・子どもの歯ぐきが腫れていて心配になることがある
・毎日歯みがきをしているのに歯肉炎が治らない
・子どもが嫌がって歯みがきが不十分になりがち
・どんな生活習慣が歯肉炎を悪化させるのか知りたい
・自宅でできる具体的なケア方法を知りたい
毎日頑張ってお子さまの歯みがきをしているのに、なぜか歯ぐきが赤く腫れてしまう…。そんな経験はありませんか?この記事では、歯肉炎を悪化させてしまうNG習慣を詳しくご紹介し、今日からご家庭で実践できる改善法をお伝えします。小児歯科医の視点から、親子で楽しく取り組める予防のヒントが満載です。ぜひ最後までお読みいただき、歯肉炎知らずの健康な歯ぐきを目指しましょう。
歯肉炎とは?子どもに多い症状とその原因
歯肉炎とは、歯ぐき(歯肉)に炎症が起こり、赤く腫れたり、歯みがきや食事の際に出血しやすくなる状態です。特に子どもの場合、大人に比べて歯ぐきの組織が柔らかいため、炎症が起こりやすい特徴があります。ここでは、子どもに多く見られる歯肉炎の症状と、その原因について詳しくお話しします。
子どもに多い歯肉炎の症状
子どもの歯肉炎では、以下のような症状が見られることがよくあります。
- 歯ぐきの赤みや腫れ
- 歯みがきのときの出血
- 歯ぐきがむずがゆい、痛がる
- 口臭が気になる
これらの症状は軽い段階では気づきにくいこともありますが、放置すると歯ぐきの炎症が進み、永久歯の生え変わりに悪影響を与えることもあります。
子どもの歯肉炎の主な原因
子どもの歯肉炎は、主に歯の表面に付着したプラーク(歯垢)が原因です。プラークは細菌のかたまりで、適切な歯みがきをしないと歯と歯ぐきの境目にたまり、炎症を引き起こします。さらに、以下のような要因も歯肉炎を招きやすくします。
- 歯みがきの不足やみがき残し
- 糖分の多い食べ物や飲み物の摂取
- 歯並びがでこぼこで、歯みがきしづらい
- 成長期のホルモンバランスの変化
特に学齢期の子どもは、自分で歯みがきをするようになる時期ですが、まだ十分にきれいにみがくことが難しい場合が多いです。こうした背景も歯肉炎のリスクを高めます。
親御さんが気をつけたいこと
歯肉炎は初期の段階での気づきとケアがとても大切です。お子さまの歯ぐきの色や腫れ、歯みがきの際の出血の有無を日頃から観察し、少しでも気になることがあれば早めに歯科医院でのチェックを受けることをおすすめします。
歯肉炎を悪化させるNG習慣とは
子どもの歯肉炎は、日々の何気ない習慣が原因で悪化してしまうことがあります。ここでは、親御さんが気づかないうちに続けてしまいがちなNG習慣について詳しく解説します。これらの習慣を見直すだけでも、歯肉炎の進行を防ぐ大きな一歩となります。
歯みがきを短時間ですませる
歯みがきを短時間で終わらせてしまうと、プラークや食べかすがきちんと取り除けず、歯ぐきに炎症が起こりやすくなります。特に、前歯の裏側や奥歯の歯と歯の間など、みがき残しが多い部分がリスクゾーンです。
寝る前の飲食習慣
寝る前に甘いお菓子やジュースをとる習慣も歯肉炎の原因になります。就寝中は唾液の分泌が減り、細菌が繁殖しやすくなるため、糖分が残ったままだと歯ぐきへの悪影響が大きくなります。
硬い歯ブラシを使う・強くみがく
「汚れを落としたい」という気持ちから、硬い歯ブラシで強くみがいてしまうことがありますが、これは逆効果です。歯ぐきを傷つけ、炎症がひどくなる原因になることがあります。
自分での歯みがきだけに頼る
成長とともに「自分でみがけるようになったから大丈夫」と、親御さんが仕上げみがきをしなくなるケースも多く見られます。しかし、子ども自身の歯みがきはどうしても不十分になりやすく、歯肉炎の原因になります。
歯科医院での定期チェックを受けていない
歯肉炎の早期発見・早期対処のためには、歯科医院での定期的なチェックが欠かせません。チェックを受けずに放置してしまうと、知らない間に歯肉炎が進行してしまうことがあります。
今日からNG習慣を見直しましょう
どれも日々の生活で少し意識するだけで改善できることばかりです。お子さまの歯ぐきの健康を守るために、まずはこれらのNG習慣がないか、ご家庭で振り返ってみてください。
歯肉炎の進行を防ぐ正しい歯みがきのポイント
歯肉炎の予防や進行を防ぐためには、毎日の歯みがきがとても大切です。ただし、間違ったみがき方では効果が薄く、かえって歯ぐきを傷つけてしまうこともあります。ここでは、子どもに合った正しい歯みがきのポイントをご紹介します。
歯ブラシの選び方
歯肉炎の予防には「やわらかめ」の歯ブラシがおすすめです。毛先が細く、歯と歯ぐきの境目にやさしく届くものを選ぶと、プラークを無理なく取り除くことができます。ヘッドが小さいものを選ぶと奥歯までみがきやすくなります。
歯と歯ぐきの境目を意識してみがく
歯肉炎は、歯と歯ぐきの境目にたまったプラークが原因で起こります。そのため、歯の表面だけでなく、歯ぐきの際に歯ブラシを45度くらいの角度であて、小刻みにやさしく動かしてみがくことが大切です。
みがく順番を決めて習慣にする
みがき残しを防ぐためには、毎日同じ順番で歯をみがくことが効果的です。たとえば「奥歯の外側→前歯の外側→奥歯の内側→前歯の内側→噛み合わせ部分」というように、決まった流れでみがくと安心です。
時間の目安は3分以上
子どもの歯みがき時間は、少なくとも3分を目安にするとよいでしょう。慣れるまではタイマーを使って時間を意識するのもおすすめです。短時間で済ませてしまうと、どうしてもみがき残しが出やすくなります。
仕上げみがきでカバーする
子ども自身が丁寧に歯みがきをしても、完全に汚れを落とすのはまだ難しい場合が多いです。特に小学校低学年くらいまでは、必ず親御さんが仕上げみがきをしてあげましょう。歯ブラシのほかに、歯間ブラシやフロスも取り入れると効果的です。
親子で楽しくみがきタイムを
歯みがきを「やらなきゃいけないこと」にするのではなく、親子で一緒に取り組む時間にすると、子どもも前向きに続けられます。お気に入りの歯ブラシや歯みがき粉を選んだり、歌を歌いながらみがいたり、楽しく習慣づける工夫をしてみてください。
毎日の食生活で気をつけたいこと
歯肉炎を予防し、歯ぐきの健康を守るためには、歯みがきだけでなく毎日の食生活もとても重要です。知らず知らずのうちに歯ぐきに負担をかけてしまう食習慣を見直し、バランスの取れた食事で歯肉炎に強いお口を育てましょう。
糖分の摂りすぎに注意する
甘いお菓子やジュースは、歯肉炎の原因となるプラーク(歯垢)を作る細菌のエサになります。特に、だらだら食べや飲みを続けてしまうと、歯ぐきの周りにプラークがたまりやすくなり、炎症を引き起こす原因となります。間食の回数や時間を決めるようにしましょう。
噛む力を育てる食材を取り入れる
やわらかいものばかり食べていると、噛む力が育たず、歯ぐきへの適度な刺激も不足します。歯肉炎の予防には、根菜類や海藻、繊維質の多い野菜など、しっかり噛む必要のある食材を意識して取り入れることが大切です。
食後は必ずお口のケアを
食事のあとは、できるだけ早めに歯みがきをする習慣をつけましょう。外出先などで歯みがきが難しい場合は、口をしっかりゆすいだり、水やお茶を飲んだりして、お口の中を清潔に保つだけでも違います。
よく噛んで食べる習慣をつける
早食いは、歯ぐきに適度な刺激が届かず、また消化にも負担がかかります。よく噛んで食べることで、唾液の分泌が促され、歯ぐきや歯を守る自然な力が働くようになります。食卓で「一口30回噛もうね」など声かけをしてみましょう。
偏食を防ぎ、栄養バランスを意識する
歯ぐきの健康を保つためには、ビタミンCやカルシウム、タンパク質などの栄養素も大切です。偏った食事にならないよう、主食・主菜・副菜をそろえ、いろいろな食材をバランスよく摂るように心がけましょう。
親子で食事のルールを決めてみよう
「おやつは決まった時間だけ」「食べたらすぐ歯みがき」など、親子でルールを決めると、毎日の食生活にリズムが生まれます。歯肉炎の予防は、こうした小さな積み重ねから始まります。
今日からできる!自宅での歯肉炎改善法
「歯ぐきが赤く腫れている気がする」「歯みがきで血が出た」そんなときは、歯肉炎のサインかもしれません。歯科医院での診察が大切なのはもちろんですが、ご家庭でのケアを見直すことも歯肉炎の改善につながります。今日から実践できる自宅ケアのポイントをお伝えします。
歯ブラシと歯みがき粉を見直す
歯肉炎対策には、やわらかめの歯ブラシが適しています。毛先が細く、歯と歯ぐきの境目にやさしく届くタイプを選びましょう。歯みがき粉は、フッ素入りで低刺激のものがおすすめです。刺激の強いタイプは歯ぐきを痛めてしまうことがあります。
歯と歯ぐきの境目をやさしく丁寧にみがく
毎回の歯みがきで、歯と歯ぐきの境目を意識してみがくことが大切です。歯ブラシを45度の角度であて、小さく細かく動かすのがポイントです。ゴシゴシ強くみがくのは逆効果なので、力を入れすぎないようにしましょう。
デンタルフロスや歯間ブラシを使う
歯ブラシだけでは届きにくい歯と歯の間は、プラークがたまりやすい場所です。デンタルフロスや歯間ブラシを併用することで、細かい汚れもしっかり取り除けます。特に奥歯や歯並びがでこぼこしている部分には効果的です。
食後のうがいや水分補給を習慣に
外出先や学校などで歯みがきができないときは、食後に水やお茶で口をゆすぐだけでも細菌の繁殖を抑える効果があります。また、こまめな水分補給は唾液の分泌を促し、歯ぐきを守る助けになります。
仕上げみがきの時間を大切にする
小学校低学年くらいまでは、親御さんの仕上げみがきがとても重要です。寝る前の仕上げみがきは特に念入りに行い、歯と歯ぐきの健康を守りましょう。
無理のない範囲で毎日続けることがカギ
歯肉炎の改善は、1日や2日で目に見える変化が出るものではありません。毎日の小さな積み重ねが大切です。親子で一緒に楽しめる工夫をしながら、無理なく続けていきましょう。
歯肉炎予防に役立つ歯科医院でのケア
自宅でのケアだけでは落としきれない汚れや、親御さんが気づきにくいお口の変化をチェックするために、歯科医院でのケアはとても重要です。歯科医院では専門的な視点で歯肉炎を防ぐサポートを行っています。どのようなケアが受けられるのかを確認しておきましょう。
定期検診で歯ぐきの状態を確認
歯肉炎は初期段階では自覚症状が少ないため、気づかないうちに進行してしまうことがあります。歯科医院では歯ぐきの色や腫れ、出血の有無、歯と歯ぐきの間のポケットの深さなどを丁寧にチェックし、早期発見・早期ケアにつなげます。
プロによるクリーニング(PMTC)
歯科医院では、専用の器具を使ったクリーニングで、家庭では取り除けない歯石やプラークをしっかり除去します。特に歯と歯ぐきの境目や歯の裏側は自分では磨きにくく、プロのケアが効果的です。これにより歯肉炎の原因を根本から減らすことができます。
正しいみがき方のアドバイス
お子さまの歯みがき習慣を整えるために、歯科医院では一人ひとりの歯並びや年齢に合わせた歯みがきの仕方を具体的に指導しています。仕上げみがきのポイントや道具の選び方も相談できるので、親御さんにとっても安心です。
フッ素塗布やシーラントによる予防処置
歯肉炎そのものへの直接的な処置ではありませんが、むし歯予防のためのフッ素塗布やシーラントも、歯肉炎の間接的な予防につながります。むし歯を防ぐことで、プラークがたまりにくく、歯ぐきの健康を守ることができるためです。
歯科医院との連携で安心のケアを
歯肉炎予防は「自宅ケア」と「歯科医院でのケア」の二本立てで行うのが理想的です。定期的な通院を通じて、歯肉炎のリスクを最小限に抑え、健康な歯ぐきを保ちましょう。歯科医院は親子の歯ぐきの健康を一緒に守るパートナーです。
歯肉炎を防ぐ親子での習慣づくり
歯肉炎を予防するためには、日々の習慣がとても大切です。子どもは自分だけで正しい歯みがきや食生活を続けるのが難しいため、親子で一緒に取り組むことが効果的です。ここでは、歯ぐきの健康を守るために親子で意識したい習慣をご紹介します。
一緒に歯みがきをする時間を作る
親子で同じタイミングで歯みがきをすることで、子どもは自然と正しい歯みがきの仕方を学びます。鏡の前で並んでみがいたり、タイマーを使って楽しく時間を管理したりすると、毎日の歯みがきが前向きな習慣になります。
食後の流れを決めておく
「食べ終わったら歯みがきをする」「寝る前には必ず仕上げみがきをする」など、決まった流れを作ることで習慣化しやすくなります。親御さんの声かけひとつで、歯肉炎の予防につながる大切なルーティンができます。
おやつのルールを決める
間食は時間と内容を決めて管理するのがおすすめです。「おやつは1日1回」「ジュースは特別なときだけ」など、家庭のルールを作ることで、歯ぐきに負担をかけない食生活を送りやすくなります。
定期検診のスケジュールを共有する
歯科医院での定期検診は歯肉炎の早期発見・予防に役立ちます。親子で「次の検診はいつかな?」とカレンダーで確認したり、検診の後はごほうびを用意するなど、前向きに受診できる工夫をしましょう。
ポジティブな声かけでモチベーションアップ
「今日も上手にみがけたね」「歯ぐきがきれいになってきたね」など、親御さんの前向きな声かけは子どもにとって大きな励みになります。歯みがきやお口のケアが楽しい時間になるよう、意識してみてください。
習慣づくりは親子での小さな積み重ね
どんなに良い方法でも、続けることが何より大切です。親子で一緒に取り組むことで、自然と歯肉炎を防ぐ強い習慣が身につきます。無理なく、楽しく続ける工夫を見つけていきましょう。
終わりに
歯肉炎は、子どもにとって身近なお口のトラブルのひとつですが、日々の生活習慣と正しいケアでしっかり予防・改善ができます。毎日の歯みがきや食生活、親子での習慣づくり、そして歯科医院での定期的なチェック。このひとつひとつの積み重ねが、お子さまの歯ぐきの健康を守る力になります。
今回ご紹介した「歯肉炎を悪化させるNG習慣」や「自宅でできる改善法」を参考に、ぜひ今日からご家庭でのケアを見直してみてください。親子で楽しく、無理なく続けられることが何よりも大切です。
お子さまの健康な歯ぐきと笑顔のために、私たち歯科医院も精一杯サポートいたします。どんな小さなことでも気になることがあれば、ぜひお気軽にご相談ください。
コメント