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子供向けスポーツ用マウスピースの選び方とサイズ選定の注意点

  • お子さまが寝ている時に歯ぎしりをしている音が気になる
  • スポーツ用マウスピースを代わりに使っても大丈夫か知りたい
  • 市販のマウスピースで何が違うのかわからない

お子さまの歯の健康を守るために、マウスピースを使おうと思っても、どの種類が良いのか迷ってしまいますよね。特に、スポーツ用として購入したマウスピースをそのまま睡眠時や歯ぎしり用に使ってもよいかと疑問を持つ親御さんは少なくありません。

この記事では、マウスピースの目的や種類の違いをわかりやすく解説し、代用することのリスクや正しい選び方について詳しくご紹介します。

「子どもの歯を守りたいけど、どうすればいいか分からない」そんな不安を少しでも軽くできるよう、やさしい言葉でまとめています。この記事を読むことで、マウスピースの正しい使い方がわかり、お子さまにとって最適なケアができるようになりますよ。

最終的には、「それぞれの用途に合ったマウスピースを選ぶことが、歯の健康を守る第一歩である」ことをお伝えします。

スポーツ用マウスピースとは?

スポーツ用マウスピースは、運動中に起こり得る衝突や転倒などの衝撃から「歯」や「顎」、「口腔内の粘膜」などを守るために使われる装置です。特にラグビー、バスケットボール、空手などの接触プレーが多いスポーツでは、口元へのダメージ予防として非常に重要な役割を果たしています。

一般的にスポーツ用マウスピースは、やや厚みのある柔軟な素材でできており、強い衝撃を吸収するために設計されています。そのため、使用時には「会話がしづらい」「噛み合わせに違和感がある」などと感じることもありますが、これは保護力を優先しているためです。

また、市販の「お湯で柔らかくして歯型を取るタイプ」もあれば、歯科医院で作成する「オーダーメイドタイプ」も存在します。後者は個々の噛み合わせや歯並びに合わせて作られるため、フィット感や安全性が高いのが特徴です。

スポーツ用マウスピースは、歯が欠ける・折れる・抜けるなどの外傷を防ぐだけでなく、顎関節へのダメージを和らげたり、脳震盪のリスクを軽減したりする効果もあるといわれています。そのため、子どもがスポーツを本格的に始める際には、必須とも言える予防アイテムです。

ただし、このような「衝撃保護」を目的とした設計のため、他の用途、たとえば「歯ぎしり防止」や「睡眠中の顎の安定」を目的とした使用には、形状や素材の面で適していないことが多いです。

次章では、歯ぎしり用マウスピースがどのような目的で作られているのか、スポーツ用との違いを具体的に見ていきます。用途に合わせた正しい選択が、結果的にお子さまの大切な歯を守ることに繋がります。

歯ぎしり用マウスピースの目的と特徴

歯ぎしり用マウスピース(ナイトガード)は、主に就寝中に起こる「無意識の噛みしめ」や「歯ぎしり」によって歯や顎関節にかかる負担を和らげるために使用される装置です。睡眠中の歯ぎしりは、大人だけでなく子どもにも見られ、放置してしまうと「歯のすり減り」「歯の欠け」「顎の痛み」「頭痛」「肩こり」といったさまざまなトラブルの原因になることがあります。

歯ぎしり用マウスピースの最大の目的は、「歯へのダメージを予防すること」です。スポーツ用とは異なり、強い衝撃を受け止めるための厚みは必要なく、就寝中の自然な噛み合わせや口の開け閉めに配慮した、比較的薄く柔軟な素材で作られています。そのため、長時間つけたまま眠っても違和感が少なく、呼吸や会話を妨げないように設計されています。

市販されているタイプもありますが、やはり歯科医院で歯型を取って作るオーダーメイドのものが、効果と快適性の面で優れています。子どもの成長に合わせて微調整も可能なので、定期的なチェックと調整を行うことが大切です。

また、歯ぎしり用マウスピースには「上下どちらかの歯列に装着するタイプ」と「両方を覆うタイプ」があり、症状や年齢に応じて選ばれます。お子さまの場合は、歯の生え変わりや顎の成長段階にあるため、専門的な視点で選定・設計する必要があります。

重要なのは、「歯ぎしり」は単なる癖ではなく、ストレスや噛み合わせ、睡眠の質などが関係していることです。マウスピースの装着はあくまでダメージ予防の手段であり、原因に目を向けたケアも並行して行うことが理想です。

次の章では、睡眠用マウスピースについて詳しく説明し、歯ぎしり用との違いを整理していきます。用途に合った正しい選び方が、お子さまの健康を守るポイントです。

睡眠用マウスピースとは?いびきや無呼吸との関係

睡眠用マウスピース(スリープスプリント)は、就寝中の「いびき」や「睡眠時無呼吸症候群」の軽減を目的に使用されるマウスピースです。これらの症状は、気道が狭くなることによって起こりやすく、睡眠の質を低下させるだけでなく、心身の健康にも大きな影響を与えるとされています。

睡眠用マウスピースは、下あごをやや前方に固定することで気道を広げ、いびきの音を抑えたり、呼吸をしやすくするために設計されています。歯ぎしり用やスポーツ用のマウスピースとは異なり、「呼吸経路の確保」を主な目的とする点が大きな特徴です。

大人と比べると、子どもの睡眠時無呼吸は見過ごされやすい傾向にありますが、実は「口呼吸が多い」「朝すっきり起きられない」「日中の集中力が続かない」といった症状がある場合には、睡眠中に気道が狭くなっている可能性もあります。こうしたサインを見逃さず、必要に応じて耳鼻科や歯科で相談することが重要です。

睡眠用マウスピースにはさまざまな種類がありますが、小児では成長段階にあるため、慎重な判断と専門的な対応が必要になります。無理に使うと逆に顎の発育に影響を及ぼすこともあるため、自己判断や市販品での対応は避け、必ず専門医の指導のもとで作成・装着を検討しましょう。

また、いびきや睡眠時無呼吸は、アレルギー性鼻炎や扁桃腺肥大、舌の位置の異常など、歯以外の要因が関係していることも多くあります。マウスピースはあくまで「補助的な対応」であり、根本的な原因を突き止めることも忘れてはなりません。

このように、睡眠用マウスピースは目的も設計も歯ぎしり用やスポーツ用とは大きく異なります。次の章では、こうした違いを踏まえたうえで、スポーツ用マウスピースを他の用途に代用する際のリスクについて詳しくご紹介します。

スポーツ用を代用するリスクとは?

「すでにスポーツ用マウスピースを持っているから、寝るときもこれを使えばいいのでは?」と考える親御さんもいらっしゃるかもしれません。しかし、スポーツ用マウスピースを歯ぎしり用や睡眠用に代用することには、いくつかの重要なリスクがあります。

まず第一に、マウスピースの設計目的の違いです。スポーツ用は「衝撃からの保護」を重視し、厚みがあり全体的に硬めの素材で作られています。一方で、歯ぎしり用や睡眠用は「長時間の装着における快適さ」と「顎や歯への優しいフィット感」が求められます。スポーツ用は日中の短時間の使用が前提であり、睡眠中に長時間使用する設計ではありません。

次に、噛み合わせへの悪影響です。合わないマウスピースを就寝中に使用すると、上下の歯の噛み合わせがずれてしまったり、顎関節に余計な負担がかかってしまう可能性があります。これは成長期の子どもにとって特に注意が必要で、誤った使用が歯並びや顎の成長に悪影響を与えてしまうおそれもあります。

また、呼吸の妨げになるリスクも見逃せません。スポーツ用マウスピースはフィット感よりも衝撃吸収性を優先しているため、寝ている間の自然な呼吸や舌の動きに干渉する場合があります。これがいびきの悪化や呼吸のしづらさにつながり、睡眠の質を低下させてしまうこともあります。

さらに、市販品の過信も危険です。「スポーツ用マウスピース」として販売されているものの中には、個々の口腔に合わせる精度が低い製品もあります。これを他の用途に使うことで、むしろ歯や顎にストレスがかかってしまうことがあるのです。

マウスピースは「ただ装着すればいい」というものではなく、目的に応じた設計・素材・フィット感が極めて重要です。安易に代用することは、思わぬトラブルを招く可能性があるということを、ぜひ知っておいてください。

次の章では、用途に応じた正しいマウスピースの選び方と、どういった点に注意すればよいかを具体的に解説していきます。大切なお子さまの健康を守るためにも、適切な選択が必要です。

正しい使用方法とマウスピースの選び方

マウスピースは、お子さまの歯や顎を守るための大切な道具ですが、「どれを選べばいいのか分からない」「正しい使い方が分からない」と悩まれる方も多いです。ここでは、用途に応じたマウスピースの選び方と、効果的に使うためのポイントを分かりやすくご紹介します。

まず前提として、マウスピースには「スポーツ用」「歯ぎしり用」「睡眠用」とそれぞれ目的が異なり、同じものを別の目的で代用することは避けるべきです。選ぶ際には「どんな目的で使うのか」を明確にし、それに応じた設計や素材のものを選ぶことが大切です。

用途に合った選び方のポイント

  • スポーツ用:衝撃吸収が優先され、しっかりと歯全体を覆う厚みがあります。スポーツ中の事故から歯や顎を守るため、装着感よりも保護力が重視されています。
  • 歯ぎしり用:就寝中に歯が削れたり、顎関節に負担がかからないように、やや薄く弾力性のある素材で作られています。長時間装着しても違和感が出にくいのが特徴です。
  • 睡眠用(いびき・無呼吸対応):気道確保のために、下あごを前に出すような形状になっていることが多く、呼吸のしやすさや快適な装着感が求められます。

市販品とオーダーメイドの違い

市販品は手軽に購入できるメリットがありますが、フィット感や耐久性、快適性に欠けることが多いです。特にお子さまの場合は成長に合わせた調整が必要になるため、歯科医院で作成するオーダーメイドのマウスピースが安心です。

オーダーメイドでは、歯型を正確に取り、お子さま一人ひとりの噛み合わせや口の大きさに合わせて作ることができます。そのため、装着時の違和感も少なく、目的に応じた適切なサポートが得られます。

正しい使用方法とメンテナンス

マウスピースは正しく使うことで初めて効果を発揮します。以下のポイントを意識しましょう。

  • 毎日使用後は、ぬるま湯で洗って清潔に保つ
  • 歯ブラシで強くこすらない(傷がついて菌が繁殖しやすくなります)
  • 乾燥を防ぐために専用の保管ケースに入れる
  • 定期的に歯科医院で状態をチェックする(歯の成長により合わなくなる場合があります)

子どもは成長が早いため、「数ヶ月前に作ったマウスピースが合わなくなってきた」ということも珍しくありません。違和感があるまま使い続けると、かえって口腔内に負担をかけてしまうこともありますので、定期的な見直しと調整が不可欠です。

次の章では、歯科医院で作るマウスピースのメリットや、なぜ専門家の手による設計が重要なのかを深掘りしていきます。お子さまにとってベストな選択をするための参考にしてください。

歯科でのマウスピース作成のメリット

お子さまにマウスピースを使わせる場合、「市販品で手軽に済ませたい」と考える親御さんも少なくありません。しかし、歯科医院で作成するマウスピースには、安心・安全・効果の3つの大きなメリットがあります。ここでは、歯科医によるオーダーメイドのマウスピースがなぜおすすめなのか、その理由を詳しく解説します。

1. フィット感が圧倒的に良い

歯科医院では、お子さまの歯型を正確に取り、一人ひとりの歯並びや顎の大きさにぴったり合ったマウスピースを作成します。市販品では得られない快適な装着感と安定性があり、長時間装着しても違和感が少ないのが特徴です。特に睡眠中に使う場合、違和感の少なさはとても重要なポイントになります。

2. 成長に合わせた調整ができる

お子さまは日々成長しています。歯の生え変わりや顎の発達に伴って、以前作ったマウスピースが合わなくなることも珍しくありません。歯科医院で作成すれば、定期的なチェックや必要に応じた調整が可能です。これは、お子さまの発育に合わせて最適なケアを続けるうえで非常に大きなメリットです。

3. 安全性と衛生面で信頼できる

市販のマウスピースは素材の安全性が明確でないこともあり、口に長時間入れるものとしては心配もあります。歯科医院で使用されるマウスピースは、医療用の安全な素材を使い、衛生管理もしっかりとされています。特に敏感な子どもの口の中に使うものだからこそ、安全性は最も重視すべき点です。

4. 専門的なアドバイスを受けられる

歯科医院では、マウスピースを作る前に歯や顎の状態をしっかりと診察します。たとえば、歯ぎしりの原因がストレスや噛み合わせにある場合、それを考慮したアプローチが可能です。原因に応じた適切な指導や予防法も併せて受けられるため、より根本的な対策につながります。

5. 長く使えるコストパフォーマンス

一見、市販品の方が安く見えるかもしれませんが、フィットしないことで効果が得られなかったり、すぐに買い替えが必要になったりすることもあります。歯科で作るマウスピースはしっかりした素材で耐久性も高く、結果的に長く使えることが多いためコストパフォーマンスにも優れています

マウスピースはお子さまの大切な歯を守るためのもの。だからこそ、安心して長く使えるものを選ぶことが何よりも大切です。次の章では、お子さまの歯を健康に保つために、マウスピース以外にも大切にしたい日常のポイントをご紹介します。

お子さまの歯を守るために大切なこと

マウスピースは、お子さまの歯や顎を守るための有効な手段のひとつですが、それだけで歯の健康を守れるわけではありません。毎日の生活習慣やケアの積み重ねが、将来の歯の強さや口腔環境に大きく影響していきます。ここでは、マウスピースの使用に加えて意識しておきたい大切なポイントをお伝えします。

1. 正しいブラッシング習慣の確立

まず基本となるのが「歯磨き」です。朝・夜の1日2回、しっかりと磨くことが習慣になっているかを今一度確認しましょう。特に寝る前のブラッシングはとても重要です。マウスピースを装着する場合、清潔な口内でなければ菌が増殖しやすくなります。歯磨き後にマウスピースを装着することが基本です。

2. 規則正しい食生活

砂糖の多いおやつやジュースの頻繁な摂取は、むし歯の大きなリスク要因です。甘いものは「時間」と「量」を意識して摂りすぎを防ぎましょう。また、噛む力を育てるために、やわらかすぎる食事ばかりに偏らないよう注意が必要です。しっかり噛むことは、顎の発育にもつながります。

3. 睡眠とストレス管理

歯ぎしりは、ストレスや緊張が原因となることもあります。十分な睡眠時間の確保や、安心できる就寝前のルーティンづくりも大切です。子どもが日々リラックスして過ごせる環境を整えることで、歯ぎしりや顎の緊張の軽減が期待できます。

4. 口呼吸のチェック

無意識のうちに口呼吸になっていないかも確認ポイントです。口呼吸は唾液による自浄作用が働きにくくなり、むし歯や歯周病、さらには睡眠の質の低下にもつながります。鼻づまりなどの症状があれば、耳鼻科との連携も視野に入れて早めに対応しましょう。

5. 定期的な歯科健診

マウスピースの状態やお口の健康を維持するためにも、定期的な歯科健診は欠かせません。マウスピースが正しく機能しているか、歯の生え変わりの状況に応じた調整が必要かどうかをチェックすることが大切です。歯科健診は、歯の健康を守る「予防」の第一歩です。

お子さまの歯はこれから何十年と使い続ける大切な身体の一部です。マウスピースはそのサポートのひとつであり、正しい生活習慣と組み合わせることで、より効果的に健康を守ることができます。

次の章では、この記事のまとめとして、最も大切なポイントを整理してお伝えいたします。

終わりに

スポーツ用マウスピースは、歯や口まわりを外傷から守るためにとても有効なアイテムですが、歯ぎしり用や睡眠用としての代用には向いていません。それぞれのマウスピースには明確な目的と特徴があり、適した場面で使用することが、お子さまの口腔健康を守るうえで非常に大切です。

「すでに持っているから使いまわせたら便利」という気持ちはとてもよくわかります。しかし、合わないマウスピースを無理に使用することで、歯並びや顎関節に悪影響を及ぼす可能性があることも忘れてはいけません。特に成長期のお子さまの場合は、適切な設計と安全性を確保した上で使うことが重要です。

歯科医院でのオーダーメイドマウスピース作成には、快適さ・安全性・効果の面で多くのメリットがあります。使用目的に合わせて、正しく選び、きちんとケアすることで、マウスピースはお子さまの健やかな成長をサポートする心強い味方になります。

そして何より、マウスピースだけに頼るのではなく、日常の生活習慣の見直しや、定期的な歯科健診を通して総合的にお口の健康を守ることが、これからの将来への最良の予防策になります。

お子さまの大切な歯を守るために、今できることを一つずつ見直してみませんか?小さな積み重ねが、大きな健康へとつながっていきます。

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