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歯医者で泣かせない!効果的な声掛け法

・子どもが歯医者を嫌がって泣いてしまう。
・どう声をかければ安心させられるのかわからない。
・診察が終わるころには親もぐったり。

この記事では、親子で笑顔になれる歯医者通いのコツをお届けします。・子どもの不安を理解し、やさしい声掛けをすることで、診察がスムーズに進むようになります。親ができるちょっとした声掛けや心構えで、歯医者での子どもの涙をぐっと減らせます。この記事では、事前準備から診察後のフォローまで、子どもが歯医者を怖がらずに通えるための具体的な声掛け法をご紹介します。これを読めば、次の通院がぐっと楽しくなるはずです。

歯医者が怖い子どもの気持ちを理解する

子どもにとって歯医者はとても特別な場所です。キーンと響く機械音や見慣れない器具、独特の匂い、口の中を触られる感覚──これらが合わさると、緊張や恐怖を感じるのは当然のことです。親としては「大丈夫だよ」と伝えたい気持ちになりますが、まずはその小さな心の中の不安に寄り添うことが大切です。

子どもは大人よりも想像力が豊かで、何が起こるのかわからない状況に対して強い不安を抱きやすいです。「痛いのかな」「怖い人がいるのかな」「何をされるのかな」といった疑問や恐れが、診察前の不安を高めます。このとき、周囲の大人が「怖がる必要はない」「泣かないで」と言っても、かえってプレッシャーになることが少なくありません。

まずは「怖いと思う気持ちがあって当然だよ」と心の中で受け止めてあげましょう。子どもが泣いてしまうのは不安や恐れをうまく言葉にできないためです。そこで親ができるのは、「怖かったら教えてね」「心配なことがあったら言っていいんだよ」と安心感を与えること。これだけでも子どもは「ちゃんと聞いてくれる人がいる」と感じ、少し気持ちが落ち着きます。

また、年齢によって感じ方も違います。3〜4歳の子どもは想像の世界で恐怖を大きくふくらませることが多いですが、5〜6歳になると「前の治療で痛かった記憶」が残りやすくなります。小学生になると「周りの目」や「自分の弱さを見せたくない」という思いが加わることもあります。それぞれの成長段階に応じた不安に寄り添い、理解してあげることが大切です。

加えて、保護者自身も「泣かせたくない」「迷惑をかけたくない」というプレッシャーを感じがちです。この親の焦りが、逆に子どもに伝わりやすくなります。親自身が「泣いても大丈夫、ゆっくり慣れさせよう」という気持ちでいることも、子どもにとっては大きな安心材料になります。

つまり、歯医者で泣かないようにする第一歩は、泣くことを否定しないこと。不安を抱くこと自体は悪いことではないと親子で知っておくことが、次のステップである声掛けや励ましに大きな意味をもたせてくれます。ここから、少しずつ準備と対応を整えていきましょう。

子どもの不安を和らげる事前の準備

歯医者に行く前の準備は、子どもの不安を和らげるための大切なステップです。ただ「行くよ」と突然伝えるのではなく、少しずつ心の準備を整えてあげましょう。

まず大事なのは、「歯医者=怖いところ」というイメージをやわらげることです。小さい子どもにとって、歯医者は未知の世界です。絵本や動画を使って「歯医者さんはどんな場所なのか」「何をするのか」を優しく伝えることで、見通しを立てられるようにしてあげましょう。最近では、歯医者をテーマにした絵本や子ども向け動画がたくさんあります。そうしたものを一緒に見て、「こんなことをするんだね」と話し合う時間を作ると効果的です。

次に、親ができるのは「ポジティブな声掛け」です。たとえば、「先生にお口を見せたら、ピカピカになるよ」「頑張ったらシールをもらえるかもね」など、子どもが前向きな気持ちになる言葉を選びます。このとき、「痛くないよ」「怖くないよ」という表現は避けましょう。なぜなら、子どもは「痛い」「怖い」という言葉に敏感に反応し、「やっぱり怖いのかも」と思ってしまうことがあるからです。

さらに、当日のスケジュールをできるだけ穏やかに整えることも大切です。歯医者の予約は、なるべく午前中やお昼寝前など子どもの機嫌が良い時間帯を選び、診察前に空腹や疲労がたまらないように工夫しましょう。また、診察に持っていく「安心グッズ」(お気に入りのタオルやぬいぐるみなど)があると、子どもが落ち着きやすくなります。

事前に親子で簡単な「ごっこ遊び」をしてみるのも良い方法です。おうちで歯医者さんごっこをして、親が患者役、子どもが歯医者役をやってみたり、逆にしてみたりすることで、緊張を和らげます。遊びを通じて「口を開けること」「お口を見てもらうこと」に慣れると、実際の診察でも抵抗感が減ります。

最後に、親自身がゆったりとした気持ちでいることが大切です。「行かなきゃ」「泣かせたくない」と焦ると、その気持ちは子どもに伝わります。深呼吸をして、親が「大丈夫、一緒に頑張ろう」という気持ちで接することで、子どもも安心して歯医者に向かえるようになります。準備段階から一緒に笑顔で過ごせることが、当日の成功につながります。

診察前の効果的な声掛け

診察前の声掛けは、子どもの気持ちを落ち着かせ、安心感を持たせるための大切な時間です。この段階での言葉選びは、子どもの不安を大きく左右します。

まず心がけたいのは、「安心感を伝える声掛け」です。例えば、「ママも一緒にいるよ」「先生は優しい人だよ」「少しの間だけ頑張ろうね」など、子どもが「一人じゃない」「見守ってくれる人がいる」と感じられる言葉をかけます。歯医者の前で急に「泣かないでね」と言うのは逆効果です。それよりも、「今日はどんなことをするか一緒に見てみようね」と好奇心を引き出す言葉を意識しましょう。

また、子どもは繰り返しの確認で安心します。診察前に「お口を見てもらうだけだよ」「終わったら絵本を読もうね」と伝え、何をするのか、終わった後の楽しみがあることを教えてあげるとよいです。このとき、過剰な約束(「終わったらおもちゃを買ってあげる」など)は避け、日常的な小さな楽しみにとどめるのがコツです。

重要なのは、親自身が穏やかに接することです。親が不安そうな顔をしていると、それだけで子どもは敏感に察知し、「やっぱり怖いのかな」と思ってしまいます。明るい笑顔で「ママも先生にお話してくるね」「一緒に頑張ろうね」と声をかけましょう。親の表情やトーンは、言葉以上に子どもに安心を与える力があります。

また、「頑張れる力を信じている」というメッセージを伝えることも大切です。「○○ちゃんならできるよ」「いつも頑張ってるもんね」と普段の頑張りを認めることで、子どもの自信につながります。ただし、「泣かないでね」「ちゃんとしなきゃだめだよ」という指示的な言葉は避けましょう。これらはプレッシャーになるだけで、安心感を妨げる場合があります。

診察室に入る直前は、手をぎゅっと握ったり、背中を軽くさすったりと、体に触れて安心させるのも効果的です。こうした小さな気遣いが、子どもの心を落ち着け、診察へのスムーズな移行を助けます。親の声とふれあいが、何よりのサポートになると覚えておきましょう。

診察中の励まし方と言葉選び

診察中の子どもは、緊張や恐怖、不安でいっぱいです。このとき親がそばでどんな言葉をかけるかは、子どもの安心感に大きく影響します。優しく適切な励まし方を知っておくことで、子どもは頑張る力を引き出され、診察を乗り越えることができます。

まず意識したいのは、具体的な声掛けです。「すごいね」「よくお口を開けられたね」「あと少しだよ」と、今できていることを認める言葉が効果的です。単に「がんばれ」と繰り返すのではなく、「お口を大きく開けてくれて先生助かってるよ」「動かずにいられて偉いね」と、行動を具体的にほめることで、子どもは「自分はちゃんとできている」と自信を持ちやすくなります。

声のトーンにも注意が必要です。落ち着いた、穏やかなトーンで話すことが大切です。親が緊張して早口になったり、大声で励ましたりすると、逆に子どもの不安をあおってしまうことがあります。診察台の横では、ゆったりとした口調で「大丈夫だよ、ママ(パパ)ここにいるよ」「先生と一緒に頑張ってくれてるね」と伝えましょう。

また、身体的な安心感も重要です。診察台の横で手を握ってあげたり、足を軽くトントンと優しくさすってあげたりするだけで、子どもは「一人じゃない」と感じることができます。ただし、治療の妨げになるような行動は避け、歯科医師の指示に従うことが大切です。

診察中、子どもが泣いてしまったり嫌がったりする場面もあるでしょう。そのとき、「泣かないの!」と叱るのは避けるべきです。「泣いてもいいよ、ママ(パパ)ここにいるからね」「泣きながらでも頑張ってるね」と、感情を否定せず寄り添うことが大切です。感情を受け止めてもらえた子どもは、徐々に気持ちを落ち着かせることができます。

さらに、歯科医師と親が協力し合うことも重要です。親が子どもの性格や好きなキャラクター、普段の頑張り方を事前に歯科医師に伝えておくと、治療中の声掛けにも一体感が生まれます。親と歯科医師が一緒に応援することで、子どもは「みんなが味方だ」と感じやすくなります。

診察中の時間は子どもにとって長く感じられます。親の優しい声掛けと安心感が、その長い時間を乗り越える大きな力になります。ほんの小さな励ましの積み重ねが、子どもにとって大きな支えになるのです。

診察後のポジティブなフォロー

診察が終わった後のフォローは、次回の歯医者通いをスムーズにする大事なポイントです。どんな小さなことでも頑張れたことをしっかり認め、子どもが「自分はやり遂げた!」と感じられるようにしましょう。

まずは診察室を出たら、すぐにほめることが大切です。「頑張ったね!」「お口大きく開けられたね、偉かったね」「最後まで座っていられたね」と、できたことに注目して声をかけます。結果だけではなく、頑張ろうとした気持ちやチャレンジした行動を評価することで、子どもの自己肯定感が育まれます。

次に、「楽しい体験」で締めくくることも効果的です。例えば「待合室で絵本を読もう」「帰りに公園で少し遊ぼうね」といった、小さな楽しみを用意すると、子どもは「歯医者さんは嫌なことだけじゃない」と思えるようになります。ただし、おもちゃやお菓子などのご褒美を毎回用意すると、それがないと頑張れない習慣になりやすいので、控えめな楽しみにとどめるのがコツです。

診察中に泣いてしまった場合も、「泣いてもいいんだよ。でも最後まで頑張れたね」と寄り添い、努力した部分を見つけて伝えます。「泣かないでくれてありがとう」ではなく、「泣きながらも頑張ったね」というように、感情を否定しない声掛けを心がけましょう。

また、家に帰ってからも話題にして、成功体験を振り返るのがおすすめです。「今日は頑張れたね」「また行けそうだね」と会話することで、次回の通院のハードルを下げられます。家族みんなで「すごいね」「成長したね」と声をかけ合うと、子どもは家族に認められた喜びを感じます。

親自身も「今日の診察は大変だったけど、子どもが一歩成長できた」と前向きにとらえることで、次の通院時に余裕を持って対応できます。診察後のフォローは、単に慰める時間ではなく、子どもの成長を実感し合う貴重な時間です。ぜひ意識して取り入れてください。

親が気をつけたいNGな声掛け

子どもを歯医者に連れて行くとき、つい口にしてしまいがちな言葉の中には、実は逆効果になってしまうものがあります。どれだけ親が励ますつもりでも、子どもにとってはプレッシャーや不安をあおる結果になることがあるため、注意が必要です。

まず気をつけたいのが、「泣かないでね」「いい子にしてね」といった言葉です。これは一見優しい励ましのように聞こえますが、子どもにとっては「泣いてはいけない」「いい子でいなければならない」というプレッシャーになります。不安を感じやすい場面で制限をかけると、ますます緊張が高まり、かえって泣き出してしまうこともあります。

次に避けたいのが、「痛くないから大丈夫」「あっという間に終わるよ」という言葉です。親は不安をやわらげようとこうした声掛けをしがちですが、実際に痛みを感じたときに「ママ(パパ)は嘘をついた」と思わせてしまう恐れがあります。その結果、次回の診察で親の言葉を信用できなくなることもあります。

また、「終わったらおもちゃ買ってあげるからね」「お菓子あげるから頑張ろうね」といったご褒美を約束する方法も注意が必要です。これを続けると、「頑張るのはおもちゃやお菓子のため」という意識が強まり、歯医者そのものに対する前向きな気持ちが育ちにくくなります。ご褒美を与える場合は、小さな楽しみやほめ言葉程度にとどめ、物で釣らない工夫が求められます。

「痛くしたら先生に怒ってもらうよ」や「悪い子は注射されちゃうよ」といった脅しの言葉は絶対に避けましょう。このような言葉は恐怖心を植え付けるだけでなく、歯医者や歯科医師への信頼感を失わせてしまいます。一度恐怖心を持った子どもは、その後の通院がますます難しくなることが多いです。

最後に、親自身の言動にも注意を払いましょう。「今日は大変だな」「泣かれたら困るな」といった親の不安が表情や態度に出ると、敏感な子どもはすぐに察知します。親が落ち着いた態度を見せるだけでも、子どもにとっては安心できる材料になります。

つまり、診察前後の言葉選びはとても重要です。優しいつもりの言葉が逆効果にならないよう、子どもをプレッシャーや恐怖で追い詰めない声掛けを心がけましょう。それだけで、歯医者の時間がぐっと穏やかなものになります。

歯医者が協力できるサポート法

子どもが歯医者で安心して診察を受けられるようにするためには、親だけでなく歯医者やスタッフとの連携がとても大切です。歯科医院側も、子どもの不安を理解し、適切な対応を行うことで、親子の負担をぐっと減らすことができます。

まず、多くの小児歯科では「声掛け」「説明」「段階的な診察」という3つの工夫を行っています。治療前に使う器具を見せ、「これはお口のシャワーだよ」「風さんが歯をきれいにしてくれるよ」と子どもにわかりやすい言葉で説明することで、不安を和らげます。また、すぐに治療に入るのではなく、まず診察台に座るだけ、お口を開けるだけ、といった小さなステップで慣れさせていく方法も有効です。

診察中も、歯医者やスタッフから「とっても上手だね」「すごいよ」「先生のお手伝いありがとうね」と声をかけてもらうと、子どもは「自分は頑張れている」と感じやすくなります。さらに、子どもの好きなキャラクターや趣味の話題を診察中に取り入れると、気が紛れ、不安が軽減されます。事前に親が「○○が好きです」「こういうことで励ますと頑張れます」と伝えておくと、歯医者側もよりスムーズに対応できます。

また、診察前後の待合室の工夫も大切です。明るく清潔な雰囲気、子ども用の絵本やおもちゃが置いてあること、スタッフが笑顔で迎えてくれること──こうした小さな工夫が、歯科医院全体を「怖くない場所」「楽しい場所」に変えてくれます。

さらに、歯医者と親の事前相談も有効です。診察前に不安なことを相談しておけば、治療方針を柔軟に調整してもらえたり、診察の途中で親のサポートが必要かどうか確認してもらえます。歯医者は親のパートナーです。一緒に工夫を重ねていくことで、子どもにとっての診察体験をよりよいものにしていけます。

最後に大切なのは、親と歯医者の信頼関係です。親が「先生に任せて大丈夫」という気持ちを持っていれば、その安心感が子どもにも伝わります。歯医者の専門的な知識と、親の愛情が組み合わさることで、子どもが前向きに診察に臨めるようになるのです。親と歯科医院の連携は、子どもの笑顔につながる最大のサポートだといえるでしょう。

終わりに

歯医者で泣いてしまう子どもを前に、親はときにどうしていいか分からなくなることがあります。しかし、子どもの不安に寄り添い、事前準備や診察中の声掛け、診察後のフォローまで丁寧に行うことで、子どもの気持ちは少しずつ落ち着いていきます。

「泣いても大丈夫」「頑張ろうとしているだけで十分えらい」という姿勢で接することは、子どもにとって大きな支えです。NGな声掛けを避け、具体的で前向きな言葉を選び、親自身が落ち着いて対応するだけで、子どもの診察体験は大きく変わります。

また、歯科医院との連携も重要です。小児歯科は子どもへの対応に慣れているため、親が「うちの子はこういうタイプで」「こんな声掛けをすると落ち着きます」と事前に相談することで、治療がスムーズに進みやすくなります。親と歯医者が同じ方向を向いてサポートすれば、子どもは「自分には味方がいる」と感じ、安心できます。

繰り返しの経験が、子どもに自信を与えます。最初は泣いてしまっても、少しずつ慣れ、「自分は頑張れる」という気持ちが芽生えます。親は焦らず、子どものペースを大事にしてあげてください。

子どもと親、歯科医院が力を合わせれば、歯医者通いはきっと笑顔の時間へと変わります。どうか今日から、やさしい声掛けで小さな勇気を応援してあげてください。

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