赤ちゃんが泣きやまないときや、寝かしつけに時間がかかるとき、おしゃぶりを使ってみようと考える保護者は少なくありません。一方で、「新生児から使っても大丈夫?」「歯並びが悪くならない?」「母乳育児に影響しない?」など、使用する時期や健康への影響が気になる方もいるでしょう。 おしゃぶりには、赤ちゃんの気持ちを落ち着かせたり、眠りにつくときの安心感につながったりするメリットがあります。その一方で、長期間使い続けると歯並びやかみ合わせに影響する可能性があり、授乳状況や衛生面にも配慮が必要です。 大切なのは、おしゃぶりを使うこと自体を良い・悪いと決めつけず、赤ちゃんの成長や発達に合わせて適切に取り入れることです。この記事では、おしゃぶりを使い始める時期からメリット・デメリット、安全な使い方、卒業の目安まで、小児歯科の視点も交えながら解説します。
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おしゃぶりはいつから使える?使用開始時期の基本
おしゃぶりは、基本的には新生児期から使用できる製品があります。ただし、生まれた直後から必ず使う必要があるわけではなく、赤ちゃんの授乳状況や体重の増え方、健康状態を確認しながら導入することが大切です。特に母乳育児をしている場合は、使用を始めるタイミングに注意しましょう。 母乳育児では、赤ちゃんが乳首を正しくくわえ、十分な母乳を飲めるようになるまでに一定の時間が必要です。授乳回数や母乳分泌量が安定していない時期におしゃぶりを頻繁に使うと、赤ちゃんが空腹を訴えるサインに気づきにくくなることがあります。そのため、米国小児科学会は、母乳育児の場合、おしゃぶりの導入を授乳が十分に確立してからにするよう推奨しています。 授乳が確立した状態とは、母乳が十分に分泌され、赤ちゃんが無理なく乳首をくわえて効果的に飲めること、さらに適切に体重が増えていることなどを指します。生後何日になったら必ず使用できるという一律の基準ではありません。母子の状態によって時期が異なるため、授乳に不安がある場合は助産師や小児科医に相談しましょう。 一方、母乳を直接飲んでいないミルク育児の場合は、授乳確立を待つ必要性は異なります。赤ちゃんの健康状態や哺乳状況に問題がなければ、比較的早い時期から使用を検討できます。ただし、ミルクを飲ませる時間になっているのに泣いている場合は、先に空腹を満たすことが基本です。おしゃぶりで泣きやませることを優先して、必要な授乳を遅らせないようにしてください。 生後1か月頃は、授乳のリズムや体重増加などを確認したい時期です。母乳育児の場合は、授乳が安定しているかを確認してから取り入れます。生後2〜3か月頃になり、授乳が安定していれば、寝かしつけや気持ちを落ち着かせる目的で使用することも考えられます。ただし、この月齢なら必ず使うべきという意味ではありません。 なお、おしゃぶりを使わなくても、赤ちゃんの成長に問題が生じるわけではありません。赤ちゃんによっては、おしゃぶりを好まないこともあります。無理にくわえさせず、抱っこや声かけなど、ほかの方法で安心できる環境を整えてあげましょう。 おしゃぶりは育児を助ける道具の一つです。使用開始時期は月齢だけで判断せず、授乳の状況、赤ちゃんの体重増加、健康状態を総合的に見ながら決めることが大切です。
おしゃぶりを使うメリットとは?赤ちゃんへのよい影響
おしゃぶりの大きなメリットは、赤ちゃんが吸う動作によって安心感を得られることです。赤ちゃんには生まれつき吸啜反射があり、乳首などを口に入れると自然に吸おうとします。この反射は母乳やミルクを飲むために重要な働きですが、赤ちゃんにとっては栄養を取るだけでなく、気持ちを落ち着かせる役割もあります。 赤ちゃんは眠いときや不安を感じたとき、周囲の環境が変わったときなどにも、口を動かして吸おうとすることがあります。おしゃぶりをくわえることで、吸うという自然な行動が満たされ、気持ちが落ち着く場合があります。抱っこしても泣きやまないときや、寝つくまで時間がかかるときに、おしゃぶりが役立つこともあるでしょう。 また、寝かしつけの補助として利用できる点もメリットです。毎回同じ環境でおしゃぶりを使用すると、赤ちゃんが眠る前の習慣として認識することがあります。ただし、おしゃぶりを使えば必ず眠るわけではありません。眠る環境を整え、空腹やおむつの汚れ、暑さや寒さなど、泣いている原因を先に確認することが基本です。 医療の場面でも、おしゃぶりなどを使った非栄養性吸啜が活用されることがあります。例えば、早産児の吸う動作の発達を支援したり、採血などの処置に伴う痛みや不快感を和らげたりする目的です。これは医療者の判断のもとで行われるもので、家庭で痛みや体調不良に対応する代わりにおしゃぶりを使えばよいという意味ではありません。 さらに、おしゃぶりには乳幼児突然死症候群(SIDS)のリスク低下との関連が報告されています。米国小児科学会は、昼寝や夜間の睡眠時におしゃぶりを与えることを推奨しています。母乳育児の場合は授乳が確立した後に導入し、赤ちゃんが眠っておしゃぶりが自然に口から外れた場合は、わざわざ戻す必要はありません。 ただし、おしゃぶりを使うことはSIDSを完全に防ぐ方法ではありません。仰向けで寝かせること、硬く平らな寝具を使うこと、寝床にぬいぐるみや柔らかい寝具を置かないことなど、ほかの安全な睡眠対策も欠かせません。 指しゃぶりと比較すると、おしゃぶりは保護者が使用時間や使用を終える時期を管理しやすいという利点があります。指しゃぶりは子ども自身の行動であるため、自然に減らすまで時間がかかる場合があります。一方、おしゃぶりも長期間使い続ければ歯並びに影響する可能性があるため、管理しやすいからといって無制限に使用してよいわけではありません。 保護者の育児負担が軽くなることも、おしゃぶりの現実的なメリットです。赤ちゃんが落ち着くきっかけが増えることで、保護者が気持ちに余裕を持てる場合があります。ただし、おしゃぶりだけに頼らず、抱っこやスキンシップ、声かけなども大切にしましょう。
おしゃぶりのデメリットとは?使用前に知りたい注意点
おしゃぶりには便利な面がある一方、使用方法や使用期間によってはいくつかのデメリットが生じる可能性があります。特に注意したいのは、授乳への影響、歯並びやかみ合わせへの影響、衛生面、そしておしゃぶりに頼る習慣です。これらを理解しておくことで、必要以上に不安にならず、適切に利用できます。 まず、母乳育児を始めたばかりの時期は、おしゃぶりの使い方に注意が必要です。赤ちゃんが泣く理由には、空腹、眠気、暑さ、寒さ、不快感などがあります。おしゃぶりを与えると一時的に落ち着くことがありますが、空腹のサインを見逃して授乳が遅れると、必要な母乳を飲む機会が減る可能性があります。また、母乳育児が確立する前に頻繁に使用することで、授乳のリズムを把握しにくくなる場合もあります。 ただし、おしゃぶりの使用が必ず母乳育児を失敗させるというわけではありません。研究では、適切に管理されたおしゃぶりの使用が母乳育児期間を必ず短くするとはいえない結果もあります。大切なのは、おしゃぶりを使うこと自体を避けることではなく、授乳を優先し、赤ちゃんの飲む量や体重増加を確認することです。 次に、感染や中耳炎との関連にも注意しましょう。おしゃぶりは赤ちゃんの口に直接入れるため、汚れた状態で使用すると細菌やカビなどが付着する可能性があります。洗浄や消毒を適切に行わない場合、口腔内の感染につながることがあります。また、おしゃぶりの使用は急性中耳炎のリスク上昇と関連することが報告されています。特に長時間、頻繁に使う場合は使用習慣を見直すことが重要です。 歯並びや顎の発達への影響も、長期間使い続けた場合に考えられる問題です。おしゃぶりを吸う動作が長く続くと、歯や歯列に力が加わり、前歯がかみ合わない開咬や、上下の奥歯のかみ合わせが横にずれる交叉咬合などが起こる可能性があります。影響の程度は使用期間や頻度、吸い方、もともとの歯並びなどによって異なります。 また、おしゃぶりを使うことが習慣化すると、眠るときや機嫌が悪いときに毎回必要になる場合があります。外出先でおしゃぶりを落としたり、見つからなくなったりすると、赤ちゃんが強く泣いてしまうこともあります。おしゃぶりが安心材料の一つになることは悪いことではありませんが、抱っこや声かけなど、ほかの方法でも安心できるように関わることが大切です。 さらに、破損したおしゃぶりを使い続けると、部品が外れて誤飲や窒息につながる危険があります。定期的に傷やひび割れ、変形、ベタつきなどがないか確認し、異常があれば交換しましょう。首にひもで巻きつけたり、寝ている赤ちゃんの衣服にひもで固定したりすることも避けてください。 このように、おしゃぶりのデメリットは使い方や期間によって変わります。短期間の使用で過度に心配する必要はありませんが、授乳を優先し、清潔さと安全性を保ち、成長に合わせて使用頻度を減らしていくことが大切です。
おしゃぶりは歯並びに影響する?顎や口の発達との関係
おしゃぶりを使う保護者が特に気になるのが、歯並びへの影響です。結論からいうと、おしゃぶりを短期間使用しただけで、必ず歯並びが悪くなるわけではありません。しかし、長期間にわたって頻繁に使用すると、歯や顎の発達、上下の歯のかみ合わせに影響する可能性があります。 歯は、歯ぐきの中に固定されているように見えますが、周囲から継続的に力が加わると、その力の方向や大きさによって位置や傾きが変化することがあります。おしゃぶりを長時間くわえていると、乳歯や歯列に繰り返し圧力が加わります。特に、前歯や奥歯にかかる力のバランスが変化することで、かみ合わせに影響が出る場合があります。 代表的な変化の一つが「開咬(かいこう)」です。開咬とは、奥歯をかみ合わせても上下の前歯の間にすき間ができ、前歯で食べ物をかみ切りにくくなる状態です。おしゃぶりを長期間使用すると、前歯に加わる力によって、このようなかみ合わせになる可能性があります。 また、「交叉咬合(こうさこうごう)」にも注意が必要です。通常、上の歯列は下の歯列より少し外側に位置していますが、交叉咬合では一部の歯の位置関係が逆になります。おしゃぶりの長期使用によって、頬や舌、口の周囲の筋肉にかかる力のバランスが変わることなどが関係すると考えられています。 さらに、上顎前突、いわゆる出っ歯のような歯並びとの関連も指摘されています。ただし、歯並びは遺伝的な要素や顎の大きさ、舌の動かし方、口呼吸など複数の要因によって決まります。おしゃぶりを使っているからといって、必ず出っ歯になるわけではありません。 影響を考えるうえで大切なのが、使用期間と使用頻度です。米国小児歯科学会は、18か月を超える使用が、開咬や交叉咬合などの口腔・顎顔面の発達に影響する可能性を指摘しています。また、3歳以上まで使用を続けた子どもでは、開咬のリスクが高くなるという報告があります。 一方、日本小児歯科学会は、乳歯の奥歯が生えてくる1歳半頃からおしゃぶりをやめる準備を始め、2歳を過ぎる頃までに卒業できるようにすることを勧めています。これは、奥歯のかみ合わせが整っていく時期に、吸う習慣が長く続くことを避けるためです。 なお、おしゃぶりをやめれば、すべての歯並びの問題が自然に改善するとは限りません。使用を中止することで改善が期待できる場合もありますが、歯や顎の状態によっては経過観察や治療が必要になることもあります。前歯がかみ合わない、歯列が左右にずれている、口が閉じにくいなどの様子があれば、小児歯科で確認してもらいましょう。 おしゃぶりを使っている赤ちゃんに対して、すぐに使用を中止しなければならないということではありません。大切なのは、乳歯が生え始める時期から口の成長を観察し、長期間の習慣にならないようにすることです。
おしゃぶりの安全な使い方と使用時の注意点
おしゃぶりを使う場合は、赤ちゃんの月齢や口の大きさに合った製品を選び、安全な方法で使用することが大切です。おしゃぶりは口に入れて使用する育児用品であるため、形状や素材だけでなく、衛生面や破損の有無にも注意しましょう。 まず、製品を選ぶときは対象月齢を確認します。おしゃぶりには、新生児向けや生後3か月頃から使用するものなど、月齢に応じた種類があります。対象月齢はメーカーによって異なるため、パッケージや説明書を確認してください。赤ちゃんの口に対して大きすぎたり、小さすぎたりするものは避け、無理なくくわえられるサイズを選びましょう。 形状については、乳首部分の形や厚み、口に触れる部分の大きさなどに違いがあります。歯並びに配慮した形状をうたう製品もありますが、特定のおしゃぶりを選べば歯並びへの影響がなくなるというわけではありません。製品の形だけに頼らず、使用時間や使用期間を適切に管理することが重要です。 素材にはシリコーンや天然ゴムなどがあります。シリコーンは比較的においや味が少なく、お手入れしやすいものが多い素材です。天然ゴムは柔らかい感触が特徴ですが、製品によっては劣化しやすい場合があります。赤ちゃんの好みや製品の説明を参考に選びましょう。 使用するタイミングは、赤ちゃんが眠る前や、どうしても落ち着かないときなどに限定する方法があります。ただし、泣いたらすぐにおしゃぶりを与えるのではなく、まず空腹やおむつの汚れ、暑さや寒さ、眠気などを確認してください。おしゃぶりは授乳や食事の代わりにはなりません。特に新生児期は授乳間隔が一定でないため、赤ちゃんが口を動かす、手を口元に持っていくなどの空腹サインを見逃さないことが大切です。 寝るときに使用する場合は、安全な睡眠環境を整えましょう。赤ちゃんは仰向けに寝かせ、硬く平らな寝具を使用します。枕やぬいぐるみ、柔らかいクッションなど、顔を覆う可能性があるものは寝床に置かないでください。おしゃぶりを首にひもで掛けたり、寝ているときに衣服へストラップで固定したりすることも、首に絡まる危険があるため避けます。 また、眠っている間におしゃぶりが口から外れても、無理に戻す必要はありません。赤ちゃんがおしゃぶりを嫌がる場合も、口に押し込んで使用させないようにしましょう。自然に受け入れられる場合に利用すれば十分です。 衛生管理も欠かせません。使用前後は製品の説明書に従って洗浄し、必要に応じて消毒しましょう。特に新生児期や免疫機能が未熟な赤ちゃんでは、清潔な状態を保つことが重要です。床に落ちたおしゃぶりをそのまま口に戻すのではなく、洗浄してから使用してください。保護者が自分の口でなめてきれいにする方法も、口腔内の細菌を移す可能性があるため避けましょう。 さらに、毎日おしゃぶりの状態を確認してください。乳首部分に亀裂や穴、変色、ベタつきがないか、持ち手や本体に異常がないかを確認します。傷んだ製品は破損や誤飲の危険があるため、使用を中止して交換しましょう。交換時期はメーカーの指定を優先してください。 おしゃぶりを清潔かつ安全に使用するためには、製品選びだけでなく、使用する場面を決めておくことも大切です。必要なときに適切に使い、赤ちゃんの成長に合わせて少しずつ使用頻度を減らしていきましょう。
おしゃぶりはいつまで使ってよい?卒業時期の目安
おしゃぶりは、赤ちゃんの時期には安心感を得るために役立つことがありますが、成長に合わせて少しずつ使用を減らしていく必要があります。特に、乳歯が生えそろい、食べ物をかんだり言葉を話したりする機会が増える時期には、おしゃぶりをくわえる習慣を見直すことが大切です。 卒業時期を考えるうえで一つの目安になるのが1歳半頃です。日本小児歯科学会では、乳歯の奥歯が生えてくる1歳半頃から、おしゃぶりをやめる準備を始め、2歳を過ぎる頃までには卒業できるとよいとしています。これは、吸うことが中心だった口の働きが、食べ物をかむことや飲み込むことへと発達していく時期だからです。 生後6か月頃までは、赤ちゃんにとって吸う動作が自然な行動です。しかし、離乳食が進み、食べ物を口に取り込んでかむ練習が始まると、舌や唇、頬などの筋肉の使い方も変化していきます。この時期におしゃぶりを長時間使用し続けると、口を閉じて食べる、舌を適切に動かすなどの経験が少なくなる可能性もあります。 1歳頃になったら、まず日中の使用時間を見直してみましょう。遊んでいるときや機嫌がよいときまでおしゃぶりをくわえさせる必要はありません。寝るときだけにする、外出先では必要な場合に限るなど、少しずつ使用場面を減らしていくとよいでしょう。 1歳半頃になると、自分の意思を表すことが増え、おしゃぶりを欲しがる場面が明確になることがあります。この頃から、遊びや絵本、抱っこなどの別の方法で気持ちを落ち着かせる練習を始めます。おしゃぶりを探して泣く場合でも、すぐに与えるのではなく、まずは保護者がそばにいて安心できるように関わってみましょう。 2歳頃までに卒業することを目標にすると、長期使用による歯並びへの影響を減らすうえでも役立ちます。特に2歳を過ぎると乳歯の奥歯のかみ合わせが整ってくるため、その後も頻繁に使用する場合には注意が必要です。米国小児歯科学会も、18か月以降の長期使用について、開咬や交叉咬合などのリスクを指摘しています。 3歳頃まで使用が続いている場合は、歯並びや口の機能を一度確認してもらいましょう。開咬などのかみ合わせの変化は、おしゃぶりをやめることで改善が期待できる場合があります。ただし、すべてのケースで自然に治るわけではありません。必要に応じて小児歯科で経過を見てもらうことが大切です。 卒業の方法は、急に取り上げる方法だけではありません。寝るときだけに使用している場合は、寝かしつけの習慣を少しずつ変えながら進める方法もあります。使用しない日を増やしたり、日中の使用時間を減らしたりして、子どもの様子を見ながら取り組みましょう。 また、おしゃぶりをやめられたときには、たくさん褒めてあげることも効果的です。失敗した日があっても叱ったり、無理に取り上げたりする必要はありません。安心できる関わりを続けながら卒業を目指しましょう。
おしゃぶりを使うべき?使わないべき?家庭に合った判断方法
おしゃぶりを使うかどうかは、赤ちゃんの性格や生活環境、授乳状況、保護者の考え方によって異なります。おしゃぶりにはメリットとデメリットの両方があるため、すべての赤ちゃんに使用を勧める必要はありません。使わない選択をしても、赤ちゃんの発達に問題が生じるわけではありません。 おしゃぶりが役立つことがあるのは、吸うことで安心感を得やすい赤ちゃんや、眠りにつくときに落ち着くきっかけが必要な赤ちゃんです。抱っこや声かけだけではなかなか落ち着かないときに、おしゃぶりを使うことで気持ちが安定する場合があります。また、保護者が家事や上の子の世話をしているときなどに、赤ちゃんが短時間落ち着いて過ごせることもあります。 一方、おしゃぶりをあまり好まない赤ちゃんもいます。口に入れてもすぐに吐き出す、嫌がって泣く、くわえようとしないといった場合は、無理に使わせる必要はありません。赤ちゃんにはそれぞれ好みがあり、おしゃぶりが安心につながるとは限らないからです。 母乳育児の場合は、授乳が安定しているかどうかを判断材料にします。母乳の分泌が十分でない、赤ちゃんがうまく吸えない、体重が思うように増えないなどの状況がある場合は、おしゃぶりよりも授乳の問題を優先して確認しましょう。助産師や小児科医に相談し、必要な支援を受けることが重要です。 ミルク育児や混合育児の場合も、基本的な考え方は同じです。おしゃぶりを使う場合は、授乳やミルクを飲む時間を妨げないようにしましょう。赤ちゃんが口を動かしていたり、手を口元に持っていったりしているときは、空腹のサインかもしれません。まずは授乳が必要かどうかを確認してください。 指しゃぶりとの違いも判断材料の一つになります。おしゃぶりは保護者が使用する場面を管理しやすく、卒業時期を決めやすいという特徴があります。指しゃぶりは子ども自身がいつでも行えるため、やめる時期を調整しにくいことがあります。ただし、おしゃぶりを使えば指しゃぶりを確実に防げるわけではありません。どちらも長期間続けば歯並びやかみ合わせに影響する可能性があります。 おしゃぶりを使わない場合は、赤ちゃんが安心できる別の方法を取り入れましょう。抱っこや肌と肌の触れ合い、穏やかな声かけ、子守歌などは、赤ちゃんの不安を和らげる助けになります。寝る前の照明を落とす、毎日同じ流れで寝かしつけるなど、生活環境を整えることも大切です。 使用する場合は、家庭内で簡単なルールを決めておくとよいでしょう。例えば、授乳の代わりには使用しない、眠る前や強くぐずるときに限定する、1歳頃から日中の使用を減らす、1歳半頃から卒業準備をするなどです。あらかじめ考えておくと、成長に合わせて自然に使用頻度を見直せます。 大切なのは、おしゃぶりを使うこと自体にこだわらないことです。赤ちゃんの様子を観察し、必要なときに利用する選択肢として考えましょう。使っていても使っていなくても、赤ちゃんが安心して成長できる環境を整えることが最も重要です。
おしゃぶりに関するよくある質問と歯科医師からのアドバイス
おしゃぶりについては、使用開始時期や歯並びへの影響、卒業方法など、保護者からさまざまな疑問が寄せられます。最後に、よくある質問を整理しておきましょう。
新生児からおしゃぶりを使っても大丈夫ですか?
新生児から使用できる製品はあります。ただし、母乳育児の場合は、授乳が安定してから導入することが基本です。母乳を十分に飲めているか、体重が適切に増えているかを確認しましょう。ミルク育児の場合も、赤ちゃんの健康状態や哺乳状況を確認したうえで使用してください。
おしゃぶりを使うと歯並びが悪くなりますか?
短期間の使用で必ず歯並びが悪くなるわけではありません。ただし、長期間、頻繁に使用すると、出っ歯や開咬、交叉咬合などのかみ合わせの問題につながる可能性があります。特に1歳半以降は使用時間を見直し、2歳頃までの卒業を目標にするとよいでしょう。
おしゃぶりを使うと指しゃぶりを防げますか?
おしゃぶりを使うことで、指を吸う機会が減る子どももいます。しかし、必ず指しゃぶりを防げるわけではありません。おしゃぶりを卒業した後に指しゃぶりが始まる場合もあります。どちらの場合も、長期間続けないように成長に合わせて見直すことが大切です。
寝ている途中でおしゃぶりが外れたらどうすればよいですか?
赤ちゃんが眠った後におしゃぶりが自然に外れた場合は、無理に口へ戻す必要はありません。米国小児科学会も、眠った後に外れたおしゃぶりを再びくわえさせる必要はないとしています。おしゃぶりが外れるたびに起こして戻すような対応は避けましょう。
赤ちゃんが泣いたら毎回おしゃぶりを使ってもよいですか?
毎回使用することはおすすめしません。赤ちゃんが泣く理由は空腹、眠気、おむつの汚れ、暑さや寒さ、体調不良などさまざまです。まずは泣いている原因を確認しましょう。必要な授乳をおしゃぶりで遅らせないことが重要です。
おしゃぶりを嫌がる場合はどうすればよいですか?
無理に使用させる必要はありません。赤ちゃんによっては、おしゃぶりの形や感触が苦手な場合もあります。口から押し出す、顔を背ける、泣いて嫌がるといった様子があれば使用を中止しましょう。抱っこやスキンシップなど、ほかの方法で安心させてあげてください。
2歳を過ぎてもおしゃぶりを使っている場合は問題ですか?
2歳を過ぎても頻繁に使用している場合は、卒業に向けて具体的に取り組む時期です。長期使用によって前歯がかみ合わなくなるなど、歯並びや口の発達に影響する可能性があります。ただし、2歳を過ぎたら必ず異常が起きるというわけではありません。無理に取り上げるのではなく、使用時間を減らしながら卒業を目指しましょう。
どのタイミングで歯科医院に相談すればよいですか?
おしゃぶりを長期間使用している場合や、前歯のかみ合わせが気になる場合は、小児歯科で相談するとよいでしょう。特に、前歯が閉じない、上下の歯列が左右にずれている、口が閉じにくいといった変化があれば、一度確認してもらうことをおすすめします。歯が生え始めた時期から定期的に口の中を確認してもらうと、成長に伴う変化にも気づきやすくなります。
歯科医師からのアドバイス
おしゃぶりは、赤ちゃんが安心感を得るための便利な育児用品です。泣いているときや寝つきにくいときに役立つ場合があり、適切な使い方をすれば育児の助けになります。 一方で、長期間にわたる使用は歯並びやかみ合わせに影響する可能性があります。特に、乳歯が生えそろっていく時期には、おしゃぶりをくわえている時間を少しずつ減らしていくことが大切です。 日本小児歯科学会は、1歳半頃から卒業の準備を始め、2歳を過ぎる頃までにやめられることを目安として示しています。赤ちゃんの成長には個人差があるため、月齢だけで判断せず、口の発達や生活習慣に合わせて進めましょう。 また、おしゃぶりを使用している場合も、使用していない場合も、乳歯が生え始めたら歯科医院で口の中を確認してもらうことが大切です。歯並びだけでなく、舌や唇の動き、口の閉じ方なども含めて成長を見守ることができます。 おしゃぶりは、使うか使わないかの二択ではありません。必要なときに上手に取り入れ、赤ちゃんの成長に合わせて卒業を目指すことが大切です。保護者だけで悩まず、必要に応じて小児科や小児歯科、助産師などの専門家に相談しながら、親子に合った方法を見つけていきましょう。
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参考情報
※使用開始時期や卒業時期は、赤ちゃんの授乳状況、発達、歯並びなどによって異なります。個別の判断が必要な場合は、小児科・助産師・小児歯科に相談してください。
- 日本小児歯科学会
- American Academy of Pediatric Dentistry:Policy on Pacifiers
- American Academy of Pediatrics:乳幼児の安全な睡眠に関する推奨

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