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歯並びが悪化する原因TOP5…日常のNG習慣を見直そう

・子どもの歯並びが気になる
・「このままで大丈夫かな?」と不安に思う
・小さな頃の習慣が影響するって本当?
・歯列矯正が必要になる前に予防できたらいいな
・どんなことに気をつければいいのかわからない

子どもの歯並びが悪化する原因は、生まれつきのものだけではありません。実は、日々の生活習慣や何気ないクセが歯並びに大きく影響することがあります。この記事では、小児歯科医の視点から、歯並びに悪影響を与える代表的なNG習慣TOP5を紹介し、今日からできる予防法についても詳しくお伝えしていきます。

これから紹介する内容を知っておくことで、将来的な矯正のリスクを軽減できるだけでなく、お子さんの健康的な発育を助けることにもつながります。子どもの健やかな成長のために、ぜひ最後までご覧ください。

指しゃぶりや舌の癖などの「口腔習癖」

子どもの歯並びに大きな影響を与えるもののひとつが、「口腔習癖(こうくうしゅうへき)」と呼ばれる無意識の癖です。口腔習癖とは、指しゃぶりや舌で前歯を押す、唇を噛む、爪を噛むなど、口のまわりの筋肉や歯に常に力が加わるような習慣を指します。これらの習慣は、顎の発育や歯の位置に悪影響を及ぼすため、特に成長期のお子さんにとっては見逃せない問題です。

指しゃぶりは、生後すぐから始まる自然な自己安定行動ですが、2歳を過ぎても続くと、前歯を前に押し出したり、上顎と下顎のかみ合わせにズレが生じたりすることがあります。特に就寝中に長時間行われることで、歯列に影響が出やすくなります。

また、舌で前歯を押す「舌突出癖(ぜつとっしゅつへき)」も、歯並びの乱れの原因として知られています。これは、話すときや飲み込むときに舌を前に突き出す動きがクセになってしまうもので、上の前歯が開いてしまう「開咬(かいこう)」という状態につながることもあります。開咬になると、しっかりと噛み合わず、発音や咀嚼にも影響を与える可能性があります。

このような口腔習癖は、本人にはなかなか気づきにくく、気づいた頃には歯並びに影響が出ていることもあります。しかし、成長期であれば習慣の改善によって自然に改善するケースもありますので、早めの対策が重要です。

ご家庭では、無理にやめさせるのではなく、子どもの気持ちを大切にしながらサポートしていくことが大切です。例えば、絵本やぬいぐるみを使った声かけで自然に卒業を促したり、代わりになる安心グッズを使うのも効果的です。また、日中の活動を充実させて精神的に安定させることも、癖の改善につながります。

歯科医院では、必要に応じて癖の程度を診断したうえで、保護者と一緒に取り組めるアプローチを提案することが可能です。歯並びが心配なときは、早めに専門的なアドバイスを受けることをおすすめします。

次の項目では、歯並びとあまり関係がなさそうに思える「姿勢」が、実は大きく関係しているという意外な事実をご紹介します。

姿勢の悪さが与える意外な影響

「姿勢が悪いと歯並びに関係あるの?」と疑問に思う方も多いかもしれません。しかし、実は子どもの姿勢と歯並びには密接な関係があります。特に、座っているときや食事のときの姿勢、スマートフォンやタブレットを見る姿勢が習慣化すると、顎の成長や歯の位置に影響を与える可能性があるのです。

猫背や前かがみの姿勢が続くと、頭が前方に出る状態になりやすくなります。この状態では、顎を後ろに引くような力がかかるため、下顎の正常な成長が妨げられることがあります。結果として、噛み合わせが不安定になったり、上下の歯がずれてしまったりといった問題が生じることがあります。

また、姿勢が悪い子どもは、口呼吸になりやすい傾向があります。口が自然に開いてしまうことで、唇や頬の筋肉がうまく使われなくなり、歯を内側から支える力と外側から抑える力のバランスが崩れてしまいます。これが、歯並びが乱れる原因のひとつになります。

食事中や勉強中の姿勢も、顎の発育に影響を与えます。例えば、イスと机の高さが合っていなかったり、肘をついて食事をするクセがあると、顎の片側にだけ負担がかかってしまい、左右非対称の発育を招く可能性があります。このような小さな習慣の積み重ねが、やがて歯並び全体に影響を与えてしまうのです。

家庭でできる対策としては、まずは正しい姿勢を保てるような環境を整えることが大切です。イスと机の高さをお子さんの体に合わせることや、背筋を伸ばして座る習慣を一緒に見直していきましょう。テレビやタブレットを見るときも、寝転がって見るのではなく、正しい姿勢で見ることを意識させることが大切です。

また、定期的に軽い体操やストレッチを取り入れることで、姿勢を保つための筋肉を育てることもできます。口元の筋肉と体幹は意外にも連動していますので、全身のバランスを整えることが歯並びの安定にもつながります。

次の項目では、近年特に増えている「柔らかい食事」が歯並びに及ぼす影響について詳しくお伝えします。毎日の食事がどのように顎の発達に関係しているのか、気になる方はぜひ続きをご覧ください。

柔らかい食事が続くとどうなる?

近年、子どもの食事内容が「噛まなくても食べられる」柔らかいメニューに偏りがちだという声が増えています。便利で手間がかからず、食べやすいという理由から柔らかい食材や加工品を選ぶご家庭も多いかもしれません。しかし、こうした食生活は、顎の成長や歯並びに大きな影響を与える可能性があります。

本来、食べ物をしっかり噛むという行為は、顎の骨や顔の筋肉を発達させるために欠かせない運動です。固さのある食材をよく噛むことで、顎の骨に適度な刺激が伝わり、成長を促します。ところが、柔らかい食事ばかりが続くと、咀嚼(そしゃく)回数が減り、顎の筋肉や骨が十分に発達しなくなってしまうのです。

顎が未発達のままだと、永久歯が正しく並ぶためのスペースが足りなくなり、歯が重なったり、斜めに生えたりすることがあります。また、噛む力が弱いと、歯列を正しく支える力も不十分になり、結果として歯並びの乱れにつながっていくこともあります。

さらに、噛む回数が少ないと、唾液の分泌が減少しやすくなります。唾液には自浄作用や消化を助ける役割があり、虫歯や口臭予防にも欠かせない大切な存在です。柔らかい食事中心では、こうした自然の機能まで低下してしまうこともあるため、注意が必要です。

日常生活の中で「よく噛む」習慣を育てるには、歯ごたえのある食材を積極的に取り入れることが効果的です。たとえば、ごぼう、れんこん、にんじんなどの根菜類、するめや小魚などの噛みごたえのある食材は、顎の運動を促し、自然な成長を助けてくれます。また、一口の量を少なくし、ゆっくり丁寧に噛むよう声かけをしてあげることも大切です。

もちろん、無理に固いものを食べさせるのではなく、お子さんの年齢や咀嚼力に応じた食材選びと調理法を工夫することがポイントです。例えば、根菜を少し厚めに切って煮物にするなど、噛む力を必要とする工夫ができます。

次の項目では、実は歯並びに深く関係している「鼻づまり・口呼吸」の影響についてお話していきます。お子さんの呼吸の仕方が気になる方は、ぜひチェックしてみてください。

鼻づまり・口呼吸による歯並びの変化

お子さんが日常的に口を開けたまま呼吸している様子を見かけたことはありませんか?実は、この「口呼吸」こそが、歯並びを乱す大きな原因のひとつです。特に鼻づまりが慢性化している子どもは、無意識のうちに口呼吸になってしまい、それが長期間続くことで顎や顔の発育にまで影響を与えることがあります。

本来、呼吸は鼻でするものです。鼻呼吸には、空気中の異物をフィルターで除去したり、湿度を調整したりする役割があり、健康維持にも欠かせません。一方、口呼吸が習慣化すると、口の中が乾燥しやすくなり、虫歯や歯肉炎、さらには歯並びの乱れといったさまざまなトラブルを引き起こします。

口呼吸をしていると、常に口が開いた状態になり、舌の位置が下がってしまいます。舌は本来、上顎の内側(口蓋)にぴったりと収まっているのが正常ですが、口呼吸ではその状態が保てなくなります。その結果、舌が歯を内側から支える力が弱まり、上顎の発育が妨げられるのです。これにより、上顎が狭くなり、歯が並ぶスペースが不足して、歯並びがガタガタになるリスクが高まります。

また、口をポカンと開けている状態が続くと、唇や頬の筋肉がうまく機能せず、歯の外側から押さえる力が弱くなります。内と外のバランスが崩れることで、前歯が前方に出たり、開咬(前歯がかみ合わない状態)になったりすることもあります。

鼻づまりの原因には、アレルギー性鼻炎や扁桃腺の肥大、風邪の後遺症など、さまざまな要因があります。まずは耳鼻咽喉科などで原因を確認し、必要な治療を受けることが大切です。そして、改善後には「鼻で呼吸する習慣」を意識的に取り戻していく必要があります。

ご家庭では、以下のようなポイントに注意してみてください。

  • 寝ているときに口が開いていないか観察する
  • 日中、口を閉じている時間が少ないと感じたら声かけをする
  • 姿勢や枕の高さを調整して、鼻呼吸しやすい環境をつくる

お子さん自身が鼻呼吸の大切さを理解できるよう、親子で楽しく取り組むことが予防の第一歩になります。

次の項目では、無意識に起こってしまう「歯ぎしり」や「噛みしめ癖」が、歯並びにどのような影響を与えるのかを詳しく見ていきます。気になる方は、ぜひ読み進めてください。

歯ぎしりや噛みしめ癖も原因に

「歯ぎしりは大人だけのもの」と思われがちですが、実は多くの子どもにも見られる現象です。特に就寝中に無意識に起こる「歯ぎしり」や、日中に無意識に力が入ってしまう「噛みしめ癖」は、顎や歯に過度な負担をかけ、歯並びの乱れを引き起こす要因となることがあります。

子どもの歯ぎしりは成長過程の一環とも言われており、すべてが問題になるわけではありません。しかし、頻度が高く、強い力で続いている場合には、注意が必要です。歯ぎしりの刺激は顎関節に負荷をかけ、噛み合わせをズラしたり、歯の摩耗を早めたりする原因になります。

噛みしめ癖も見逃せません。勉強中やゲームに集中しているときなど、気づかないうちに歯をぐっと食いしばってしまうお子さんは意外と多くいます。常に上下の歯が接触している状態が続くと、歯列に不要な力が加わり、歯の位置が少しずつズレてしまうことがあります。

さらに、顎の左右どちらか一方に偏って噛むクセがあると、片側だけに負担がかかり、顔のバランスや顎の発育にも悪影響を与えることがあります。このような偏った使い方が続けば、歯並びが左右非対称になってしまうこともあるのです。

ご家庭で気づきやすいサインとしては、朝起きたときに「顎が痛い」と言ったり、歯がすり減っていたり、ほっぺの内側に白っぽい線ができていたりする場合があります。これらは、無意識のうちに歯ぎしりや噛みしめが行われている可能性を示しています。

対策としては、まずストレスや緊張が原因であることも多いため、お子さんがリラックスできる環境づくりが大切です。寝る前に静かな時間をつくったり、一日の出来事を話して気持ちを整理したりするのも効果的です。また、硬いガムなどを噛む習慣がある場合は、顎の使いすぎにも注意が必要です。

歯科医院では、必要に応じてマウスピースなどを使って、歯を守る方法を提案することもあります。ただし、子どもの場合は成長途中であるため、使用には慎重な判断が必要です。まずは気になる様子があれば、専門的なアドバイスを受けてみましょう。

次の項目では、歯並びを守るために親ができる日常的なサポートや声かけの工夫についてご紹介します。予防につながる大切なヒントが満載ですので、ぜひ続けてご覧ください。

歯並びを守るために親ができること

子どもの歯並びは、日々の生活習慣や成長環境の影響を大きく受けます。だからこそ、保護者のちょっとした気づきや声かけが、お子さんの健やかな歯並びを守るカギになります。ここでは、親が家庭でできるサポートや意識したいポイントを具体的に紹介していきます。

まず意識したいのは「口元と姿勢のチェック」です。お子さんがリラックスしているとき、口がぽかんと開いていないか、食事中に肘をついていないか、テレビを見る姿勢が前かがみになっていないかなど、さりげなく観察してみましょう。こうした姿勢や癖は、歯並びだけでなく顎の成長や呼吸の質にも影響します。

また、「よく噛む習慣づくり」も大切なポイントです。早食いになっていないか、口に入れる量が多すぎて咀嚼回数が減っていないか、柔らかいものばかりになっていないかなど、日々の食事から意識できます。歯ごたえのある食材を使ったり、親子で「今日は何回噛めるかな?」と楽しく声かけしたりすることで、自然と咀嚼習慣が身についていきます。

さらに、「癖の早期発見」も親の大切な役割です。指しゃぶりや唇を噛む、舌で前歯を押すといった口腔習癖は、早いうちに気づいてあげることで改善がしやすくなります。注意するのではなく、「どうしたらやめられるかな?」と一緒に考える姿勢が、お子さんの安心感につながります。

お子さんの呼吸の様子もチェックしましょう。日中はもちろん、寝ているときに口が開いていないか、いびきをかいていないかも大切なポイントです。気になる場合は、耳鼻咽喉科と連携して、鼻づまりの改善やアレルギー対策を進めていくとよいでしょう。

また、定期的に歯科医院で経過をみてもらうことも安心につながります。小児歯科では、歯の生え変わりや顎の発達に応じたアドバイスを受けられるだけでなく、親子で予防の意識を高めるきっかけにもなります。

最も大切なのは、「完璧でなくていい」ということです。お子さんの個性や成長スピードに合わせて、少しずつ生活を整えていくことが歯並びを守る第一歩になります。親が笑顔でサポートしていく姿勢が、お子さんの安心感や自主性につながり、健康な歯並びへの近道となるでしょう。

次の項目では、日常生活の中で自然と歯並びが整いやすくなる「正しい生活習慣」についてお話します。取り入れやすいポイントを具体的にご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

正しい生活習慣で自然な歯並びへ

お子さんの歯並びを守るうえで、もっとも大切なのは「日々の生活習慣の積み重ね」です。特別なことをしなくても、正しい生活習慣を意識するだけで、歯や顎の健やかな発育をサポートすることができます。ここでは、家庭でできる「自然な歯並び」につながる生活習慣をご紹介します。

まず大切なのが、「バランスの取れた食生活」です。噛む力を育てるためには、歯ごたえのある食材を取り入れることが有効です。例えば、根菜類や乾物、しっかりとした繊維質のある野菜などは、自然に咀嚼回数が増えるので顎の発達を促します。また、栄養バランスの良い食事は、歯や骨の形成に必要なカルシウムやビタミンD、たんぱく質などをしっかり摂ることにもつながります。

次に、「正しい姿勢の習慣」です。座るときは背筋を伸ばし、足の裏がしっかり床についている状態を意識しましょう。食事のときも、イスとテーブルの高さが合っているか確認することで、噛む力がうまく使え、顎の左右バランスも整いやすくなります。

「鼻呼吸を意識すること」も非常に重要です。口呼吸が続くと歯並びに悪影響を与えるだけでなく、免疫力の低下や口腔内の乾燥にもつながります。寝ているときや集中しているときに、口が開いていないか確認し、普段から「鼻で呼吸しようね」と優しく声かけする習慣づけが大切です。

また、「睡眠の質」も成長に直結しています。しっかり眠ることで、顎の発育ホルモンの分泌が活発になり、骨格の健やかな成長を支えてくれます。毎日決まった時間に寝起きし、睡眠時間を確保することは、歯並びにも良い影響を与えると言えます。

「遊び」も大切な要素です。体をよく動かして遊ぶことで、姿勢を保つ筋肉や呼吸筋が自然と鍛えられます。とくに、口周りや舌の動きが活発になるような遊び(吹き戻し、シャボン玉、風船ふくらましなど)を取り入れると、口腔筋のバランスが整いやすくなります。

正しい生活習慣は、すぐに結果が出るものではありませんが、毎日の積み重ねが将来のお子さんの歯並びにしっかりとつながっていきます。無理のない範囲で取り組めることから少しずつ始め、親子で楽しみながら続けることが何よりも大切です。

次はいよいよまとめの章となります。「終わりに」では、今回お伝えした内容をふりかえりつつ、読者の皆さまへ大切なメッセージをお届けします。最後までぜひご覧ください。

終わりに

子どもの歯並びは、生まれつきの要素だけでなく、日々の生活習慣が大きく関係しています。今回ご紹介したように、指しゃぶりや舌の癖、姿勢の乱れ、柔らかい食事、口呼吸、歯ぎしりや噛みしめなど、知らず知らずのうちに身についているクセが、顎の発育や歯の位置に影響を与えてしまうことがあります。

しかし、これらの習慣はすぐに矯正できなくても、気づくこと・意識することから改善が始まります。親御さんが「うちの子、大丈夫かな?」と感じたときが、サポートを始める絶好のタイミングです。まずは日常生活を一緒に見直してみることから始めてみましょう。

また、生活習慣の見直しとあわせて、小児歯科での定期的なチェックもとても大切です。歯の生え変わりの時期や、噛み合わせの変化は、プロの目でしっかり見ていくことで、より適切なアドバイスやフォローを受けられます。

歯並びは見た目だけでなく、食べる・話す・呼吸するというお子さんの基本的な成長に深く関わる大切な要素です。だからこそ、ご家族の温かい見守りと声かけが、将来の健やかな口腔環境を育てる一番の力になります。

お子さんの笑顔と健康のために、できることから少しずつ始めていきましょう。日々の生活にほんの少しの工夫を加えるだけで、きっと未来の歯並びは大きく変わっていきます。

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