・子どもが歯医者を嫌がって泣いてしまう
・親としてどう対応したらいいかわからない
・毎回の通院がストレスで疲れてしまう
・他の親はどうしているのか知りたい
・少しでも笑顔で通えるようになりたい
歯医者に行くのを嫌がる子どもはとても多いです。
そのたびに親もストレスを抱え、心が疲れてしまいます。
この記事では、親ができる声かけや準備、治療後のフォローなどを小児歯科医の視点からわかりやすくまとめました。
記事を読むことで、親も子も心が軽くなり、歯医者通いが少し楽しみになるヒントが見つかります。
親子の笑顔を増やすために、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
歯医者を嫌がる子どもの気持ちを理解する
歯医者に行く前から泣き出したり、診察室の前で固まったりする子どもは少なくありません。
そんなとき親は「どうしてこんなに嫌がるの？」と戸惑うことも多いです。
でも、子どもの立場になって考えてみると、理由が見えてきます。
小さな子どもにとって歯医者は「未知の世界」です。
大きな椅子、キーンという機械音、見慣れない器具。
特に初めての場合は、何をされるのかわからず不安でいっぱいです。
さらに、過去に痛かった・怖かったという経験があると、それが記憶に強く残ります。
子どもの記憶はとても鮮明で、「あのとき怖かった」という気持ちが次の通院を嫌がる原因になります。
また、子どもは親の表情や言葉にも敏感です。
親が「ちゃんとしないと怒られるよ」と言ったり、緊張した顔で接すると、その雰囲気を察知して余計に怖がります。
逆に、親が安心した笑顔を見せていると、子どもも少し安心します。
ここで大事なのは「子どもの気持ちを否定しない」ことです。
「泣かないで」「怖がらないで」と言われると、子どもは「泣くこと・怖がることは悪いこと」と感じてしまいます。
そうではなく、「怖いよね。でも頑張ろうね」と寄り添う姿勢が大切です。
親として、まずは
・歯医者が未知の場所だから怖い
・過去の経験が影響している
・親の態度や言葉が子どもの不安に影響する
という3つを理解しましょう。
そのうえで、無理に怖がらせない・押さえつけないことが大事です。
小児歯科では、子どものペースに合わせて少しずつ慣れていける工夫をしています。
治療そのものだけでなく、環境や声かけの積み重ねが安心感につながります。
この章では、まず「嫌がるのは当然」という理解を持つことがスタート地点です。
親自身が心を落ち着けることで、子どもの不安も少しずつやわらいでいきます。
次の章では、親の具体的な心構えと声かけについて詳しく見ていきましょう。
親の心構えと正しい声かけ
子どもが歯医者を嫌がると、親は「どうしたら泣かずに済むのだろう」と焦ってしまいます。
ですが、まず大切なのは親自身の心構えです。
親が落ち着いて、正しい声かけを心がけることで、子どもの不安は大きく減ります。
心構えの一つ目は、「子どもの感情を受け止めること」です。
「泣かないで」「もう赤ちゃんじゃないでしょ」という言葉は、子どもを追い詰めます。
泣きたい気持ちは自然な反応なので、
「怖いよね、でも大丈夫。ママ（パパ）がいるよ」と寄り添う声かけが安心感を生みます。
二つ目は、親が余裕を持つことです。
親が焦ったりイライラしたりしていると、その空気を子どもは敏感に感じ取ります。
「今日は少し時間がかかってもいい」「泣いても仕方ない」という気持ちで臨むと、親の表情が柔らかくなります。
そうすることで、子どもも不安が和らぎます。
声かけの工夫としては、ポジティブな言葉を使うことが重要です。
例えば「痛くないよ」ではなく、「先生が優しく見てくれるよ」と伝えます。
否定の言葉（痛くない・怖くない）は、かえって子どもに「痛いの？」「怖いの？」と連想させてしまうことがあります。
また、治療中は「頑張って」「えらいね」と小さな声で応援してあげるのも効果的です。
診療後には「頑張ったね」「すごかったね」としっかり褒めることで、次の通院が前向きな気持ちにつながります。
ここでまとめると、親の心構えとして大切なのは次の3つです。
・感情を否定せず、受け止めること
・親自身が落ち着くこと
・ポジティブな声かけを心がけること
歯科医側も、親子が安心できる環境づくりを心がけています。
親の協力があることで、子どもは少しずつ治療に慣れ、歯医者への苦手意識が薄れていきます。
次の章では、事前準備の具体的な方法についてお話ししていきます。
子どもの不安を減らす事前準備
歯医者に行く前の準備は、子どもの不安を大きく減らす重要なポイントです。
事前にできることを知っておくことで、親も子も心の準備が整い、当日を穏やかに迎えられます。
まず大事なのは、歯医者について前向きなイメージを持たせることです。
例えば絵本やアニメで歯医者を題材にしたものを見せたり、「先生がむし歯を見てくれるんだよ」と楽しく説明したりします。
このとき「怖くないからね」と言うのではなく、「歯をピカピカにしてもらえるよ」というように、期待が膨らむ言葉を使いましょう。
次に、親が一緒に練習することも有効です。
家で「お口をあーんしてみよう」「椅子にゴロンしてみよう」と遊びの延長でやってみると、診療当日の動作に慣れやすくなります。
ぬいぐるみを使って「ぬいぐるみさんもお口を見てもらおうね」と見せるのも良い方法です。
服装にも気を配りましょう。
締め付け感のない、リラックスできる服を選ぶと子どもが落ち着きやすくなります。
お気に入りのタオルや小さなおもちゃを持たせるのも、不安を和らげる助けになります。
予約時間の選び方も大切です。
できれば子どもの機嫌が良い時間帯、眠たくなる前やお腹が空く前を選びます。
ギリギリに駆け込むのではなく、少し早めに到着して余裕を持つのがおすすめです。
まとめると、事前準備のポイントは次の通りです。
・歯医者をポジティブに説明する
・家で簡単な練習をしておく
・リラックスできる服や安心アイテムを用意する
・余裕を持ったスケジュールを立てる
小児歯科医も、子どもが安心できるように診察の説明をしたり、治療のステップをゆっくり進めたりしています。
家庭での準備と歯科医の対応が合わさることで、子どもの心の負担はぐっと軽くなります。
次の章では、いよいよ当日の歯科医院での過ごし方を詳しく見ていきますね。
当日の歯科医院での過ごし方
歯医者に到着したとき、子どもがぐずったり、表情がこわばったりすることは珍しくありません。
ここで親がどう対応するかによって、その後の治療のスムーズさが変わります。
まず大切なのは、親が落ち着いて笑顔でいることです。
親がそわそわしたり不安そうな顔をすると、子どもは敏感に察知します。
「今日は先生に歯を見てもらおうね」と明るい声で話しかけるだけで、子どもは少し安心できます。
待合室では、できるだけリラックスした雰囲気を作りましょう。
お気に入りの絵本や小さなおもちゃを持っていくのは効果的です。
ただし、ゲームや動画は夢中になりすぎて診察直前に切り替えが難しくなることがあるため、短時間の使用がおすすめです。
いよいよ診察室に呼ばれたら、子どもを優しく促し、怖がっても無理やり連れて行かないことが重要です。
抱っこが必要な年齢の子どもなら、親が一緒に診察室に入ることで安心感を与えられます。
小児歯科の多くは親がそばにいられる環境を整えていますので、心配せずに声をかけながら寄り添ってあげましょう。
治療中は、必要以上に声をかけず見守ることがポイントです。
「がんばれ！」「大丈夫？」と声をかけすぎると、子どもはかえって緊張することがあります。
小児歯科医やスタッフは、子どもに慣れた接し方をしています。
基本は任せ、親はそばで見守る姿勢を持つとよいです。
治療が終わったら、必ずしっかり褒めること。
「泣かずにえらかったね」ではなく、「最後まで頑張ったね」「お口を上手にあーんできたね」という具体的な褒め方が効果的です。
当日の過ごし方のまとめです。
・親が笑顔で落ち着いている
・待合室ではリラックスできる工夫をする
・診察室では子どものペースに寄り添う
・治療中は見守る姿勢を大事にする
・終わったら具体的に褒める
小児歯科では、親子の負担をできるだけ軽くするために、環境や進め方を工夫しています。
親御さんが安心して関わることで、子どもは少しずつ歯医者に慣れていきます。
次は、治療後のフォローと褒め方について詳しくお伝えしますね。
治療後のフォローと褒め方
歯医者での治療が終わったあと、子どもの心に残るのは「頑張った自分の経験」です。
このとき親がどうフォローするかで、次の通院への気持ちが大きく変わります。
まず大切なのは、治療後すぐにしっかり褒めることです。
ポイントは「具体的に褒める」こと。
たとえば「えらかったね」だけではなく、
「お口をあーんってできてえらかったね」
「泣いちゃったけど最後まで頑張ったね」
というように、行動や頑張りを具体的に言葉にします。
子どもは何を褒められたのかがわかることで、自信につながります。
次に、治療後の安心感を与えることも重要です。
子どもは治療後も緊張が続いている場合があります。
帰り道にお散歩をしたり、家に帰ってゆっくり抱きしめてあげたり、
「もう大丈夫だよ」という安心を伝えましょう。
さらに、次回の通院が必要な場合には、「また頑張れるね」と前向きに話しておくことがおすすめです。
ただし、あまり先のことを強調しすぎるとプレッシャーになるので、「また行こうね」と軽い雰囲気で伝えるとよいです。
親御さんが気をつけたいのは、「頑張ったご褒美」の扱いです。
お菓子やジュースを特別に与えると、「治療を頑張ったら甘いものがもらえる」と子どもが学習してしまいます。
それよりも、「一緒に絵本を読もう」「お散歩しよう」といった親子の時間や、笑顔のスキンシップで十分です。
治療後のフォローのまとめです。
・具体的に褒める
・安心感をしっかり伝える
・次回の話は軽く前向きにする
・ご褒美は物ではなく親子の時間にする
小児歯科医は、治療後の子どもにもしっかり声をかけ、前向きな経験として終われるように心がけています。
親子で協力して、この体験を良いものにしていきましょう。
次は、親子で楽しむ歯医者通いの工夫についてお話ししますね。
親子で楽しむ歯医者通いの工夫
歯医者通いを「嫌なイベント」から「少し楽しいイベント」に変える工夫をすることで、子どもの負担はぐっと減ります。
親子でできるちょっとした工夫を取り入れるだけで、歯医者に対する気持ちは前向きになります。
まずおすすめなのは、「通院の前後を楽しい時間にする」ことです。
たとえば、歯医者に行った後は近くの公園に寄ったり、お気に入りの絵本屋さんに立ち寄ったりする計画を立てましょう。
「歯医者に行ったら、その後に楽しいことが待っている」という期待感が、子どもの気持ちを軽くします。
次に、歯医者に関する絵本やおもちゃを家で楽しむのも良い方法です。
歯医者さんごっこをしたり、歯磨きのぬいぐるみ遊びをしたりすることで、歯医者が身近で親しみやすい存在になります。
子どもが主役になれる遊びを通じて、「自分はできる」という自信が育ちます。
さらに、通院の記録をつけるのもおすすめです。
カレンダーにシールを貼ったり、簡単な「歯医者ノート」を作ったりして、頑張った日を目に見える形で残しましょう。
子どもにとって「頑張りの証」が残ると、次もやってみようという気持ちが湧きます。
親の声かけも工夫が必要です。
「嫌だけど頑張ろうね」ではなく、「先生に歯を見てもらおうね」「ピカピカにしようね」と前向きな表現を使います。
通院を特別なイベントとしてではなく、日常の大切な習慣の一部として扱うことで、ハードルが下がります。
工夫のまとめです。
・通院前後に楽しい計画を立てる
・家で歯医者ごっこや歯の遊びを取り入れる
・通院記録をつけ、頑張りを見える形にする
・前向きな声かけを心がける
小児歯科医は、子どもが笑顔で帰れるように小さな成功体験を積み重ねています。
親御さんの工夫と組み合わせることで、歯医者通いは親子にとってより前向きなものになります。
次の章では、小児歯科医から親御さんに伝えたいことをまとめますね。
小児歯科医が伝えたいこと
小児歯科医として、日々多くの親子と接していると、
「もっと肩の力を抜いて大丈夫ですよ」とお伝えしたくなる場面がたくさんあります。
まず強調したいのは、歯医者を嫌がることは決して「悪いこと」ではないということです。
怖がったり泣いたりするのは、子どもにとって自然な反応です。
むしろ、それを受け止めてくれる親の存在こそが、子どもにとって一番の安心材料になります。
小児歯科医は、子どもの不安や恐怖心を理解し、それを和らげるための工夫をたくさんしています。
初めての子には診察室を見せるだけの日を作ることもありますし、治療を段階的に進めることもあります。
一度ですべてうまくいかなくても大丈夫です。
少しずつ慣れていけば、必ず前に進めます。
また、親御さんご自身が「完璧」を目指さなくていいのです。
子どもが泣いてしまった、暴れてしまった、それだけで「失敗」と感じる必要はありません。
大事なのは、毎回終わったあとに「よく頑張ったね」と声をかけてあげること。
その積み重ねが、次につながります。
小児歯科では、親子が一緒に成長できる時間を大切にしています。
治療の目的は単にむし歯を治すことではありません。
子どもが「自分の歯を大切にする気持ち」を持ち、健康な口を育てていく土台を作ることです。
そのために、私たち歯科医は全力でサポートします。
親御さんには、次の3つをぜひ心に留めてほしいです。
・子どもが怖がるのは自然なこと
・少しずつ慣れていけば大丈夫
・親自身も完璧を目指さなくていい
一緒に、子どもの健やかな歯の未来を守っていきましょう。
最後の章では、これまでの内容をまとめて終わりますね。
終わりに
歯医者を嫌がる子どもと向き合うのは、親にとって大きな挑戦です。
でも、このブログでお伝えしたように、親の心構えや声かけ、事前準備、当日の過ごし方、治療後のフォロー、そして楽しい工夫を取り入れることで、親子のストレスは大きく減らせます。
ここで、記事の内容を簡単にまとめます。
- 子どもが歯医者を嫌がるのは自然な反応
- 親は落ち着いて、具体的な声かけを心がける
- 家で簡単な練習や前向きな説明をして準備する
- 当日は子どものペースに寄り添い、治療後は具体的に褒める
- 通院を楽しいイベントに変える工夫をする
- 小児歯科医は、親子が安心できるよう全力でサポートしている
歯医者通いは、単なるむし歯治療のためだけではありません。
「自分の歯を大切にする」という大事な習慣を、親子で一緒に育てていくチャンスです。
これからも、親御さんとお子さんが笑顔で通院できるよう、私たち小児歯科の現場は全力で支えていきます。
ぜひ今日の記事を参考にして、少しずつ「歯医者さんって大丈夫かも」という気持ちを育ててくださいね。
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