- 毎日磨いているのに、子どもの歯をきれいに磨けているのか不安
- 子どもが歯磨きを嫌がり、つい強い力で磨いてしまう
- 歯磨き粉の量や、口をすすぐ回数が合っているのかわからない
- 仕上げ磨きをいつまで続ければよいのか迷っている
- 自己流の歯磨きで、歯や歯ぐきを傷つけていないか心配
子どもの歯を守るために欠かせない毎日の歯磨き。しかし、一生懸命に磨いていても、力の入れすぎや歯ブラシの選び方、歯磨き粉の使い方などに問題があると、歯垢を十分に落とせないことがあります。良かれと思って続けている習慣が、歯磨きの効果を下げている場合も少なくありません。
子どもの口の大きさ、歯の生え方、歯磨きの上達度には個人差があります。小児歯科医は、年齢だけで判断するのではなく、一人ひとりのお口の状態や生活リズムに合わせた歯磨き方法を一緒に考えます。
この記事では、毎日の歯磨きで避けたい9つのNG習慣を取り上げます。歯ブラシを当てる力や動かし方、交換時期、歯磨き粉の量、すすぎ方、仕上げ磨きのポイントまで、家庭で見直しやすい内容を順番に解説します。
正しい歯磨きの基本がわかると、保護者の負担を抑えながら、磨き残しを減らしやすくなります。子どもを必要以上に叱らず、親子で落ち着いて歯磨きを続けるためのヒントも見つかるでしょう。
歯磨きで大切なのは、長時間強く磨くことではありません。子どもに合った道具を使い、必要な場所へ毛先をやさしく当て、無理なく毎日続けることです。9つのNG習慣を一つずつ見直し、子どもの健やかな歯を守る歯磨きへ整えていきましょう。
毎日の歯磨きに潜むNG習慣を見直そう
「毎日きちんと歯磨きをしているから大丈夫」と思っていても、磨き方や道具の使い方によっては、歯垢が残ってしまうことがあります。特に子どもの歯は小さく、歯と歯の間や奥歯の溝、歯と歯ぐきの境目などに歯ブラシの毛先が届きにくいため、丁寧に磨いているつもりでも磨き残しが生じやすいものです。
歯磨きで大切なのは、力を入れて長時間磨くことではありません。歯ブラシの毛先を汚れが残りやすい場所へやさしく当て、小さく動かしながら順番に磨くことが基本です。強く磨きすぎると、子どもが痛みを感じて歯磨きを嫌がる原因になります。歯ブラシを大きく動かす磨き方も、細かな部分へ毛先が届きにくくなるため注意が必要です。
毎日の歯磨きで見直したいポイントには、次のようなものがあります。
- 歯ブラシを強く押しつけていないか
- 毛先を大きく動かしていないか
- 毛先が広がった歯ブラシを使い続けていないか
- 子どもの口に合う大きさを選んでいるか
- 歯磨き粉を必要以上につけていないか
- 歯磨き後に何度もすすいでいないか
- 前歯などの磨きやすい場所だけで終えていないか
- 子どもだけに歯磨きを任せていないか
- 嫌がる子どもを強く叱っていないか
当てはまる項目があっても、保護者が自分を責める必要はありません。子育て中は朝の支度や食事、入浴、寝かしつけなどが重なり、毎回理想どおりに磨くことは難しいからです。まずは無意識に続けている習慣へ気づき、直しやすい部分から一つずつ整えていきましょう。
子どもの歯磨きは、むし歯予防だけでなく、将来にわたって自分の歯を大切にする習慣を育てる時間でもあります。完璧を目指すより、短い時間でも毎日続け、できたことを認める姿勢が大切です。これから紹介する9つのNG習慣を確認しながら、親子に合った無理のない歯磨き方法を見つけていきましょう。
歯磨きのNG① 歯ブラシを強く押しつけて磨く
子どもの歯をきれいにしようとして、歯ブラシを強く押しつけていませんか。しっかり力を入れたほうが歯垢を落とせそうに感じますが、強すぎる力は歯磨きの効果を高めるとは限りません。毛先が歯の表面で大きく開くと、汚れが残りやすい細かな部分へ届きにくくなります。
特に注意したい場所は、歯と歯ぐきの境目、奥歯の溝、歯と歯の間です。強い力で磨くと毛先が寝てしまい、狙った場所に毛先を当てにくくなります。歯垢を落とすためには、力よりも毛先の位置と動かし方が大切です。
また、強い力による歯磨きは、子どもが痛みを感じる原因になります。仕上げ磨きのたびに痛い思いをすると、歯ブラシを見ただけで逃げたり、口を開けなくなったりする場合があります。歯磨きを嫌がる子どもに対して力を加えると、さらに抵抗が強くなり、親子ともに負担が増えてしまいます。
適切な力加減の目安は、歯ブラシの毛先が広がらない程度です。鉛筆を持つように歯ブラシを軽く持つと、余計な力が入りにくくなります。手のひら全体で強く握るより、指先で支えるように持つほうが細かな動きにも向いています。
仕上げ磨きでは、子どもの頭を安定させ、口の中が見える姿勢を整えましょう。磨く場所を確認せずに手だけを動かすと、必要以上に力が入りやすくなります。明るい場所で歯を見ながら、毛先を一本ずつやさしく当てる意識が大切です。
強く磨いているかどうかは、次のポイントから確認できます。
- 歯ブラシの毛先が短期間で広がる
- 歯磨き中に子どもが痛がる
- 歯ぐきに歯ブラシが当たると嫌がる
- 磨くときに腕や肩へ力が入っている
- 毛先が歯の表面で大きく曲がっている
毛先がすぐに広がる場合は、歯ブラシの交換だけでなく、磨く力も見直してみてください。新しい歯ブラシへ替えても短期間で毛先が開くなら、押しつける力が強い可能性があります。
子どもの歯磨きでは、「強くこする」よりも「毛先を必要な場所へ届ける」ことが重要です。やさしい力でも、歯ブラシを小さく動かし、順番を決めて磨けば、磨き残しを減らしやすくなります。力を抜いた歯磨きは、子どもの痛みや怖さを和らげ、毎日の仕上げ磨きを続けやすくすることにもつながります。
歯磨きのNG② 大きくゴシゴシ動かして磨く
歯ブラシを左右へ大きく動かし、ゴシゴシと勢いよく磨いていませんか。動きが大きいほど歯全体をしっかり磨けているように感じますが、子どもの小さな歯には細かな動きが適しています。大きく動かす磨き方では、毛先が歯の丸みに沿わず、汚れが残りやすい部分を通り過ぎてしまうからです。
子どもの歯は大人の歯より小さく、歯と歯の間や奥歯の溝も細かく入り組んでいます。歯ブラシを大きく動かすと、一度に複数の歯を磨く形になり、毛先が必要な場所へ十分に当たりません。特に、歯と歯ぐきの境目、奥歯のかみ合わせ、いちばん奥の歯の後ろ側には磨き残しが生じやすくなります。
ゴシゴシ磨きは、歯ブラシが唇の裏側や頬の内側、歯ぐきへ強く当たりやすい点にも注意が必要です。仕上げ磨きで急に歯ブラシが動くと、子どもは痛みや怖さを感じます。歯磨きの時間そのものを嫌がるようになると、口を開けてもらうことが難しくなり、保護者の負担も大きくなってしまいます。
歯ブラシは、1本から2本の歯を目安にして小さく動かしましょう。毛先を歯の表面へ当てたまま、細かく振動させるように動かすと、歯の丸みや細かな部分へ毛先が届きやすくなります。腕全体を大きく動かすのではなく、指先を使ってコントロールすることがポイントです。
仕上げ磨きでは、次のような順番を決めておくと磨きやすくなります。
- 上の歯の外側
- 上の歯の内側
- 上の奥歯のかみ合わせ
- 下の歯の外側
- 下の歯の内側
- 下の奥歯のかみ合わせ
毎回同じ順番で磨くと、磨いた場所と磨いていない場所がわかりやすくなります。子どもが途中で動いても、どこから再開すればよいか迷いにくいでしょう。前歯から始めると嫌がる子どもには、比較的触れられることを受け入れやすい奥歯から始める方法もあります。
歯ブラシを小さく動かせているかは、毛先の動きを見ると確認できます。毛先が歯の上を滑るように大きく移動している場合は、動かす幅が広すぎます。毛先を当てた位置から大きく離さず、数ミリ程度の幅で細かく動かす意識を持ちましょう。
ただし、小さく動かすことに集中しすぎて、同じ場所ばかり長く磨く必要はありません。大切なのは、歯を一部分ずつ確認しながら、順番に進めることです。短い時間でも、毛先を正しい場所へ当てられれば、効率よく歯磨きを進められます。
大きくゴシゴシ磨く習慣を、やさしく細かく磨く習慣へ変えると、磨き残しを減らしやすくなります。子どもが感じる痛みや不快感も抑えられるため、仕上げ磨きへの抵抗を和らげることにもつながります。勢いで磨くのではなく、1本ずつ歯を確認する気持ちで、丁寧に毛先を動かしましょう。
歯磨きのNG③ 毛先が広がった歯ブラシを使い続ける
歯ブラシの毛先が外側へ広がっているのに、「まだ使えそう」と考えて、そのまま使い続けていませんか。見た目には大きな傷みがなくても、毛先が開いた歯ブラシは歯の表面へ均等に当たりにくくなります。歯垢を落とす力も弱まりやすいため、毎日磨いていても、汚れが残る原因になります。
歯ブラシは、毛先がまっすぐそろっている状態で使うことが大切です。毛先が広がると、歯と歯ぐきの境目や奥歯の溝など、細かな場所へ届きにくくなります。広がった毛先が歯の表面を滑るだけになり、磨いたつもりでも必要な部分を十分に清掃できない場合があります。
特に子どもの歯は小さく、歯並びの途中で段差ができていることも少なくありません。乳歯と永久歯が混在する時期には、背の低い歯と高い歯が並ぶため、毛先を細かく当てる必要があります。傷んだ歯ブラシでは複雑な形に対応しにくく、奥歯や生えかけの永久歯に磨き残しが生じやすくなります。
歯ブラシの交換時期は、使用期間だけで判断するのではなく、毛先の状態を見て決めましょう。歯ブラシを後ろ側から見たときに、毛先がヘッドの幅より外へはみ出している場合は交換の目安です。交換してから日が浅くても、毛先が広がっていれば新しいものへ替えてください。
次のような状態が見られたら、交換を考えましょう。
- 毛先が外側へ開いている
- 毛先の高さが不ぞろいになっている
- 毛先に弾力がなくなっている
- ブラシ部分に汚れが残っている
- 子どもが毛先をかんで変形させている
- 歯ブラシを後ろから見たときに毛先が見える
子どもは歯磨き中に歯ブラシをかむことがあるため、大人より早く毛先が傷む場合があります。仕上げ磨き用の歯ブラシまでかませてしまうと、細かな場所を磨きにくくなります。子どもが自分で使う歯ブラシと、保護者が使う仕上げ磨き用の歯ブラシを分けると、それぞれの状態を保ちやすくなります。
新しい歯ブラシへ替えても短期間で毛先が広がる場合は、磨く力が強すぎる可能性があります。交換回数を増やすだけではなく、歯ブラシを握る力や毛先の当て方も確認してください。鉛筆のように軽く持ち、毛先が大きく曲がらない程度の力で磨くことがポイントです。
使用後の保管方法にも注意が必要です。歯ブラシは流水でしっかり洗い、毛先に残った歯磨き粉や汚れを落とします。その後は水気を切り、風通しのよい場所で毛先を上にして保管しましょう。家族の歯ブラシ同士が触れ合わないように置くことも大切です。
歯ブラシは、毎日の歯磨きを支える身近な道具です。毛先が傷んだままでは、丁寧に磨いても十分な清掃につながりにくくなります。交換日をカレンダーやスマートフォンへ記録する、毎月決まった日に毛先を確認するなど、忘れにくい仕組みを作りましょう。状態のよい歯ブラシを使うことが、子どもの歯をやさしく効率よく磨く第一歩です。
歯磨きのNG④ 子どもの年齢に合わない歯ブラシを使う
家にある歯ブラシを何となく選び、子どもの年齢や口の大きさに合っているか確認しないまま使っていませんか。子どもの歯磨きでは、磨き方だけでなく、歯ブラシの大きさや持ちやすさも重要です。ヘッドが大きすぎたり、柄が扱いにくかったりすると、奥歯や歯の裏側へ毛先が届きにくくなります。
歯ブラシのパッケージに書かれた対象年齢は、選ぶときの目安になります。ただし、同じ年齢でも口の大きさ、歯の生え方、手の動かし方には個人差があります。年齢だけで決めるのではなく、子どもが無理なく口へ入れられるか、保護者が仕上げ磨きをしやすいかも確認しましょう。
ヘッドが大きすぎると奥歯を磨きにくい
子どもの口は小さいため、大きなヘッドの歯ブラシでは細かな部分へ入りにくくなります。特に、いちばん奥にある歯の外側や後ろ側は、頬が歯ブラシの動きを妨げやすい場所です。大きな歯ブラシを無理に入れると、頬や歯ぐきに当たり、子どもが痛みを感じる場合もあります。
ヘッドは、子どもの口の中で向きを変えやすい小さめのものが適しています。歯を一度にたくさん磨こうとせず、1本から2本ずつ毛先を当てられる大きさを選びましょう。小回りの利く歯ブラシを使うと、歯と歯ぐきの境目や奥歯の溝も確認しやすくなります。
子ども用と仕上げ磨き用は役割が異なる
子どもが自分で使う歯ブラシと、保護者が仕上げ磨きに使う歯ブラシは、分けて用意すると便利です。子ども用の歯ブラシは、本人が握りやすく、安全に使いやすい形を重視して作られています。一方、仕上げ磨き用は、保護者が細かな動きを行いやすいように、柄が長めでヘッドが小さく設計されているものがあります。
子どもが使った歯ブラシをそのまま仕上げ磨きに使うと、毛先がかまれて広がっていたり、柄が短くて奥歯を確認しにくかったりします。自分磨き用と仕上げ磨き用を使い分けることで、子どもの練習と保護者による清掃の両方を進めやすくなります。
毛のかたさも確認する
硬い毛の歯ブラシなら、汚れを強く落とせるとは限りません。子どもの歯ぐきは刺激に敏感なため、硬すぎる毛を強く当てると、痛みを感じて歯磨きを嫌がる原因になります。基本的には、やわらかめやふつうのかたさから、子どもの口の状態に合うものを選びます。
毛がやわらかくても、強く押しつければ歯ぐきへ負担がかかります。反対に、毛先を適切な場所へやさしく当てれば、必要以上に硬い歯ブラシを使う必要はありません。歯ブラシのかたさと磨く力をセットで見直しましょう。
成長に合わせて歯ブラシを選び直す
子どもの口の中は、成長とともに大きく変化します。乳歯が生え始めた時期、奥歯がそろう時期、永久歯への生え替わりが進む時期では、磨きやすい歯ブラシも異なります。以前から使っている種類が、現在の歯並びに合っているとは限りません。
次のような変化があったときは、歯ブラシを見直す機会です。
- 初めての乳歯が生えた
- 乳歯の奥歯が生えてきた
- 子どもが自分で磨き始めた
- 永久歯への生え替わりが始まった
- 奥に新しい永久歯が生えてきた
- 歯ブラシを口へ入れにくそうにしている
- 仕上げ磨きで奥歯へ毛先が届きにくい
生え替わりの時期には、高さの違う歯が並びます。生えたばかりの永久歯は周囲の歯より低い位置にあることが多く、普通に横から磨くだけでは毛先が届きにくい場合があります。小さなヘッドの歯ブラシを使い、磨きたい歯へ斜めや横から毛先を当てる工夫が必要です。
キャラクターや色だけで選ばない
子どもが気に入るデザインは、歯磨きへの興味を高めるきっかけになります。好きな色やキャラクターの歯ブラシを選ぶこと自体に問題はありません。ただし、見た目だけで決めず、ヘッドの大きさや毛の状態、柄の持ちやすさも確認してください。
子ども自身にいくつかの候補から選んでもらうと、歯磨きへ前向きになりやすくなります。保護者が口に合う商品を絞り、その中から子どもが好きなデザインを選ぶ方法がおすすめです。使いやすさと楽しさの両方を大切にできます。
年齢に合わない歯ブラシを使い続けると、磨きにくさを子どものやる気や技術の問題だと考えてしまいがちです。しかし、道具を変えるだけで歯ブラシが届きやすくなり、親子の負担が軽くなる場合があります。子どもの成長や歯の生え方に合わせて歯ブラシを選び直し、無理なく丁寧に磨ける環境を整えましょう。
歯磨きのNG⑤ 歯磨き粉を多くつけすぎる
歯磨き粉をたくさんつけたほうが、歯をきれいにできると思っていませんか。歯ブラシの毛先が隠れるほど歯磨き粉をのせると、口の中がすぐに泡でいっぱいになり、十分に磨く前に歯磨きを終えてしまうことがあります。子どもの歯磨きでは、量を増やすことよりも、年齢に合った量を守って歯の表面へ丁寧に広げることが大切です。
歯磨き粉の泡や香りが強いと、子どもは「たくさん磨けた」と感じやすくなります。しかし、泡立ちと歯垢が落ちた量は同じではありません。短時間で口の中がさっぱりしても、奥歯の溝や歯と歯の間、歯と歯ぐきの境目に汚れが残っている場合があります。
歯磨き粉が多いと磨き残しに気づきにくい
歯磨き粉を多くつけると、泡で歯が見えにくくなります。仕上げ磨きでは、毛先がどこに当たっているのかを目で確認することが重要です。泡が多い状態では、奥歯や歯の裏側を確認しにくくなり、磨いた場所と磨いていない場所の区別もつきにくくなります。
また、口の中に泡がたまると、子どもが早く吐き出したくなります。歯磨きの途中で何度も止めることになり、磨く順番が乱れる原因にもなります。少ない量から始めると、歯の位置を確認しながら落ち着いて磨きやすくなります。
年齢に合った量を守る
子ども用の歯磨き粉は、年齢に応じた使用量を確認して使いましょう。必要な量は、子どもの年齢や使用する歯磨き粉によって異なります。パッケージに記載された使用方法を確認し、保護者が量を調整してください。
歯磨き粉を子どもへ渡したままにすると、必要以上に出してしまう場合があります。特に、チューブから自分で出すことを楽しむ時期には注意が必要です。保護者が歯ブラシへ適量をつけてから渡すと、使いすぎを防ぎやすくなります。
量を確認するときは、次の点を意識しましょう。
- 年齢に合った使用量を確認する
- パッケージの表示に従う
- 保護者が歯ブラシへつける
- 毛先全体を歯磨き粉で覆わない
- 子どもが追加しないように見守る
毎回同じ量を使えるように、保護者が見本を見せる方法も役立ちます。「このくらい」と目で覚えられるようになると、子どもが自分で準備する年齢になっても量を調整しやすくなります。
歯磨き粉を飲み込ませない
小さな子どもは、口に入れたものを上手に吐き出せないことがあります。味が気に入ると、歯磨き粉を食べ物のように口へ入れようとする場合もあるため、手の届く場所へ置いたままにしないことが大切です。
歯磨き粉は、決められた量を歯磨きに使うものです。子どもが自分でチューブを持つ場合も、必ず保護者が見守りましょう。歯磨き中は、飲み込まずに吐き出す練習を無理のない範囲で進めます。まだ吐き出しが難しい年齢では、使用方法について歯科医院で相談すると安心です。
味や刺激が強すぎる歯磨き粉にも注意する
歯磨き粉の量だけでなく、味や刺激の強さも確認してください。子どもが「辛い」「痛い」と感じる歯磨き粉を使い続けると、歯磨き自体を嫌がる原因になります。大人用の歯磨き粉は、子どもにとって香りや清涼感が強すぎる場合があります。
子どもが受け入れやすい味を選ぶことは、毎日の歯磨きを続けるための工夫の一つです。ただし、好きな味だからといって量を増やしてはいけません。使いやすさと適量の両方を守りましょう。
歯磨き粉を嫌がる場合は、無理に多くつける必要はありません。最初は少ない量から慣らし、子どもの様子を見ながら使います。歯磨き粉をつけることよりも、歯ブラシの毛先を必要な場所へきちんと当てることが基本です。
歯磨き粉だけでむし歯を防げるわけではない
歯磨き粉は、毎日の歯磨きを支える道具です。しかし、歯磨き粉を使うだけで、すべての汚れを落とせるわけではありません。歯ブラシの当て方、動かし方、磨く順番、仕上げ磨きなどを組み合わせる必要があります。
甘い飲み物やお菓子をとる回数が多い生活を続けながら、歯磨き粉の量だけを増やしても、十分なむし歯予防にはつながりません。食事や間食の時間を整え、定期的に歯の状態を確認することも大切です。
歯磨き粉は、多ければ多いほどよいものではありません。年齢や商品に合った量を使い、泡に頼らず、歯を見ながら丁寧に磨きましょう。適量を守ることで、子どもが落ち着いて歯磨きを続けやすくなり、保護者も磨き残しを確認しやすくなります。
歯磨きのNG⑥ 歯磨き後に何度も口をすすぐ
歯磨きが終わったあと、口の中の泡や歯磨き粉の味がなくなるまで、何度も水ですすいでいませんか。しっかりすすいだほうが清潔に感じますが、フッ化物配合歯磨き粉を使っている場合は、何度もすすぐことで口の中に残るフッ化物が少なくなってしまいます。
フッ化物には、歯の表面を酸に溶けにくい状態へ整え、初期のむし歯が進まないように支える働きがあります。歯磨き後に大量の水で繰り返しすすぐと、歯の表面に届けたフッ化物まで流れやすくなります。歯磨き粉を使う目的を生かすためにも、すすぎすぎは避けたい習慣です。
すすぎは少ない水で行う
歯磨き後は、口の中にたまった泡を吐き出し、少量の水で軽くすすぐ方法が基本です。何度も勢いよくすすぐ必要はありません。口の中に歯磨き粉の味が少し残っていても、異常ではありません。
ただし、子どもの年齢や吐き出す力には個人差があります。まだ上手に吐き出せない子どもへ、無理に水を含ませることは避けましょう。むせたり、水や歯磨き粉を飲み込んだりする可能性があるため、成長に合わせて練習することが大切です。
すすぎ方を教えるときは、次の流れで行うとわかりやすくなります。
- 歯磨き後の泡を静かに吐き出す
- 少ない水を口へ含む
- 数秒だけ軽く口を動かす
- 水を飲み込まずに吐き出す
- 何度も繰り返さずに終える
最初から上手にできなくても問題ありません。洗面所で水だけを使い、口に含んで吐き出す練習から始めると、歯磨き後にも落ち着いて行いやすくなります。
たくさんすすぎたくなる原因を確認する
子どもが何度もすすぎたがる場合は、歯磨き粉の量や味が合っていない可能性があります。歯磨き粉を多くつけすぎると泡が増え、口の中に強い味が残ります。清涼感や香りが強すぎる商品も、子どもが水を何度も求める原因になります。
すすぎの回数だけを減らそうとするのではなく、次の点も確認しましょう。
- 歯磨き粉をつけすぎていないか
- 子どもが味を辛いと感じていないか
- 泡立ちが強すぎないか
- 年齢に合った商品を使っているか
- 歯磨き中に歯磨き粉を追加していないか
子どもが受け入れやすい味の歯磨き粉を適量使うと、少ないすすぎでも終えやすくなります。歯磨き粉を変える場合は、味だけでなく、対象年齢や使用方法も確認してください。
すすぎを急にやめさせない
これまで何度もすすいでいた子どもへ、「今日から一度だけ」と急に変えると、不快に感じる場合があります。まずは使う水の量を少し減らし、次に回数を減らすなど、無理のない方法で習慣を整えましょう。
「すすいではいけない」と強く叱るよりも、「少ないお水でできたね」と、できたことを認める声かけが効果的です。歯磨きは毎日続くため、正しさだけを優先して親子の負担を増やさない工夫も欠かせません。
寝る前の歯磨き後は、食べ物や甘い飲み物を控えることも大切です。せっかく歯を磨いても、そのあとにジュースやお菓子を口にすると、再び歯が汚れやすくなります。水分をとる場合は、水や甘味のない飲み物を選びましょう。
子どもの状態に合わせて調整する
口内炎があるとき、歯ぐきに痛みがあるとき、治療後で口の中が敏感なときなどは、通常の歯磨きやすすぎが負担になる場合があります。痛みが続くときや、すすぐことが難しいときは、自己判断で無理をせず歯科医院へ相談してください。
また、使用する歯磨き粉によって推奨される使い方が異なる場合があります。商品の表示を確認し、子どもの年齢に合った量と方法を守ることが基本です。家庭での判断に迷う場合は、歯科医院で普段使っている歯磨き粉を伝えると、具体的なアドバイスを受けやすくなります。
歯磨き後に何度もすすぐ習慣は、清潔にしたい気持ちから行われるものです。しかし、フッ化物配合歯磨き粉を使う場合は、少量の水で軽くすすぐことで、歯磨き粉の働きを生かしやすくなります。子どもの成長や吐き出す力に合わせながら、無理なく適切なすすぎ方を身につけていきましょう。
歯磨きのNG⑦ 磨きやすい場所だけで終わらせる
子どもの歯磨きでは、見えやすい前歯や歯ブラシを当てやすい場所ばかりを磨き、奥歯や歯の裏側が十分に磨けていないことがあります。毎日歯ブラシを使っていても、同じ場所に磨き残しが続けば、歯垢がたまりやすくなります。
特に忙しい朝や、子どもが眠そうにしている夜は、短時間で歯磨きを終えたくなるものです。目立つ場所だけを数回こすると、全体を磨いたように感じるかもしれません。しかし、むし歯への注意が必要な場所は、歯ブラシを動かしにくく、目で確認しにくい部分に多くあります。
磨き残しが生じやすい場所を知る
子どもの口の中には、歯垢が残りやすい場所があります。歯磨きを始める前に、重点的に確認したい場所を覚えておくと、限られた時間でも効率よく磨けます。
磨き残しが生じやすい主な場所は次のとおりです。
- 奥歯のかみ合わせにある細かな溝
- いちばん奥の歯の後ろ側
- 歯と歯の間
- 歯と歯ぐきの境目
- 上の前歯の裏側
- 下の奥歯の内側
- 生えかけの永久歯
- 歯並びが重なっている場所
奥歯の溝は細く複雑な形をしているため、歯ブラシを表面へ滑らせるだけでは毛先が十分に当たりません。歯ブラシを奥歯のかみ合わせへまっすぐ当て、小さく動かして磨きましょう。
いちばん奥にある歯の後ろ側も、見落としやすい場所です。歯ブラシを正面から入れるだけでは届きにくいため、口の横から入れて毛先の向きを調整します。頬を指で軽くよけると、歯の位置を確認しやすくなります。
毎回同じ場所から磨き始めない
歯磨きは、最初に磨く場所ほど丁寧になりやすく、最後に磨く場所ほど急ぎやすい傾向があります。いつも前歯から始めていると、奥歯へ進む頃には子どもが飽きたり、保護者が急いだりして、磨く時間が短くなる場合があります。
ときどき奥歯から始める、上の歯と下の歯で開始位置を変えるなどの工夫を取り入れましょう。磨く順番を毎日変える必要はありませんが、特定の場所だけがいつも最後にならないようにすると、磨き方の偏りを防ぎやすくなります。
順番を固定する場合は、口の中を一周する流れを決める方法が便利です。たとえば、右上の奥歯から前歯を通って左上の奥歯へ進み、その後に左下から右下へ進みます。外側、内側、かみ合わせの順番も決めておくと、磨き忘れを減らせます。
生えかけの永久歯は特に注意する
永久歯が生え始める時期は、歯の高さがそろっていません。生えかけの永久歯は、隣の乳歯より低い位置にあるため、歯ブラシを横へ動かすだけでは毛先が届かない場合があります。
特に奥に生える永久歯は、乳歯が抜けずに生えてくるため、保護者が気づきにくいことがあります。歯ぐきの奥に白い歯が見え始めたら、歯ブラシを横から入れ、かみ合わせの面へ毛先を直接当てましょう。
生えかけの歯の周囲は、歯ぐきが一部を覆っていることもあります。強くこすらず、毛先をやさしく当てて細かく動かしてください。出血や痛みが続く場合は、無理に磨き続けず、歯科医院へ相談することが大切です。
歯と歯の間は歯ブラシだけで届きにくい
歯と歯が接している部分には、歯ブラシの毛先が入りにくい場合があります。特に奥歯同士の間は、食べ物や歯垢が残っていても外側から見えにくい場所です。
子どもの歯の間にすき間がない場合は、年齢やお口の状態に応じてデンタルフロスを取り入れる方法があります。保護者が使いやすい持ち手つきのタイプもありますが、歯ぐきを傷つけないようにゆっくり動かすことが必要です。使い方に迷うときは、歯科医院で確認しましょう。
デンタルフロスを毎回完璧に行おうとすると負担になる場合は、夜の仕上げ磨きに取り入れる、特に詰まりやすい場所から始めるなど、続けやすい方法を考えてください。
見えないまま磨かない
仕上げ磨きを立ったまま行ったり、子どもが動いている状態で行ったりすると、歯ブラシがどこに当たっているのか確認しにくくなります。手だけを動かす歯磨きでは、磨きやすい表側へ毛先が偏りがちです。
保護者が口の中を見やすい姿勢を整え、明るい場所で仕上げ磨きを行いましょう。子どもを寝かせ、頭を安定させると、上の前歯の裏側や奥歯まで確認しやすくなります。唇や頬を指でやさしくよけることも、毛先を正しい位置へ当てるために役立ちます。
磨く時間を長くすることだけが解決策ではありません。短い時間でも、汚れが残りやすい場所を見ながら磨くほうが効率的です。「全部を何となく磨く」のではなく、「奥歯の溝」「歯の裏側」「歯と歯の間」と場所を意識して進めましょう。
磨きやすい場所だけで終わらせないためには、毎回の順番を決め、磨き残しが生じやすい部分を知ることが大切です。保護者が口の中を確認しながら仕上げ磨きを行うことで、歯磨きの偏りを減らせます。すべてを完璧に磨こうと焦らず、見えにくい場所へ毛先を届ける習慣を少しずつ身につけていきましょう。

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