・子どものプレオルソ装着中に「口が閉じれない」と心配になったことがある
・正しい装着ができているのか不安を感じたことがある
・装置のせいで日常生活に支障が出ていないか気になる
・なるべく快適に、安心して矯正を進めたいと考えている
・子どもの口元の成長や歯並びを守りたい
プレオルソは、子どもの歯並びや噛み合わせを整えるための大切な矯正装置です。しかし「装着すると口が閉じれない」というお悩みを抱える保護者の方も少なくありません。この記事では、歯科医の視点からその主な原因と正しい装着方法、日常でできる対策について詳しくお伝えします。読めば、安心してお子さまのプレオルソ治療を進められるヒントが得られます。ぜひ最後までお読みください。
プレオルソとは?基本をおさらい
プレオルソは、子どもの歯並びや噛み合わせの改善を目的とした取り外し式のマウスピース型矯正装置です。やわらかい素材でできており、日中や就寝時に一定時間装着することで、歯や顎の成長を正しい方向へ導く役割があります。永久歯が生えそろう前の成長期に使用することで、将来的な本格矯正の必要性を減らすことも期待できます。
プレオルソの特徴としては、以下の点が挙げられます。
- 柔軟な素材でできており痛みが少ない
- 自宅で簡単に取り外しや手入れができる
- 口周りの筋肉や舌の位置のトレーニング効果もある
- 歯並びだけでなく、正しい噛み合わせや呼吸習慣の改善を目指す
小児歯科では、成長に合わせた歯並びや顎の発育のサポートが大切です。その中でプレオルソは「歯を動かす」というよりも、「正しい成長を助ける」ことを目的とした装置といえます。
また、プレオルソは既製のサイズをお子さまの口の状態に合わせて選ぶ必要があります。歯科医院でしっかりとサイズ確認と適合チェックを行い、装着指導を受けることが重要です。間違ったサイズや装着方法では十分な効果が得られないばかりか、「口が閉じれない」「話しづらい」といった不快感の原因になることがあります。
次の章では、実際にプレオルソ装着中に「口が閉じれない」と感じる原因について、詳しく解説していきます。口元の成長や健康に関心のある保護者の方にとって、安心してお子さまの矯正治療を進めるためのヒントになるでしょう。
プレオルソ装着中に口が閉じれない主な原因
プレオルソを装着すると「口が閉じれない」「唇が自然に閉じなくて心配」という声は珍しくありません。この状態は決して珍しいことではなく、多くの場合いくつかの理由が重なって起こります。ここでは、その主な原因をわかりやすくご紹介します。
サイズが合っていない
プレオルソは複数のサイズがあり、お子さまの口の大きさや歯並び、顎の成長段階に合わせて選ぶ必要があります。サイズが大きすぎると、装置が口の中で収まりきらず、唇を閉じるのが難しくなります。また小さすぎる場合も、正しい位置に収まらず違和感の原因になります。
装着の位置がずれている
正しい位置に装着できていないと、装置が前方や上下にずれてしまい、自然に口を閉じることが難しくなります。特に、就寝中や会話中にずれやすくなることがあります。
口周りの筋力が不足している
お子さまによっては、口を閉じる筋肉(口輪筋など)が十分に発達しておらず、プレオルソの厚みに唇を閉じる力が負けてしまう場合があります。この場合、口を閉じる力を鍛えるトレーニングが必要です。
骨格や噛み合わせの影響
もともと骨格的に上下の顎の位置関係に差があったり、噛み合わせが大きくずれている場合も、プレオルソを装着すると口が閉じにくいと感じることがあります。
慣れの問題
装着を始めたばかりの時期は、装置の厚みや感触に違和感を覚え、口を閉じづらいと感じることがあります。しかし、多くの場合は日数を重ねることで慣れていき、自然と口元も閉じやすくなります。
装置の変形・劣化
長期間使っていると、プレオルソの素材がわずかに変形したり、劣化したりすることがあります。この場合、適合が悪くなり、口が閉じにくくなることがあります。定期的な歯科医院でのチェックが必要です。
プレオルソ装着中に「口が閉じれない」と感じた場合は、まずはこれらの原因を確認することが大切です。次の章では、特に多い原因の一つである「サイズ不適合」について詳しく説明していきます。お子さまの快適な矯正治療のために、ぜひ続けてご覧ください。
装着サイズの不適合と影響
プレオルソを使用する際に「口が閉じれない」と感じる大きな原因のひとつが、装置のサイズが合っていないことです。プレオルソは既製品でありながら、お子さま一人ひとりの口腔内の大きさや成長状態に合わせて選ばなければ、十分な効果を発揮できません。ここでは、サイズの不適合がどのような影響をもたらすのか詳しく見ていきましょう。
サイズが大きすぎる場合
サイズが大きすぎるプレオルソは、口の中にきちんと収まらず、装置の前方が唇を押し出す形になってしまいます。その結果、唇が自然に閉じず、常に口が半開きのような状態になってしまいます。また、装置が上下左右にずれてしまうため、矯正効果が弱まるだけでなく、お子さまが違和感を強く感じやすくなります。
サイズが小さすぎる場合
小さすぎるプレオルソも問題です。装置が歯や歯ぐきに過剰な圧力をかけることになり、痛みや不快感を引き起こす原因になります。また、きちんとした位置に装着できず、唇を閉じる際に不自然な力が必要となり、口元の筋肉に負担をかけてしまいます。
サイズ不適合がもたらす具体的な影響
- 矯正効果の低下 適切な位置で適度な力がかからないため、プレオルソ本来の機能が十分に発揮されません。
- 口呼吸の助長 口が閉じにくいため、無意識のうちに口呼吸の習慣がついてしまうことがあります。
- 発音や会話への影響 特にサイズが大きすぎる場合、舌の動きが制限され、発音がしにくくなることがあります。
- 睡眠時の不快感 就寝中の装着が難しくなり、睡眠の質を下げる原因になることがあります。
サイズ選びは歯科医院で
プレオルソのサイズ選びは、見た目や感覚で判断できるものではありません。小児歯科医が口腔内の状態や成長段階を確認し、適切なサイズを選んでいく必要があります。さらに、装着後も定期的にチェックを行い、成長に合わせたサイズ変更や調整が重要です。
次の章では、プレオルソを正しく装着する方法と、間違った装着がどのような問題を引き起こすのかについて詳しく解説します。お子さまの快適な矯正治療のために、ぜひ続けてお読みください。
装着方法の誤りとその対策
プレオルソを使用する際、正しいサイズであっても装着方法が誤っていると「口が閉じれない」「違和感が強い」といった問題が起こります。プレオルソはただ口に入れるだけの装置ではなく、正しい位置と方法で装着することで初めて本来の効果が発揮されます。ここでは、装着方法の誤りによる影響と、その対策について解説します。
よくある装着方法の誤り
- 上下逆に装着してしまう プレオルソには上下の向きが決まっています。逆に装着すると歯や顎への力のかかり方が正しくならず、口が閉じにくくなるばかりか、顎関節に負担がかかることもあります。
- 左右がずれる 左右どちらかに装置がずれて装着されると、片側の唇や頬に過剰な圧力がかかり、口元のバランスが崩れます。その結果、自然に唇が閉じなくなります。
- 奥まできちんと入っていない 装置の前方部分だけが歯に当たり、後方は浮いている状態になると、装置が前に飛び出したようになり、口が閉じづらくなります。
装着方法の誤りによる影響
- 装置が正しい位置に収まらず矯正効果が低下する
- 口元に余計な負担がかかり、口呼吸や口元の緊張を招く
- 長時間の装着が苦痛になり、治療の継続が難しくなる
正しい装着のためのポイント
- プレオルソの上下・左右の向きを確認する(マークや説明書の確認を習慣にする)
- 装着した後、鏡を見て左右のバランスが取れているかチェックする
- 歯科医院で装着練習を行い、正しい方法を親子で理解しておく
- 装置がしっかり奥まで入っているか毎回確認する
歯科医院でのサポートを活用
正しい装着は、最初は難しく感じるかもしれません。しかし、歯科医院での装着指導を受けることで、親御さんもお子さまも自信を持って装着できるようになります。装着後に「違和感が強い」「口が閉じれない」と感じた場合は、遠慮せず歯科医院に相談することが大切です。
次の章では、口周りの筋力不足が原因で口が閉じれないケースと、自宅でできるトレーニング方法について解説します。お子さまの矯正治療をよりスムーズに進めるために、ぜひ続けてご覧ください。
口周りの筋力不足とトレーニング方法
プレオルソ装着中に口が閉じれない原因のひとつとして、口周りの筋力不足が挙げられます。特に口輪筋(こうりんきん)という唇を閉じる筋肉や、顎の周囲の筋肉が十分に発達していないお子さまの場合、プレオルソの厚みに負けて口が半開きになってしまうことがあります。ここでは、筋力不足の影響と、ご家庭で簡単にできるトレーニング方法をご紹介します。
口周りの筋力不足が引き起こす影響
- 口が自然に閉じないため口呼吸の習慣がつきやすい
- 唇の緊張やだるさを感じやすくなる
- 矯正装置の効果が十分に発揮されにくくなる
- 発音や飲み込みに影響が出ることがある
口周りの筋力は、食事や会話、表情づくりに深く関わっているため、弱いままだと様々な影響が現れます。プレオルソを使うことで自然に筋力が鍛えられる部分もありますが、意識的にトレーニングを取り入れることで、より早く正しい口元の使い方が身につきます。
自宅でできる口周りのトレーニング方法
- 唇閉じチャレンジ お子さまに意識して唇を閉じた状態で5秒数える練習をします。これを1日数回、繰り返します。慣れてきたら10秒、20秒と時間を延ばしていきましょう。
- あいうべ体操 「あ」「い」「う」「べ」と大きく口を開けたり舌を出したりする動きを繰り返す体操です。これにより口輪筋だけでなく、舌や顎の筋肉もバランスよく鍛えられます。
- ストロー吸いトレーニング 飲み物をストローでゆっくり吸うことで、口周りの筋肉を鍛えることができます。細めのストローを使うと負荷が高まり、より効果的です。
- ガム噛みトレーニング(歯科医と相談の上で) 硬めのガムを左右均等に噛む練習をすることで、顎や口周りの筋肉を鍛える方法もあります。ただし年齢や歯並びによって適さない場合があるため、事前に歯科医に相談しましょう。
継続が大切です
これらのトレーニングは1日数分で構いませんが、毎日続けることが大切です。親御さんが見守りながら、遊び感覚で取り組むとお子さまも楽しんで続けられます。
次の章では、骨格や噛み合わせの問題がプレオルソ装着時にどのような影響を与えるのか、さらに詳しく解説していきます。お子さまの口元の健康を守るために、ぜひ参考にしてください。
骨格や噛み合わせの問題の可能性
プレオルソ装着中に「口が閉じれない」と感じる場合、単なるサイズや装着方法の問題だけでなく、骨格や噛み合わせ自体に原因があることも考えられます。特に成長期のお子さまは、顎や顔の骨格の発育途中にあるため、そのバランスによってプレオルソの装着感や口元の動きが大きく左右されます。ここでは、骨格や噛み合わせの問題がどのような影響を及ぼすのかをご説明します。
骨格に由来する主な原因
- 上顎前突(出っ歯) 上の前歯や上顎が前に出ている場合、プレオルソの前方部分がさらに唇を押し出す形になり、自然に口を閉じるのが難しくなります。
- 下顎後退 下顎が小さい、あるいは後方に引っ込んでいる場合、上下の顎のバランスが崩れ、プレオルソ装着時に唇を閉じると顎関節や口周りに無理な力がかかることがあります。
- 開咬(かいこう) 奥歯は噛み合っているのに前歯が閉じない噛み合わせの場合、プレオルソの前方が自然に口の中に収まらず、口が閉じにくくなります。
骨格や噛み合わせの問題による影響
- 唇や頬の筋肉に常に力が入り、疲れやすくなる
- 無理に口を閉じようとすると顎関節に負担がかかる
- プレオルソ本来の矯正効果が出にくい
どう対応すれば良いか
骨格や噛み合わせの問題が疑われる場合、自己判断は避け、必ず小児歯科医による診察・評価を受けることが大切です。歯科医院では、以下のようなサポートを受けられます。
- 骨格や噛み合わせの状態に応じたプレオルソの選定や調整
- 必要に応じた他の治療法の提案(筋機能療法や矯正相談など)
- 成長に合わせた継続的な経過観察
また、家庭で無理に口を閉じさせようとしたり、長時間の装着を強いるのではなく、お子さまの口元の状態に合わせた指導を受けることが安心です。
次の章では、プレオルソの正しい使い方と治療を続けていくコツについて解説します。毎日の装着を無理なく続けるために、ぜひ参考にしてください。
プレオルソの正しい使い方と継続のコツ
プレオルソは、正しく使い続けることでお子さまの口元や歯並びの成長をしっかりサポートする装置です。しかし、「口が閉じれない」「違和感がある」などの理由で、装着を嫌がったり続けるのが難しくなることもあります。ここでは、プレオルソの正しい使い方と、無理なく継続するためのコツをお伝えします。
プレオルソの正しい使い方
- 毎日決められた時間装着する 歯科医の指示に従って、日中の一定時間や就寝中にしっかり装着しましょう。短時間の装着では効果が出にくくなります。
- 装着前後は洗浄を忘れずに プレオルソは口の中に入れるものです。装着前後には水でよく洗い、定期的に歯科医の指導に従った洗浄液などで清潔を保ちましょう。
- 正しい向きと位置を確認する 装着する際は、上下・左右の向きや位置が正しいか鏡を使って確認します。歯科医院で教わったポイントを毎回思い出しましょう。
継続のコツ
- 少しずつ慣らしていく 装着を始めたばかりの時期は短時間からスタートし、徐々に装着時間を増やしていくとお子さまも負担を感じにくくなります。
- 装着中の楽しい工夫をする 読書や好きな動画を見る時間に装着するなど、楽しい時間と組み合わせることで続けやすくなります。
- 親御さんの声かけで励ます 「頑張ってるね」「口元がきれいになってきたね」など、前向きな声かけは大きな励みになります。
- 装着に関する小さな不安も歯科医に相談 違和感やトラブルがあった際は我慢せず、早めに歯科医院に相談しましょう。問題が解決されると安心して継続できます。
歯科医院でのフォローが安心を支える
プレオルソ治療は歯科医との二人三脚です。定期的なチェックで装置の状態やお子さまの口元の成長を確認し、必要に応じて調整や新たなアドバイスを受けることで、無理なく治療を進められます。
次の章では、この記事のまとめとして「終わりに」をお届けします。お子さまの健やかな成長を支えるために、ぜひ最後までご覧ください。
終わりに
プレオルソ装着中に「口が閉じれない」と感じる理由は、サイズの不適合、装着方法の誤り、口周りの筋力不足、骨格や噛み合わせの問題など、さまざまな要因が関係しています。だからこそ、保護者の方が一人で悩まず、歯科医院でのサポートを受けながら進めていくことが大切です。
プレオルソは、お子さまの成長期に歯並びや噛み合わせ、口元のバランスを整える大切な役割を担っています。正しい装着と継続的なケアによって、より快適で効果的な矯正治療が実現します。
当院では、お子さま一人ひとりの成長に合わせた装置の選定、装着指導、定期的なチェックを通じて、安心して治療を続けられる環境を整えています。少しでも「口が閉じれない」「装着が不安」ということがあれば、ぜひお気軽にご相談ください。お子さまの健やかな口元の成長を、私たち歯科医がしっかりとサポートいたします。
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