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砂糖摂取量を減らして子供の虫歯リスクを低減する方法

砂糖と虫歯の深い関係

こんにちは。小児歯科専門の当院ブログをご覧いただきありがとうございます。

今回は、お子さんの健康な歯を守るうえでとても大切なテーマ、「砂糖の摂取量を減らして虫歯のリスクを低減する方法」についてお話ししていきます。

まず最初にお伝えしたいのは、「砂糖の摂取と虫歯には、明確な関係がある」ということです。虫歯は、ミュータンス菌などの虫歯菌が砂糖をエサにして酸を作り出すことで、歯の表面を溶かし、進行していきます。つまり、口の中に砂糖が多く入るほど、虫歯のリスクは高まるのです。

では、どうして子どもは特に虫歯になりやすいのでしょうか?それは子どもが甘いものを好みやすいこと、そしてまだ歯みがきが不十分になりがちなことが大きな要因です。また、乳歯は永久歯に比べてエナメル質(歯の表面を覆う硬い層)が薄く、酸に対する抵抗力も低いため、虫歯が進行しやすいという特徴もあります。

さらに、砂糖と一口にいっても、その種類や摂取のタイミングも大きく関係しています。たとえば、キャンディやチョコレートなどの“ねばつく”お菓子は、歯に長時間残りやすく、虫歯菌にとって理想的な環境を作り出してしまいます。また、就寝前の甘いおやつや飲み物も、唾液の分泌が減る夜間に虫歯を進行させるリスクが高まるため、特に注意が必要です。

このように、砂糖は虫歯の最大のリスク因子のひとつです。しかし、日常生活で完全に砂糖をゼロにするのは現実的ではありません。だからこそ、「摂り方を工夫する」「適量を知る」「代替できる選択肢を持つ」ことがとても大切なのです。

今回のブログでは、砂糖の種類や見えにくい砂糖の存在、食習慣の見直し方、甘いものとの上手な付き合い方など、家庭で実践できるポイントを詳しく解説していきます。お子さんの虫歯予防に役立てていただければ幸いです。

子供の砂糖摂取量はどれくらいが適切?

結論からお伝えすると、子どもの砂糖摂取量には明確な目安があり、それを守ることで虫歯だけでなく、肥満や生活習慣病のリスクも下げることができます。特に成長期の子どもにとって、砂糖は適量であればエネルギー源にもなりますが、過剰摂取は健康を大きく損なう要因になります。

世界保健機関(WHO)は、「1日の総エネルギー摂取量の5%未満に砂糖を抑えることが望ましい」と勧告しています。これは、4〜6歳の子どもであれば、約15g以下(角砂糖でおよそ4個分程度)に相当します。しかし、日本人の子どもたちは、ジュースやスナック、お菓子、加工食品などを通じて、この量を大きく超えていることも少なくありません。

問題なのは、“意識して摂っていないのに知らず知らずのうちに摂ってしまっている砂糖”の存在です。たとえば、ヨーグルトやシリアル、パン、レトルト食品にも砂糖が含まれていることが多く、親が意識していない場面で、子どもは多くの砂糖を口にしています。

また、日本の厚生労働省では、明確な砂糖摂取量の上限を定めてはいませんが、健康日本21の中で、清涼飲料水などに含まれる砂糖の摂取量を減らす取り組みが推奨されています。歯科の現場でも、間食の回数や種類に注意するよう指導することが増えてきました。

適切な砂糖摂取量を守るには、まず家庭で「1日にどのくらい砂糖を摂っているか」を知ることが重要です。食品ラベルを確認する習慣を持つことや、子どものおやつタイムを見直すことが、その第一歩になります。

もちろん、完全に砂糖を排除する必要はありません。お誕生日や特別な日には、ケーキや甘いおやつを楽しむことも大切な体験です。日常ではなるべく自然な甘味(果物や無糖ヨーグルトなど)を活用し、子どもと一緒に「食べる量やタイミングをコントロールする」習慣を身につけていきましょう。

次回は、こうした“見えない砂糖”が私たちの日常生活の中でどのように入り込んでいるのかを詳しく見ていきます。

日常生活に潜む“見えない砂糖”とは

子どもの虫歯を予防するために砂糖を控えようとしても、なかなか思うようにいかない理由のひとつが、「見えない砂糖」の存在です。目に見えるお菓子やジュースの砂糖は分かりやすいですが、実は私たちの身の回りには、意識しないと気づかないかたちで多くの砂糖が潜んでいます。

“見えない砂糖”とは、食材や加工食品に含まれている糖分のうち、甘さを強く感じにくく、摂取しているという実感が薄いものを指します。たとえば、以下のような食品には注意が必要です。

  • 朝食用のシリアル
  • 甘み付きのヨーグルト
  • 菓子パンや惣菜パン
  • ケチャップやソース類
  • 市販のカレーやシチューのルウ
  • 子ども向けのドリンク(乳酸菌飲料や果汁飲料など)

これらの食品は、子どもにとってなじみ深く、栄養価もあるように感じられるため、親としても選びやすい傾向があります。しかし、ラベルをよく見てみると、「砂糖」「果糖ぶどう糖液糖」「ブドウ糖」などの表示が多く含まれていることがわかります。これらはすべて糖質であり、虫歯菌の栄養源になります。

さらに注意したいのは、“甘く感じない=砂糖が入っていない”という誤解です。たとえば、味噌やドレッシング、漬物なども、味のバランスを整えるために砂糖が使われていることがあります。つまり、親が意図しないところで、日常的に子どもの口の中に糖分が入り込んでいるのです。

このような見えない砂糖を減らすには、まず「食品表示を見る習慣」を家庭で取り入れることが大切です。購入前に原材料欄をチェックし、砂糖が最初の方に記載されていないかを確認しましょう。一般的に、原材料の表示は含有量の多い順に記載されていますので、最初に「砂糖」や「果糖」などが書かれている場合は注意が必要です。

また、なるべく手作りの食事を心がけることも有効です。手作りであれば、どれだけ砂糖が入っているかを把握しやすくなり、自然と使用量を調整することができます。甘味を加えたいときも、砂糖より果物や少量のはちみつなど、自然由来の素材を選ぶ工夫ができます。

“見えない砂糖”に気づくことは、子どもの虫歯予防だけでなく、食育にもつながります。次回は、特に注意したい「おやつ選びのポイント」について詳しくご紹介します。

おやつ選びで虫歯予防を意識するポイント

結論から言うと、虫歯予防のためには「おやつの選び方」がとても大切です。おやつの種類や食べ方次第で、虫歯のリスクを減らすことができます。子どもにとっておやつは楽しみのひとつであり、成長期のエネルギー補給としても役立ちますが、砂糖を含むおやつが多いと、虫歯菌にとって好都合な環境を作ってしまいます。

虫歯になりにくいおやつを選ぶには、まず「砂糖の量」と「粘着性」「口の中にとどまる時間」に注目しましょう。たとえば、キャラメルやグミ、クッキー、チョコレートなどは、歯の表面に残りやすく、長時間にわたって虫歯菌のエサになります。一方、せんべいや無糖ヨーグルト、ナッツ類、ゆでた野菜や果物などは、比較的虫歯リスクが低く、安心して取り入れられるおやつです。

また、おやつの時間とタイミングも重要です。だらだらと長時間にわたっておやつを食べると、口の中が酸性に傾いた状態が長く続き、再石灰化(歯が自己修復する働き)が追いつかなくなります。できるだけ「時間を決めて」「短時間で食べる」習慣をつけましょう。

具体的なおやつ選びの工夫としては、次のような点が挙げられます:

  • 甘いお菓子を毎日与えず、週に数回程度にする
  • 飲み物は水か無糖のお茶を基本にする
  • 市販のおやつではなく、手作りの寒天ゼリーやふかし芋などを取り入れる
  • 果物も砂糖が含まれていることを意識しつつ、ビタミンなどの栄養が豊富なものを適量で取り入れる

そして、たとえ甘いものを食べたとしても、そのあとのケアが大切です。おやつの後にはお水を飲んだり、うがいをしたり、歯みがきをすることで、虫歯のリスクを下げることができます。特に寝る前に甘いものを食べる習慣があると、就寝中は唾液の分泌が減って口の中の自浄作用が弱まり、虫歯が進行しやすくなります。寝る前のおやつは控えるようにしましょう。

子ども自身がおやつを選ぶ年齢になってきたら、「なぜこのおやつは良いのか」を一緒に考えることも食育の一環になります。自分で判断できる力を育てることは、長い目で見てもとても価値のあることです。

次のテーマでは、意外と見落としがちな“飲み物に含まれる砂糖”とそのリスクについて、詳しく解説していきます。

飲み物に含まれる砂糖とそのリスク

虫歯予防において、意外と見落とされがちなのが「飲み物に含まれる砂糖」です。おやつには気をつけていても、飲み物は気軽に与えてしまうことが多く、その中に多くの砂糖が含まれていることに気づかないケースが少なくありません。実は、液体である飲み物は砂糖を口の中に広く行き渡らせるため、虫歯リスクを高める要因になりやすいのです。

例えば、一般的な清涼飲料水(炭酸飲料や果汁飲料など)には、500mlあたり40~60gもの砂糖が含まれているものがあります。これは角砂糖に換算すると10~15個分に相当します。さらに、「果汁100%ジュース」や「乳酸菌飲料」など、一見ヘルシーに見える飲み物にも、実は多くの糖分が含まれていることがあります。

このような飲み物を習慣的に飲んでいると、歯の表面に常に糖分が供給される状態となり、虫歯菌が酸を作り続ける原因となります。さらに、液体は固形物よりも歯に留まりにくいため、かえって親がその影響に気づきにくいという特徴もあります。

また、飲み物の摂取タイミングにも注意が必要です。特に危険なのは、「少しずつ飲み続ける」スタイル。長時間にわたって甘い飲み物を飲んでいると、口の中のpHが下がった状態が続き、歯の再石灰化(修復機能)が働かなくなります。甘い飲み物は「一気に飲み終える」ことが、少しでもリスクを抑える工夫になります。

では、子どもにはどんな飲み物を選ぶべきでしょうか?基本的には、水または無糖のお茶がおすすめです。特に、麦茶やほうじ茶はカフェインを含まず、子どもにも安心して与えることができます。また、牛乳や豆乳も無糖であれば栄養価が高く、成長期の体づくりにも役立ちます。

さらに、飲み物に対する意識を変える工夫として、以下のような方法も有効です:

  • 家庭で飲み物を選ぶルールをつくる(「お茶か水が基本」など)
  • 特別な日だけ甘い飲み物を許可する
  • 自家製のフレーバーウォーター(レモンや果物を加えた水)で楽しみを増やす
  • 飲んだ後に口をゆすぐ習慣をつける

子どもにとって、飲み物は水分補給であると同時に“楽しみ”の要素でもあります。だからこそ、ただ禁止するのではなく、「お口に優しい選び方」を一緒に学んでいくことが大切です。

次回は、毎日の生活の中で、家庭でできる具体的な砂糖摂取のコントロール方法をご紹介していきます。

家庭でできる砂糖摂取のコントロール方法

虫歯予防のために砂糖の摂取量をコントロールするには、まず家庭の中から意識を変えていくことがとても大切です。毎日の生活習慣の中にちょっとした工夫を取り入れるだけで、無理なく子どもの砂糖摂取量を減らすことができます。

結論から言えば、「買わない・置かない・見せない」という工夫が、家庭での砂糖摂取を減らすための基本です。子どもの手が届く場所に甘いお菓子やジュースがあると、それを欲しがるのは自然なことです。逆に言えば、目につく場所にないだけで、要求自体が減るケースも多く見られます。

まずは、買い物の段階で砂糖の多い加工食品を選ばないようにしましょう。スーパーでの買い物の際には、原材料表示を確認し、「砂糖」「果糖ぶどう糖液糖」などが前半に書かれている商品は避けるのが理想です。また、おやつの選び方も見直し、「甘いお菓子は週に〇回まで」などのルールを決めることも有効です。

次に、手作りの工夫も取り入れてみましょう。市販のスイーツの代わりに、果物やさつまいもを使った自然な甘さのおやつを作ることで、砂糖を減らしつつ栄養価を確保できます。蒸し野菜や寒天、無糖ヨーグルトに刻んだ果物を加えるなど、砂糖を使わずに満足感のあるおやつを作ることも可能です。

さらに、「時間と頻度のルール化」も効果的です。1日におやつの時間を決めて、だらだらと食べ続ける習慣をなくすことで、口の中が酸性に傾く時間を短くできます。虫歯菌は、糖分が口の中に長時間とどまっていることを好むため、規則正しい食生活が予防に直結します。

また、子どもと一緒に「なぜ砂糖を控えるのか」を話し合う機会をつくることも大切です。「甘いもの=悪いもの」と決めつけるのではなく、「歯を大切にするための選び方」として伝えることで、子ども自身も納得し、協力しやすくなります。絵本やクイズ形式で楽しく学べる工夫も良い方法です。

最後に、親自身が手本になることも忘れてはいけません。大人が甘い飲み物やお菓子を頻繁に摂っていると、子どもも真似をします。家族全体で食生活を見直し、バランスの取れた食習慣を目指すことで、無理なく砂糖摂取のコントロールができるようになります。

次回は、「甘いものとの上手な付き合い方を子どもに教えるコツ」についてご紹介していきます。子どもの自立心を育てながら、虫歯予防につなげる方法をお伝えします。

甘いものとの上手な付き合い方を子どもに教えるコツ

砂糖の摂取を抑えることが虫歯予防にとって重要であることはお伝えしてきましたが、完全に甘いものを禁止するのは現実的ではありません。むしろ、過度な制限は子どもの興味を余計に引いてしまい、隠れて食べてしまったり、反動で過剰に摂取してしまったりすることもあります。大切なのは、「甘いものを上手に楽しむ力」を子どもに育てることです。

そのための第一歩は、「甘いものは特別なごほうび」という意識づけをすることです。たとえば、お誕生日や行事、家族でのおでかけのときなどに甘いものを楽しむ習慣をつけると、子どもは“特別なときに楽しむもの”として受け入れやすくなります。また、その際には「今日は特別だからね。いつも頑張ってるからごほうびだよ」といったポジティブな言葉を添えることで、良い印象を持たせることができます。

次に、「選ばせる力」を育てることも重要です。たとえば、数種類のおやつの中から自分でひとつだけ選ばせたり、「今日は果物にする?それともヨーグルト?」といった選択肢を与えることで、自分の選択に責任を持つ気持ちを育てることができます。これにより、甘いものに対する過剰な執着を避けることにもつながります。

さらに、日常の中で「食べたあとのケア」を自然に取り入れる習慣を身につけさせましょう。おやつの後にはお水を飲む、口をゆすぐ、できれば歯みがきをする――このようなルールを「決まりごと」として定着させることが大切です。こうすることで、甘いもの=悪いものではなく、「正しく食べれば大丈夫」という安心感も与えられます。

また、子ども向けの絵本や動画、遊びを通じて、虫歯のしくみや甘いものとの関係を学ぶのも効果的です。たとえば、「虫歯菌はお砂糖が大好きで、お口の中で酸を出して歯を溶かしてしまうんだよ」といった話を、わかりやすいキャラクターや物語を通じて伝えると、子どもは自然と関心を持ち、自分ごととして理解するようになります。

何より大切なのは、親が甘いものとのつきあい方を楽しみながら教える姿勢です。禁止や否定ではなく、「楽しく食べて、しっかりケアしようね」といった前向きな声かけが、子どもの心にしっかり届きます。

このように、甘いものを完全に排除するのではなく、賢く・楽しく付き合っていく力を育てることが、虫歯予防だけでなく、子どもの健全な食習慣づくりにもつながっていきます。

次は、このテーマのまとめとして「終わりに」のパートをご用意いたします。

終わりに

ここまで、子どもの虫歯リスクを減らすための「砂糖摂取量のコントロール」について、さまざまな視点からお話ししてきました。砂糖は私たちの生活に身近な存在であり、特に子どもにとっては喜びや楽しさと結びついていることも多いものです。だからこそ、ただ制限するのではなく、正しい知識とバランスを持って付き合っていくことがとても大切です。

砂糖と虫歯には明確な関係があり、特に乳歯の時期は虫歯になりやすい環境がそろっています。しかし、日々の習慣や選択次第で、そのリスクは十分に減らすことができます。

おやつや飲み物の選び方、食べる時間、家庭でのルール作り、そして子ども自身が納得できるような教育的アプローチ――これらを組み合わせることで、無理なく健康的な口腔環境を保つことができるのです。

また、親御さんが「子どもの虫歯を防ぎたい」と思う気持ちこそが、何よりの予防への第一歩です。完璧である必要はありません。少しずつでも「食べ方」や「選び方」、「ケアの習慣」を見直していくことが、お子さんの健やかな成長につながります。

歯医者さんは、虫歯になったら行く場所ではなく、「虫歯にならないため」に活用する場所です。当院でも、お子さんの食習慣やおやつの相談などにも丁寧に対応しておりますので、気になることがあればいつでもお気軽にご相談ください。

これからも、親子で楽しく、健康的な毎日を送るためのお手伝いができればと思っております。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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