癖があると、正しいかみ合わせや顎の成長に悪影響を与えることがあります。
  • 爪を噛む・鉛筆をかじる 常に同じ場所に負荷がかかることで、筋肉や関節に無理な力が加わります。

こうした癖は、本人も自覚していないことが多いため、保護者の方の観察と声かけが重要になります。改善には時間がかかることもありますが、毎日の生活の中で少しずつ意識するだけでも効果があります。

また、小児歯科ではこのような癖についての相談やアドバイスも行っています。必要に応じて、口腔筋機能療法(MFT)などを取り入れ、正しい筋肉の使い方を促すトレーニングも提案できます。

次の章では、これらの癖や噛み合わせによる影響を軽減するために、日常生活の中で気をつけたいポイントを具体的にご紹介していきます。

顎関節症を悪化させないための日常生活の注意点

顎関節症は、早期に気づいて適切に対処すれば、日常生活に支障をきたすことなく過ごすことができます。そのためには、日々の生活習慣を見直し、顎関節に負担をかけない工夫をすることが非常に大切です。

結論として、顎関節症の悪化を防ぐには、あごに「無理な力をかけない」生活を意識することがポイントです。これは特別なことではなく、日々のちょっとした心がけの積み重ねで実現できます。

その理由は、顎関節やその周囲の筋肉はとても繊細で、姿勢や動作の癖などの影響を受けやすい構造をしているからです。つまり、顎関節症の予防や悪化防止には、関節や筋肉に過度な負担をかけないライフスタイルが必要なのです。

以下に、具体的な注意点を挙げていきます:

姿勢に注意する

長時間のスマホやゲーム、机にうつむいた姿勢は、あごに負担をかける原因になります。特に、頭を前に突き出すような姿勢(ストレートネック)では、あごの位置がずれて関節への圧力が増します。背筋を伸ばし、顎を引く正しい姿勢を心がけましょう。

硬いものを控える

スルメや氷、硬いお菓子などは咀嚼時に強い力が必要なため、顎関節への負荷が大きくなります。顎関節症の症状があるときは、できるだけ柔らかい食材を使った食事を心がけ、無理な咀嚼を避けることが大切です。

あごを大きく開けない

大きなあくびや、大きな口を開けて笑う、硬いものを無理にかじるなどの動作は、関節に強い圧力をかけます。痛みや違和感があるときは、ゆっくり小さく口を開けるようにするだけでも負担を軽減できます。

食いしばり・歯ぎしりの対策をする

無意識のうちにあごに力が入る癖は、関節と筋肉を酷使します。日中の食いしばりに気づいたときは、肩の力を抜き、上下の歯を軽く離す「安静位」を意識すると良いでしょう。睡眠中の歯ぎしりが疑われる場合には、専門の診察を受けることで適切な対応が可能です。

頬杖や片側だけで噛む癖を見直す

どちらか一方に負担がかかる習慣は、左右のバランスを崩し、顎関節の偏りにつながります。姿勢のクセを意識し、両側の歯をバランスよく使うように食事を楽しむことが理想です。

また、学校生活や習い事などで無理をしていると、ストレスが溜まり、それが食いしばりや歯ぎしりに繋がることもあります。子どもの様子をよく観察し、心身のバランスを整えることも、顎関節症の予防には欠かせません。

次の章では、顎関節症が疑われる場合にどう対応すればよいのか、受診の目安や小児歯科での対応についてご紹介していきます。

顎関節症が疑われるときの対処法

お子さんが「口を開けると音がする」「あごが痛い」「うまく噛めない」などの訴えをする場合、顎関節症の可能性を視野に入れる必要があります。早めに適切な対応をすることで、悪化や長期化を防ぎやすくなります。

結論からお伝えすると、顎関節症が疑われる症状が見られた場合は、無理にあごを動かさず、まずは小児歯科やかかりつけの歯科医院に相談することが最も重要です。

理由としては、自己判断で対処を続けてしまうと、症状が長引いたり、あごの機能に悪影響を及ぼしたりするリスクがあるからです。特に子どもの場合、痛みをうまく伝えられないことが多く、症状が進行してから気づかれるケースも少なくありません。

では、具体的にどのような対処が望ましいのでしょうか?以下のポイントを押さえておくと安心です。

1. 無理に口を大きく開けたり、固い物を食べさせない

痛みや違和感があるときは、あごの関節や筋肉にすでに負担がかかっている状態です。無理な咀嚼や大きな動きは避け、やわらかい食べ物を選ぶようにしましょう。口を開ける角度もできるだけ小さくし、安静を保つことが大切です。

2. 痛みや症状の様子をメモしておく

診療の際に、痛みの部位や発生時期、日常生活での影響などを詳しく伝えることで、より正確な診断につながります。例えば、「朝に痛みが強い」「ご飯のときにだけ音が鳴る」といった情報は、歯科医師にとって重要なヒントになります。

3. 早めに小児歯科やかかりつけ医へ相談

顎関節症の症状が数日続く、または繰り返し現れる場合は、専門的な診断が必要です。小児歯科では、成長過程にある子どもの顎の発達や噛み合わせ、筋機能の状態などを総合的に確認したうえで、必要なケアやアドバイスを行います。

4. 応急処置として冷やすことも選択肢に

痛みが強い場合は、患部を軽く冷やすことで炎症を抑える効果が期待できます。ただし、氷を直接当てるのではなく、冷たいタオルや保冷剤を布で包んで使用するようにしてください。また、冷やしすぎには注意が必要です。

5. 痛み止めの使用は歯科医師の指示のもとで

市販の痛み止めを使いたくなることもありますが、子どもの年齢や体調によっては適さないこともあります。安易な服用は避け、必ず医師の指導を受けてからにしましょう。

これらの対処を心がけつつ、子どもの様子をしっかり観察し、必要に応じて専門的なケアを受けることが、顎関節症の早期回復につながります。

次の章では、小児歯科でどのようなサポートが受けられるのか、治療の考え方や対応方法について詳しくご紹介していきます。

小児歯科でできるサポートと治療の考え方

顎関節症は、子どもの場合でも適切なサポートと環境を整えることで、悪化を防ぎ、健康なあごの発育を促すことが可能です。小児歯科では、単に症状に対処するのではなく、子どもの成長段階に合わせた包括的なアプローチが行われます。

結論として、小児歯科での顎関節症への対応は「早期発見・早期対応」「悪化予防のための生活指導」「発育段階に応じた治療提案」の3つの柱で進められます。これにより、子どもの健やかな成長を支えることができます。

理由は、子どものあごや歯並びは発展途上であり、大人と同じ対処法では逆効果になることもあるからです。小児歯科では、あごの柔軟性や成長の可能性を考慮しながら、今できるベストなケアを考えていきます。

以下は、小児歯科で行われる主なサポート内容です。

1. 問診と視診による詳細なチェック

最初に行われるのは、お子さんのあごの状態、噛み合わせ、生活習慣のヒアリングです。どのようなときに痛みが出るのか、普段の姿勢や食事の様子なども確認し、症状の背景にある要因を探ります。

2. 噛み合わせの評価と経過観察

歯並びや噛み合わせの異常が関係している場合は、そのまま様子を見るのではなく、定期的な経過観察を行います。必要に応じて矯正歯科への連携や、成長を利用した自然な改善方法を検討することもあります。

3. 生活指導と癖の改善アドバイス

頬杖、片噛み、うつ伏せ寝など、顎関節に負担をかける癖がある場合には、その改善方法をわかりやすく指導します。家庭で実践できる工夫や声かけのポイントなど、保護者の方と一緒に取り組んでいける内容です。

4. MFT(口腔筋機能療法)を取り入れることも

舌や口の周りの筋肉の使い方に問題がある場合は、MFT(Myofunctional Therapy:口腔筋機能療法)を提案することもあります。これは、舌・唇・頬などの筋肉の正しい使い方をトレーニングし、噛み合わせやあごの動きを安定させる目的があります。

5. 症状の重い場合の専門医との連携

痛みや機能障害が強く、日常生活に支障が出ている場合には、口腔外科などの専門医と連携し、必要に応じた精密検査や追加治療を行います。小児歯科はその窓口として、最初の相談から対応まで丁寧にサポートします。

このように、小児歯科では顎関節症に対して「子どもの成長を見据えたアプローチ」を大切にしています。一時的な対応にとどまらず、将来を見据えたケアを通じて、健やかな口腔環境を一緒に育んでいくことが目標です。

次の章では、これまでの内容を振り返りながら、保護者の方が今日からできることについてまとめていきます。

終わりに

顎関節症は、大人だけの問題ではなく、成長期の子どもにも起こりうる身近なトラブルのひとつです。特に子どもの場合、あごや筋肉、歯並びなどが発展途中にあるため、小さな癖や生活習慣が、将来的に大きな影響を与えてしまうこともあります。

今回のブログでは、「顎関節症とは何か」から始まり、「その主な原因」「噛み合わせや日常の癖との関係性」「悪化させないための生活の工夫」、そして「小児歯科でのサポート体制」まで、段階を追ってご紹介しました。

結論として、顎関節症の予防や進行防止には、日々のちょっとした気づきとケアの積み重ねが何より大切です。痛みが出てから対応するのではなく、日常の癖に気づき、あごや口まわりに無理な負担をかけない工夫を取り入れることが、健康な成長を支える第一歩になります。

また、小児歯科は「歯を治す場所」というだけでなく、「成長を見守り、将来につながる口腔ケアを提供する場所」でもあります。顎関節のトラブルも含め、お口まわりの気になることがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。

お子さんが痛みなく、健やかに食事や会話を楽しめる毎日を過ごせるよう、私たちは全力でサポートしていきます。保護者の方も、気になるサインにいち早く気づけるよう、ぜひ今回の内容を参考にしていただければ幸いです。

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