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高校生の歯に関する悩みと小児歯科の役割

・最近、子どもが歯並びや口臭を気にしている
・部活動後の歯みがきがおろそかになっている気がする
・高校生になってから、甘い飲み物や間食が増えた
・思春期の子どもが歯医者に行くのを嫌がる
・親としてどこまで口出ししていいのか迷っている

思春期を迎えた高校生の歯の悩みは、年齢が上がるにつれて変化し、少しずつ「子ども扱い」を嫌うようにもなってきます。ですが、体の成長に合わせて、口の中でも新たなトラブルが起こりやすくなるのがこの時期の特徴です。

高校生の歯の健康は、将来の口腔状態を大きく左右します。むし歯のリスクや歯列の問題はもちろん、歯みがき習慣の確立や、自立したセルフケアの意識づけも重要な課題です。

この記事では、高校生に多い歯の悩みを整理し、小児歯科がどのように関わり、サポートできるのかをわかりやすく解説していきます。

思春期の歯の健康に関心がある方、小児歯科がどの年齢まで診てもらえるのか気になっている保護者の方にとって、安心してケアに取り組むためのヒントが詰まった内容です。

最終的には「高校生も小児歯科で適切なケアが受けられる」ことをお伝えし、親子で前向きに通院やケアに向き合えるきっかけを提供します。

高校生の歯の健康状態の特徴

高校生の時期は、身体的にも精神的にも大きく成長する時期であり、歯や口の中の状態にも大きな変化が現れます。乳歯から永久歯に生え変わった後、顎の成長や歯の噛み合わせのバランスが整ってくるこの時期は、まさに「仕上げの時期」と言えるでしょう。

特に高校生になると、生活環境が大きく変わります。学校生活の中で部活動や塾、アルバイトなどで忙しくなることで、食生活や口腔ケアの習慣に乱れが出やすくなります。また、親の手を離れて自分で身だしなみを整えるようになる反面、口の中に関する意識は後回しになってしまうことも少なくありません。

さらに、ホルモンバランスの変化により歯ぐきが腫れやすくなったり、歯肉炎のリスクが高まったりすることもあります。特に女子高校生は、月経周期によって歯肉の状態が変わることもあり、注意が必要です。

また、高校生の時期は見た目を意識し始めることが多く、歯並びや口臭など「審美的な悩み」が増えてくるのも特徴です。SNSや写真に映る自分の笑顔を気にして、矯正治療に前向きになるケースもあれば、人前で話すことに消極的になるケースもあります。

このように、高校生の口腔内は大人への移行期にあるため、健康状態を見極めるためには、小児期とは異なる視点と丁寧な対応が求められます。

小児歯科では、成長期特有の変化や心の発達段階を理解しながら、思春期の子どもたちに寄り添ったアプローチが可能です。高校生も通院できる歯科医院を選ぶことで、無理なく継続的に口腔ケアを続けることができるのです。

次章では、実際に高校生に多く見られる歯の悩みについて、詳しくご紹介していきます。

よくある高校生の歯の悩みとは?

高校生になると、身体の発達に加えて精神的な自立も進み、歯に関する悩みも子ども時代とは異なるものが目立つようになります。この時期によく見られる歯の悩みには、むし歯や歯肉炎といった基本的なトラブルに加えて、見た目や社会性に関わる問題も含まれるのが特徴です。

まず多く見られるのが、「むし歯の再発」です。中学生までに一度治療した歯が、高校生になって再度悪化することがあります。これは、生活が不規則になりやすく、間食や甘い飲み物の摂取量が増える一方で、歯みがきの時間や頻度が低下してしまうことが主な原因です。

次に多いのが「歯ぐきの腫れや出血」です。特に高校生はホルモンバランスの影響を受けやすく、歯周病の初期段階である歯肉炎を発症しやすくなります。朝起きたときの口臭や、歯みがき時の出血を本人が気にすることも増えます。

また、「歯並びや噛み合わせ」に関する悩みも増えてきます。見た目を気にするようになったり、発音や咀嚼(そしゃく)への影響に気づいたりすることで、歯列矯正を希望する高校生も多くなっています。ただし、本人の意志が強くなってきている分、無理に治療を進めるよりも、納得感を得ることが大切です。

さらに、「親に言いづらいけれど気になる悩み」として、口臭や着色汚れなどの“審美的な問題”もあります。コーヒーやエナジードリンクなどの色素沈着や、マスク生活による口臭の不安など、友人関係や恋愛に関わるような悩みも見受けられます。

このように、高校生の歯に関する悩みは多岐にわたり、それぞれに適したケアや対応が求められます。本人の気持ちに寄り添いながら、専門的なケアを受けられる環境づくりが重要です。

次の章では、こうした背景をふまえて、高校生の間に特に注目される「歯列矯正」について深掘りしていきます。

高校生の間に増える歯列矯正のニーズ

高校生になると、歯列矯正を希望するケースがぐんと増えます。これは、見た目を気にする機会が増えることや、自分の意思で「矯正をしたい」と思うようになる年齢だからです。加えて、口腔機能の成長がほぼ完了してくるため、矯正治療に適した時期としても理想的です。

まず、思春期は「見た目への意識」が急激に高まる時期です。友人や恋人との関係、写真やSNSでの見られ方など、自分の笑顔や歯並びに対する関心が高くなります。歯並びにコンプレックスを感じていたり、人前で話すときに口元を隠してしまったりする高校生も少なくありません。

また、「咬み合わせの違和感」や「発音のしづらさ」に自分で気づくようになることもあります。以前は気にしていなかった歯並びのズレが、食事や会話に影響を与えていると感じるようになると、矯正を前向きに検討するきっかけになります。

さらに、高校生になると通院のスケジュール調整がしやすくなる点も、矯正治療のタイミングとして適している理由の一つです。中学までのように保護者にすべてを任せるのではなく、自分で時間の管理ができるようになるため、治療への自律性も高まります。

矯正治療の方法もさまざまです。ワイヤー矯正のほかに、透明なマウスピース型矯正など目立ちにくい選択肢も増えており、見た目に配慮した治療が可能です。高校生自身が「自分のために選ぶ矯正治療」は、治療へのモチベーションや継続性にもつながります。

ただし、自己判断で市販の矯正グッズを使用したり、誤った情報をもとに治療を希望したりすることには注意が必要です。正確な診断と専門的な指導が不可欠であり、保護者のサポートも引き続き重要です。

小児歯科では、高校生の矯正希望に対しても、成長や心理面をふまえたアドバイスと丁寧なサポートが可能です。本人の意欲と保護者の協力がそろえば、矯正治療は高校時代から始めても遅くありません。

次の章では、むし歯や歯肉炎といった、高校生に特にリスクの高い口腔トラブルについて詳しく見ていきます。

むし歯や歯肉炎のリスクが高まる理由

高校生になると、むし歯や歯肉炎といった口腔トラブルのリスクが一段と高まります。子どものころよりも歯の本数が揃い、咀嚼や会話などの機能も成熟しているように見えますが、実はこの年代ならではのリスク要因が数多く存在しています。

まず第一に挙げられるのが、「生活習慣の乱れ」です。高校生は学業や部活動、アルバイト、交友関係などで生活が不規則になりやすい時期です。朝食を抜いたり、夜遅くまで起きていたりすることで、間食の頻度や時間帯もばらつきが出てきます。このような不規則な食生活は、歯に付着した食べかすや糖分が長時間残る原因となり、むし歯のリスクを高めます。

次に、「歯みがきの質の低下」があります。小学生の頃は保護者の仕上げみがきがあったとしても、高校生になると自立を促され、自分で口腔ケアを行うようになります。その一方で、歯みがきの時間が短かったり、磨き残しが多くなったりする傾向が見られます。特に奥歯や歯と歯の間、歯と歯ぐきの境目などは、しっかりと意識しないと磨き残しやすい場所です。

また、「ホルモンバランスの変化」も無視できません。思春期は体全体のホルモン分泌が活発になる時期であり、これが歯ぐきの炎症を引き起こしやすくする要因となります。特に女子高校生の場合、月経のタイミングで歯ぐきが腫れたり、出血しやすくなったりすることも珍しくありません。こうした変化に気づかずに放置してしまうと、歯肉炎から歯周病へと進行する可能性もあるため注意が必要です。

さらに、「甘い飲み物の常習化」も深刻な問題です。エナジードリンクや炭酸飲料、カフェラテなど、糖分を多く含んだ飲料を日常的に摂取する高校生は少なくありません。こうした飲料は、歯の表面にあるエナメル質を徐々に溶かし、むし歯を誘発します。

むし歯や歯肉炎は、早期に発見し適切なケアを行うことで十分に予防できますが、高校生自身が危機感を持ちにくいのも現実です。小児歯科では、単に治療を行うだけでなく、本人の年齢や心理的特徴に応じた伝え方で「なぜ今のケアが大切なのか」を伝え、意識の変化を促すことができます。

次章では、このようなリスクに対応するうえで、小児歯科が高校生にとってどのような意味を持つのかについて、さらに詳しくご紹介していきます。

小児歯科が高校生にも適している理由

「小児歯科は小学生まで」というイメージをお持ちの方も多いかもしれませんが、実は高校生も小児歯科で診療を受けることができます。そして実際に、思春期ならではの心と体の変化を理解した対応が求められるこの時期だからこそ、小児歯科が適していると言えるのです。

まず、小児歯科は「成長発達に応じた診療」に特化しています。高校生は、心も身体も「大人と子どもの中間期」にあり、対応には繊細な配慮が求められます。一般歯科では「自己管理ができる大人」として対応されることが多くなりますが、小児歯科では「今まさに自立していこうとしている段階」にあることを前提に、無理のないアプローチでサポートしてくれます。

また、小児歯科では「慣れ」を重視した診療スタイルが一般的です。定期的な予防歯科の通院を継続している高校生であれば、顔なじみのスタッフや歯科医師との信頼関係が築かれており、通院へのハードルが低いまま保たれています。これは思春期特有の「恥ずかしさ」や「抵抗感」に配慮するうえでも非常に大きなメリットです。

さらに、小児歯科では「親子の橋渡し」も意識した関わりが可能です。高校生になると、自分の考えや選択を重視してほしいという気持ちが強くなりますが、完全に親から離れてしまうにはまだ不安もあるもの。小児歯科では、保護者の視点と高校生本人の思いの両方を丁寧にくみ取りながら、治療方針やセルフケアのアドバイスを行います。

加えて、小児歯科には予防に特化したプログラムや、歯列矯正、食育指導、口腔機能の評価など、思春期の歯と口の成長を多角的に支える体制が整っています。高校生にとって、「問題が起きてから治す」のではなく、「問題を起こさないように整えておく」という考え方を伝えるには、まさに最適な場所と言えるでしょう。

もちろん、年齢や成長段階に応じて、大学生以降には成人歯科への移行も視野に入れられますが、その前段階として小児歯科でしっかりとケアを受けることは、高校生の自立した健康管理の第一歩となります。

次の章では、実際に小児歯科で高校生が受けられるサポートやケア内容について、より具体的にご紹介します。

小児歯科ができるサポートとケアの内容

小児歯科は、高校生にとっても安心して通える環境と、成長期に必要なケアを提供できる場です。この年代に合ったアプローチと専門性のあるサポート内容を理解することで、より積極的に歯科通院へ向かうきっかけにもなります。

まず基本となるのが、「定期的な予防ケア」です。小児歯科では、歯のクリーニングやフッ素塗布、歯の汚れの染め出しによるブラッシング指導などを通して、むし歯や歯肉炎を未然に防ぐことを重視しています。高校生になると、自分で歯みがきの習慣を確立することが求められますが、自己流になりがちなケアをプロの視点で見直すことが重要です。

次に挙げられるのが、「歯列や噛み合わせの評価と矯正相談」です。思春期はあごの成長が終盤を迎えるため、歯列矯正の効果が期待しやすい時期でもあります。小児歯科では、成長のタイミングを見極めながら、最も適した矯正開始のタイミングや方法を提案することができます。見た目だけでなく、咬合や発音など、機能面からも矯正の必要性を判断できる点が特長です。

また、「口腔機能のチェックと改善」も重要なケアの一つです。たとえば、舌の動かし方、飲み込み方、発音時の口の使い方などを総合的に評価し、必要に応じてトレーニングや指導を行います。これは見た目や健康だけでなく、自信を持って話す・表現することにもつながります。

さらに、小児歯科では「メンタル面への配慮」も欠かせません。高校生は大人に近づいている反面、不安や戸惑いも抱えている時期です。歯科治療に対しても「恥ずかしい」「怖い」「面倒」といったネガティブな感情が出やすくなります。小児歯科のスタッフは、子どもとの関係構築に長けており、優しい声かけや信頼関係を築くことで、安心して通える雰囲気を作り出します。

また、保護者に対しても「適度な関わり方」を提案できるのが小児歯科の強みです。高校生は自立心が育ってきているため、過干渉になりすぎると反発を招くこともあります。小児歯科では、本人の意志を尊重しつつ、保護者ができるサポートの形についても丁寧にアドバイスしています。

このように、小児歯科は高校生の身体的・精神的な発達を深く理解したうえで、総合的なサポートを提供できる診療科です。次章では、そんな高校生の口腔ケアを支えるために、保護者ができるサポートについて詳しくご紹介します。

高校生の保護者にできるサポートとは

高校生になると、子どもは日々の生活や人間関係の中で多くの決断を自分で下すようになります。とはいえ、口腔ケアや歯科通院に関してはまだまだ保護者のサポートが必要な場面が多くあります。大切なのは、干渉しすぎず、しかし見守りと支援の手を差し伸べる絶妙なバランスを保つことです。

まず第一に重要なのは、「通院の継続を見守る姿勢」です。高校生になると、自分の都合や気分で通院を後回しにしてしまうことがあります。そんなとき、「行きなさい」と命令するのではなく、「そろそろ検診の時期だけど、予定合わせておこうか?」と声をかけることで、本人の自律性を尊重しながらもサポートを続けられます。

次に挙げられるのが、「日々の口腔ケアに関する声かけ」です。たとえば、朝晩の歯みがきが習慣化されているかどうか、寝る前の甘い飲み物を控えられているかなど、日常の中でさりげなく意識を促すことが大切です。ただし、「ちゃんと歯みがきした?」と繰り返し確認するのではなく、「口の中すっきりすると気持ちいいよね」など、ポジティブな声かけが効果的です。

また、「食生活の見直し」にも保護者の関与が大きな意味を持ちます。部活動や勉強の合間に甘い飲み物やスナック菓子を口にする機会が多くなる高校生に対して、家で出す食事の内容や間食の選び方を工夫することで、自然とむし歯予防につなげることができます。

さらに、「本人の気持ちに寄り添うこと」も忘れてはいけません。思春期の高校生は、口臭や歯並びなど見た目に関する悩みを抱えていても、それを打ち明けることに抵抗を感じることがあります。「気になることがあれば、いつでも相談してね」といった一言が、子どもにとっては大きな安心感となります。

そして、歯科医院選びに関しても保護者の関与は大切です。本人が通いやすい雰囲気や、気軽に相談できる先生がいるかどうかなど、心理的な安心感を重視して選ぶことで、通院へのハードルがぐっと下がります。小児歯科のように、成長発達に理解があり、高校生にも丁寧に対応してくれる場所であれば、親子ともに安心して任せられるでしょう。

高校生にとって、歯の健康は「将来の財産」です。そのために、保護者ができることは、押し付けるのではなく「支えること」。見えないところでの見守りや、さりげない声かけが、子ども自身の健康意識を育てる第一歩となります。

次はいよいよ最後の章として、これまでの内容をまとめながら、今後に活かせるポイントをお伝えしていきます。

終わりに

高校生は、身体的な成長だけでなく、精神的にも自立へと向かう大切な時期です。その一方で、歯の健康状態はまだまだ不安定で、むし歯や歯肉炎、歯列の問題など、さまざまな悩みが出やすい時期でもあります。だからこそ、高校生の口腔ケアには、大人とは異なる「思春期ならではの視点」が必要です。

今回の記事では、高校生に多い歯の悩みや背景、小児歯科が果たす役割について詳しくご紹介してきました。

小児歯科は「子ども専用の歯科」ではなく、「成長に応じた診療を提供する歯科」です。高校生にも寄り添った対応が可能であり、通い慣れた場所で安心して継続的なケアを受けることができます。

また、保護者の方ができるサポートも、口腔の健康を守るうえで大きな力になります。無理に口出しするのではなく、見守りと必要なときの声かけを大切にすることで、高校生本人の「自分で歯を守る力」を育てていくことができます。

高校生の今のケアは、将来の健康の土台を築く大きな一歩です。歯科医院選びや日常のケア、そして子どもとの関わり方を見直すことで、口腔の健康がより確かなものになります。

これからもお子さまが自信を持って笑える毎日を送れるように、私たち小児歯科は成長に寄り添ったサポートを続けてまいります。

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